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Roll For It! レビュー

Roll For It!Roll For It!
ドイツゲーム ダイスゲーム
Thunderbox Entertainment(カナダ)
価格 250 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2018/3/30
iPhoneAndroid

ザ・コンプリートガチャ

サイコロを転がして点数を稼いでいく、簡単ルールのダイスゲーム。
しかしそこには、かつてユーザーを震撼させたコンプリートガチャの恐怖が潜んでいた…

リアルな 3D のサイコロが転がる、ダイスを使ったドイツゲームが公開されています。
Roll For It!」です。

Roll For It!

オリジナル(アナログ版)は 2011 年に発売されています。
大きな受賞歴はなく、ダイスゲームですから運にも左右される、シンプルなゲームなのですが、ルールが解りやすく多人数で手軽に遊べる内容であり、パーティーゲームとして相応に人気があるようです。

ただ個人的に注目したのは、偶然にもコンプガチャをダイスゲーム化したルールであること。
コンプガチャ(コンプリートガチャ)は日本の初期のソーシャルゲームに導入されていたもので、「特定の景品(カード)を集めることで、ご褒美が貰える」というものです。
例えば、イベントガチャで出てくる SR カードを6種類集めると、特別な SSR カードを貰える、といったものですね。

しかし 2012 年の5月、消費者庁はこれが法律違反になる(景品表示法で禁止されている絵合わせに該当する)と、各ゲーム会社に通達。
これによりコンプガチャは一斉に削除され、それは後に「コンプガチャショック」と呼ばれるソシャゲ会社の株価暴落に繋がります。
特にグリーはこれが大きなダメージになりました。

なぜコンプガチャがここまで目の敵にされたのか…
それはこのゲームのシステムで解ります。

アプリの価格は 250 円。買い切りゲームなので広告やスタミナはありません。
もちろんこのアプリにガチャはありません。
ダイスや追加カードを買う課金はありますが、必須なものではありません。

Roll For It! プレイ画面

プレイヤーは2~4人
ゲームが始まると、ダイスが描かれた3枚のカードが場に出されます。

自分の番になった人は、ダイスを6つ振ります。
そしてカードに書かれたダイスの目と同じダイスを、カードの上に配置できます。

例えばカードに「1」「3」「5」と書かれていて、ダイスに1・3・5の目のものがあるなら、それをカードの上に置けます。

ただしカードの上にダイスを置くと、その分だけ次に振れるダイスの数が減ってしまいます。
もし1と3の2つのダイスを置いた場合、次は4つしか振れません。

ダイスを置き終わったら次の人の番になり、この繰り返しです。

Roll For It! プレイ画面135
※ダイスはドラッグで置き、パスは右下のボタン。
このページの画像は横向きですが、縦でも遊べます。

カードに書かれたダイスをすべて置けると、カードの点数を獲得できます。
そしてそのカードは撤去され、そこに置かれていたダイスは各プレイヤーに戻され、新しいカードが引かれます。

カードの取得は早い者勝ちです。
最初に必要なダイスを、自分のダイスでそろえた人しか得点できません。

置けるなら、2枚や3枚のカードにダイスを置いても構いません。
しかしダイスを置いた分だけ振れるダイスの数が減るため、1枚目に1つ、2枚目と3枚目に2つ置くと、次に振れるダイスは1つだけ。
これでは必要なダイスの目が出る確率は低くなります。
置けるだけ置いた方が良いとは限りません。

ダイスを振る前に、特定のカードの上にある自分のダイスを回収することもできます。
ただし全部回収する必要があり、1つだけ回収するということはできません。

Roll For It! カード取得シーン
※右のカードの取得に成功。消え方が綺麗。
取得できなかった人は、ダイスを置いていても無駄足。

Roll For It! オプション画面
※タイトルメニュー。ダイスをタップして参加者を決めます。丸い顔は人間、四角い顔は AI。
AI のレベルはオプション設定で変更可能、ダイスの振り方はタップと振動を選べます。

基本ルールは以上です。
先に 40 点獲得した人の勝利。
ルールが簡単で、チュートリアルが丁寧、メッセージも日本語で、悩むことはないでしょう。

そしてこのゲームの何がコンプガチャを表現しているかですが…

カードには必要なダイスが2~4つ書かれたものと、6つ書かれたものがあります。
当然ダイスが少ない方がそろえやすいのですが、点数は低いです。
最も点数が高いのは6つのダイスが書かれたカードですが…
これがコンプガチャのような確率の恐怖を持ちます。

6つのダイスが描かれたカードの多くは、必要なダイスの目が1つだけです。
「2」の目が6つ必要なカードや、「3」の目が6つ必要なカードなど。
そしてダイスは6つしかないので、全てのダイスでその目を出さないといけないことになります。

必要な目が「2」だけでも、最初は6つもダイスを振るので、2が出る確率は高いです。
一度に2つや3つの「2」が出ることもあるでしょう。
もし3つ出たら、残りは3つ。もう半分コンプリートしている訳で、すぐに達成できそうですね。

しかし残り3つのサイコロで2が出る確率は「1-(2の目が出ない確率の3乗)」です。
確率としては約 42 %(1- 5/6 ^3)。
複数の「2」が一度に出ることもあるので、もうちょっと達成率は高くなりますが、次に必要なダイスが出る確率は半々ぐらいになります。

さらに残り2つになると、その確率は約 31 %、ほぼ 1/3 に。
そして残り1つになると単純に 1/6。

つまり 1/2、1/3、1/6 で、まだ 11 ターンは平均でかかることになります。
残り3つならすぐ出来そうだ… ということに、なりそうでなりません。

実際のガチャはダイスの数が減る(試行回数が減る)ということは(金がある限り)ありませんが、当たりが増えるほど「重複する確率」が増えるので、その点をこのゲームではダイスの減少で表現しているとも言えます。
6面のダイスでこれです。実際のガチャで SR の確率が5%の場合、20 面ダイスを振っているようなものですから、その SR を5種類集めろとかだと、確率はいわずもがな。

しかし必要なものが2つか3つ出てしまうと、あと少しで達成でき、魅力的な報酬が貰えそうに思えてきます。
残り1つだと、なおさらすぐ手が届きそうです。実際には、それを得られる確率が一番低いのに。
そんな確率のトリックを未成年にもガンガンしかけていたのが、初期のソーシャルゲームのコンプガチャです。

実際にこのゲームでも「おバカ AI」だと、簡単にダイス6つのカードに手を出して、いつまで経ってもそろわずに自滅してしまいます。
それはまさに当時のコンプガチャの被害者のようです。
「テンサイ AI」だと逆転を狙わないと厳しい時以外、手を出しません。
(もう1つあるクセモノ AI はプレイヤーの邪魔を優先するようです)

Roll For It! ダイス6つカードx3
※地獄のダイス6つカードx3。
こうなることは滅多にありませんが、なってしまうと単なる出目の勝負に…
達成度が高まるほど確率が加速度的に減っていくコンプガチャの恐ろしさを体験できます。

ゲームはシンプルですが、ダイスの質感、リアルなカードの動き、勝てそうで勝てないゲーム内容のおかげで、確率ゲーではありますが楽しめるアプリです。

オンライン対戦はオートマッチングではなく、誰かがゲームを立ててそれに参加する形式なので、敷居が高く、滅多に成立しません。
ただ、1つの本体を交互に使ってのプレイヤー対戦は可能で、操作も簡単なため、iPad をゲームボードに見立てて多人数で遊ぶのには良さそうです。

やはりダイスゲームはどんなにリアルでも、手で転がしてナンボ、というのもありますが…
グラフィックが良く、価格も安いので、ドイツゲームファンなら注目でしょうか。

Roll For It!Roll For It!(iOS 版、App Store)

Roll For It!(Android 版、Google Play へ)

※Youtube 公式 PV

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