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信長の野望・大志 レビュー

信長の野望・大志信長の野望・大志
歴史シミュレーションゲーム
コーエー(日本)
3800 円、買い切りゲーム、シナリオ購入課金あり
レビュー公開:2018/1/11
iPhoneSteam

「信長の野望」の最新作が iOS でも登場

全国版から数えて、今回で14作目。
戦国時代を舞台とした、日本の定番歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」の最新作が、家庭用ゲーム機やパソコン版とほぼ同時期に iPhone / iPad でも発売されました。
信長の野望・大志」です。

信長の野望・大志

先に言っておきますが、初期の「信長の野望」らしさは全くありません。
タイトル名とグラフィックには信長の野望らしさがありますが、ゲーム内容に関しては完全に別のものです。

まあ、信長の野望シリーズは定期的にゲーム内容が様変わりするので、別物になるのは今になって始まった話ではないのですが、以前の数値上げや箱庭型の内政などを期待していると「違う!」となるのでご注意下さい。

全体としては、システムがすごく簡略化され、一方で歴史イベントに力が入れられている、戦略ゲームというより戦国シミュレーションという印象が強い作品です。
商業圏に影響を及ぼしていく金策や、季節ごとの作業がある耕作、農民を兵士に転用する徴兵などにはリアルさがあります。
また、マップ画面や情報表示のデザインが綺麗で、「さすが市販のゲームソフト。そこいらのアプリとは訳が違う」と思えます。

しかしやることがシンプルにまとめられ過ぎていて、アッサリした内政には物足りなさも否めません。
巷には「スマホゲーだからこうなったんだ」みたいな物言いをする人もいて残念しきり。
「戦国好き」としては、これはこれで悪くないんですけどね…

価格は 3800 円。買い切りゲームなので広告やスタミナなどはありません。
ただし本体だけだとプレイできるシナリオは「1560年 川中島の戦い」のみです。
他に(2018年1月時点で)1545 年 から 1582 年までの9つのシナリオがありますが、それぞれ 360 円、9点セットだと 2800 円かかります。

ただ、PS4 版は 8800 円、パソコン版(Steam)は税込 10584 円で、シナリオは5つ。(他のシナリオはやっぱり約 300 円で買わないといけない)
それを考えると iOS 版はかなり割安です。
もちろんゲーム自体はどれも同じです。

信長の野望・大志 全国マップ
信長の野望・大志 武将画面

戦国大名の1人となり、月ごとに内政や軍事、外交などのコマンドを実行しながら、富国強兵を行い、他の大名と争って、お家存続と勢力拡大を目指します。

ただ、今作で毎月行える内政コマンドは「商業」のみ。
これで「商圏」と呼ばれる経済圏に進出や投資を行って、金銭収入を増やします。

マップ上には城が点在していて、そこには城下町もあり、さらに城がなくても特定のエリアには町があります。
それらは「商圏」を持っていて、そこに「進出」をすると収入を得られるようになります。
商圏には「投資」もできますが、これで上がるのは発展度の最大値のみ。
町の生産力は時間の経過で少しずつ上がっていくものなので、収入を増やすにはどんどん他の町に進出していかなければなりません。

他の大名家の城下町にも、その大名家と「通商協定」を結ぶことで進出できます。
ただし通商協定があると、相手の大名家もこちらの城下町に進出してきます。
競合している場合、収入は双方で分け合う形になります。

自国の城下町なら「独占」して他の大名家の商人を追い出すこともできますが、その大名家の心証が悪化し、また競合していた方が早く発展するので、独占後は自然発展が鈍ります。

この商圏システム、面白いとは思うのですが、当面は各月で実行できる商業コマンドは1回のみ。
領土が拡大しても、どこかに1回実行したら、もう終わり。
すごくアッサリしていて、おまけに武将の内政能力も関係しません。
加えて「委任」で自動化も可能で、そして普段の内政はコレだけです。

三ヶ月に一回「農業」も行うことができるのですが、こちらも実行できる回数が少なく、さらに季節ごとに実行可能なコマンドが決められています。

農業は 労力・肥料・良種 の3つを消費して行い、肥まきは冬、種まきは春に行うのですが、こちらも当面は肥料と良種は1つしかありません。
よってどんなに領土があっても、肥を一回まいたら冬の作業は終わり。
春もどこかに種を1つまいて、ハイ終わり。

「労力」は農民の数に応じて増えますが、最初のうちは3回ぐらいしかなく、秋と冬の開墾、春の土作り、夏の治水と草刈り、それらで共通して使います。
秋に開墾しまくって労力を使い切ったら、もう1年間はやることがありません。
こちらもすっごくアッサリしています。

すっきりシンプルになっていて、長くやっていても面倒にならない、とも言えますが、過去の信長の野望を知っていると「もうちょっと内政も楽しみたい」と思うのが本音でしょう。

信長の野望・大志 一条兼定
※大名と、その志(こころざし)。
今作の武将は全体的にイケメンに描かれていて、鳥無き島のおじゃる丸・一条兼定さんもこんなにシブカッコイイ。上杉謙信は GACKT。

信長の野望・大志 商圏画面
※商圏画面。各商圏は線で繋がっていて、その先に進出できます。
画像は土佐の商圏が1つに合体した「大商圏」になっていて、一国を支配し、その国の商圏の影響を自勢力のみにして、生産規模を一定以上(数値が黄色になるまで)高めると成立。
商圏の枠の色は、競合勢力の影響力を表わしています。
バーが薄黄色だとすでに発展度が上限になっており、投資しないと生産力が高まりません。

信長の野望・大志 農業画面
※農業画面。農業用の資源は9月に手に入りますが、1年を通して使うので、秋に全部使ってしまうと土作りや灌漑はできません。労力のご利用は計画的に。
とは言え、序盤は兵士を増やすために農民が必要なので、それを増やす開墾にすぐ全部使っても構わないでしょう。
足軽を雇う段階になったら、流民を農民にするか足軽にするか考慮しましょう。

ただ、農民と農地、兵士のシステムは、個人的には面白いと思います。

今作には「徴兵」がなく、農民の一部を「農兵」に割り当てて、合戦時の兵力とします。
農民が 8000 で、3000 を農兵とすると、専業農民は 5000。
専業農民が減る分だけ米の生産力は下がりますが、わざわざ徴兵を実行することなく、手軽に兵力を用意でき、合戦で減っても勝手に補充してくれます。

ただし兵士の被害により農民が減るし、農兵は合戦中に士気が落ちやすいです。
農民は開墾の実行で増やせますが、前述したように開墾は行える回数と期間が決まっています。

一方「足軽」という専属の兵士もいて、こちらの方が強いのですが、維持にかなりの金銭が必要です。
高い経済力がないと扱えません。

このシステムにより、兵力を優先した農兵制度でいくか、お金はキツいけど兵農分離を優先した足軽で行くか、城ごとに決められます。もちろん混在も可能。
より柔軟で、当時を再現した形になっていますね。

ただ、兵士は一度配分を決定したら、以後は自然に増えていきます。訓練もなし。
外交も担当者である「奏者」と相手を決めたら、自動で友好度が上がっていく形なので、全体的にお手軽すぎて、ますます普段はやることがありません。
この辺の自動化されたシステムが、逆に巷の不満を呼んでいる印象があります。

信長の野望・大志 募兵画面
※農民・農兵・足軽の人数配分画面。ゲームの大きなポイントになります。
農兵の数は「兵糧収入」が「必要収入」を下回らない程度にすること。
経済力が付いたら足軽の割合を増やしたいところですが、金銭収支に注意。
増員も足軽の方が時間がかかります。

信長の野望・大志 外交画面
※外交画面。関係のある大名家とはラインが繋がっています。
友好は手軽に結べますが、通商条約を結ぶかどうかは商圏の影響力の混在を許すかどうか、考えて決めましょう。

戦争時には、全体マップ上でリアルタイムに軍勢を動かしていきます。
隣の国同士が戦争を始めたので、その背後を狙って漁夫の利を得る、みたいなことも可能。

軍勢は山でも海でも、自由に移動できます。
道の上しか移動できない、みたいなことはないため、迂回作戦も可能です。

軍勢を構成する各部隊は、城の数に応じています。
進軍を決めると、各城の城主がその城の兵士を率いて近くの安全な場所に集結し、軍勢を構成して、それから目的地に向かいます。
城が3つなら、軍勢の部隊数は最大3つ。

この辺は当時の知行(武将の領地)を反映したシステムだと思われます。

信長の野望・大志 進軍画面
※進軍画面。合戦は防御側(先にその戦地に到着している側)が有利なので、いきなり突っ込むことはせず、迂回なども考慮しましょう。
戦争前には各城の城主を決め、さらに与力(補助武将)も移動させておきましょう。
戦争時にはこれがそのまま、そこから出た部隊の主将と副将になります。
城の数=部隊数なので、城を新築して増やすことも時には必要。
ただ、城を建てられる場所には制限があり(他の城に接してない、険しい地形ではないなど)あまり候補地はありません…

軍勢同士がぶつかって戦闘になると、合戦(決戦)シーンに移行します。
全体マップのままで戦う訳ではありません。

合戦はターン制+リアルタイム制で、「同時プロット制」とも言われるシステム。
命令シーンで各部隊の移動先を指示し、行動ボタンを押すと、敵味方の全軍が同時に動き始めます。
そしてしばらく経ったらまた命令シーンに戻ります。

リアルタイムに近い形で戦いは行われますが、行動中に命令は出せず、例えば前進中に敵が出て来たので止まろうとしても、次の命令シーンまで移動の変更はできません。

戦闘は「挟撃」狙いが基本で、1つの部隊を複数の部隊で攻撃するとダメージが多くなります。
さらに今回の合戦は士気が重要で、各部隊に兵士数と士気があり、画面上部には両軍の総士気も表示されています。

士気がなくなった部隊は「壊走」して勝手に逃げ始めますが、そうすると全体の士気も変化。
複数の部隊が連続で壊走したり、兵士がなくなって壊滅したりすると、総士気の低下によって他の部隊にも影響が出始め、総士気が一方に振り切れるとその時点で総崩れとなり、決着してしまいます。

これも実際の合戦を反映していると言えますが、巷では不満の種に。
総大将を無視して、前線部隊をいくつか壊滅させるだけでも勝てますからね。
私的には一方的になった時点で決着するので、悪くないと思いますが。

また土地によって「上限兵力」が決められていて、険しい山や島での戦いだと上限が 3500 とかになっています。
ここで戦闘が起こると1万や2万の軍勢を持っていても、合計 3500 しか参戦できません。

これは「桶狭間の戦い」のようなものを再現するためだと思いますが、このためどんなに大軍が相手でも、険しい地形で待ち伏せれば小兵力で互角に戦えます。
これも一概に悪いとは言えませんが、賛否ある部分です。

合戦(決戦)が決着すると、それが「大名家全体の」士気に影響します。
決戦で連敗すると大名家の士気がボロボロになり、もう戦えません。
勝っている方はイケイケで城を落とせまくります。
攻城戦には「包囲」と「力攻め」がありますが、包囲でもそこまで時間をかけずにノーダメージで落とせます。

ただ、合戦が長引くと民忠がどんどん減っていき、いずれ一揆が発生、大軍勢を出していると兵糧もなくなってくるので、相手にとどめを刺せないなら、どこかで講和して手じまいする必要があります。

信長の野望・大志 合戦画面
※合戦シーン。3D の起伏のある地形が特徴。
アルファベットは部隊の戦闘力で、状況によって変化します。
挟み撃ちや集中攻撃が有効なので部隊数が多いほど有利。
遠くにいる部隊は所在が解らず、見えていない状態で攻撃されると奇襲を食らいます。
敵が居そうな方を向いて索敵しましょう。

信長の野望・大志 一括命令
※命令シーン。タップの反応が悪いことがあり、やや操作し辛いのが難点。
部隊未選択時、画面右下の矢印ボタンの上に「まとめて選択」のボタンがあり、これを押して画面をドラッグすると枠内の部隊に一括して命令を出せます。

信長の野望・大志 特技画面
※やや解り辛いのですが、軍配マークが付いている部隊を選択すると「部隊の上に」軍配ボタンが出て、それをタップすると武将固有の特技が発動します。
騎馬隊の騎馬突撃や、鉄砲隊の銃撃も、この特技扱いになります。

今作のもう1つ大きな特徴が「評定」です。
これは三ヶ月に一回開かれ、家臣団が今季の方針について意見を述べます。
そして採用した進言に応じて 農業・商業・軍事・論議 の「施策力ポイント」を得られます。

施策力ポイントは様々な「方策」を得るのに必要で、これはツリー形式になっており、例えば農業ポイントを使って「農地拡張・壱」を得ると、その後に「灌漑支援・壱」や「肥料増産・壱」を習得可能になります。
これにより内政の効果や軍事力の底上げができます。

特定の武将や、指定の特技を持った人物を集めることで解放される方策もあって、武将の個性にも繋がっています。
なによりツリー形式のパワーアップというのはゲーム的に面白くて良いですね。

各大名は「」を持っていて、例えば「所領拡大」なら合戦に強く、商業を高める特性も追加習得できます。
「家名存続」なら外交効果を高め、兵士の死傷率を下げる特性を持ちます。

将軍・足利義輝なら「幕府再興」、一向宗・本願寺顕如なら「往生極楽」、キリシタン・大友宗麟なら「切支丹保護」など、有力大名固有の志も用意されています。

信長の野望・大志 評定画面
※評定画面。献策には施策力アップだけでなく、固有効果も付いています。
例えば合戦中なら、士気アップや包囲攻撃力アップなどが欲しいところ。
武将の内政値は、内政ではなく、この献策での施策力上昇値に影響しています。

信長の野望・大志 方策画面
※そして施策力ポイントによる方策の獲得。
最初は習得できるものは少ないのですが、武将を集めればどんどん増えていきます。
よって武将は能力値の如何に関わらず、どんどん集めていきましょう。

信長の野望・大志 志画面
※畿内の大名の志(こころざし)。幕府、極楽、副王、いろいろ。
セリフも武将固有のものが用意されていて、三好長慶は歌人、雑賀孫市は傭兵な喋り方。
各大名家の戦略も、その志に沿っています。

そして今作の長所であり、信長の野望らしさであり、短所かもしれないのは、戦国時代を再現した作りや演出でしょう。
歴史イベントが豊富で、戦国の様々な事件が豊富な会話シーンと共に現れます。
イベントの中にはムービーが流れるものもあり、そのナレーションは NHK の大河ドラマそのもの。
やっていてすごーく戦国感、大河感にあふれています。

ゲームシステムも、すでに述べたように士気によって決着が付く点や、城単位で部隊が組まれるシステムは実際の合戦や知行を反映していて、農兵制度もそれっぽいです。
施策には「古今伝授」や「捨てがまり」などの有名どころから、「安藤枡」や「清良記」などの超マイナーなものまで、戦国ネタが散りばめられています。

ただ、巷の意見を見ていて思うのは、こうしたものは元ネタが解らないと楽しめない、どうしてそういうシステムなのかも理解できないことで、兵士や部隊は解り辛くなっただけ、合戦も士気で決着するのは味気ない、と感じてしまう人が多いようです。

歴史イベントも興味がない人には魅力半減でしょうし、そこに注力してゲーム部分を手軽にすると、やっぱり反発は来るよなぁ、と言うのは否めません。

特に内政は信長の野望の面白さの1つだったので、ここまでの簡略化はちょっと… という印象。
城+商圏の建設が可能なので、だったらシヴィライゼーションの如く、城と町は1から作っていった方がゲーム的には楽しかった気がしますね…

信長の野望・大志 桶狭間の今川義元
※桶狭間の戦いで散る今川義元。今作は義元もイケメン。
担当する大名家で大きな歴史イベントを起こす方法は「言行録」にヒントが書かれています。
その他の大名家でも上記のような、イベントのダイジェストが表示されます。

信長の野望・大志 関東管領のガクト
※関東管領を受けた長尾景虎こと上杉政虎こと上杉謙信。長髪イケメン。
これはムービーのイベントで、本文中でも述べたようにナレーションが大河ドラマ全開です。

はからずもこの年末年始、「信長の野望」と「シヴィライゼーション」という2大シミュレーションゲームの本家最新版が、そのままの形で iOS に登場した訳ですが、ゲームのコンセプトは正反対な印象です。
シヴィライゼーション6 はシステムが複雑化、解り辛いけど奥深い。
信長の野望・大志 はシステムを簡略化、ドラマ重視で良くも悪くも手軽。

ただ、短所もあるとは言え、スマホアプリではない市販のゲームソフト。
そこいらのソシャゲや中小のアプリとは別格のクオリティで、それをスマホ / タブレットで楽しめるのは、すごい時代になったなと思えます。

私的には、手軽に進行でき、演出が良く、大河ドラマ感のある今作は嫌いではありません。
安くはありませんが、他機種版よりはかなり安価。
信長の野望のファンや、歴史好きの人なら試しておきたい作品でしょう。

なによりコーエーが本気出してくれなくて、本格戦国 SLG は「ポケット戦国」しかなかった状態でしたから、ようやく本家(しかも最新)が来てくれたのは、ファンとしては嬉しいですね。

信長の野望・大志信長の野望・大志(iOS 版、App Store)

信長の野望・大志(PC版、Steam へ)

※Youtube 公式 PV

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