Mushroom 11
パズル アクション
untame(アメリカ)
600 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/4/19
粘体生物終末旅行
ムニョムニョした粘体生物を間接的に操って、人が滅び去った終末の世界を旅する、奇妙で寂寥感のあるアクションパズルゲームがスマホに移植されています。
「Mushroom 11」です。
元は 2015 年に PC(Steam)で公開されたゲームで、そのイノベーション(発想と革新性)を高く評価された作品です。
主人公はスライムのような粘体ですが、これを直接操作することはできません。
しかし画面に触れると発生する輪っかで前に押し出したり、分裂させたり、斜面を登らせることができます。
そして粘体であることを利用しないと突破できない、様々なしかけが登場します。
価格は 600 円。 買い切りゲームで、課金・スタミナ・広告等は一切ありません。
開発したのは夫婦で運営されているアメリカの小メーカーです。
上下に移動するシーンもありますが、基本的には横スクロールのゲームです。
前述したように主人公はスライムのような粘体。
これを指を使って押し、ゴールに向かって進ませていきます。
画面に触れると指の周囲に輪っかが出来ます。
これは正確には「イレーサー」と呼ばれ、触れた粘体の一部を消滅させます。
しかし粘体は強力な再生能力を持っていて、消した分だけ再生していきます。
後ろを消せば前に再生するため、結果として後ろから押すと、前に進んでいく形になります。
上から押せば横に潰れ、壁に押し付ければ縦に潰れ、まるで粘土をこねているかのように粘体を操れます。
細いすき間に押し込んでグニッと押し出すこともでき、最初はムニムニといじっているだけでも楽しめますね。
マルチタッチに対応していて、2本の指で画面に触れればイレーサーを2つ出すことができます。
両側から押して細長くしたり、2方向から削っていくなど、様々な使い方が可能。
マルチタッチ可能なことに気付いていないと攻略困難になるので注意して下さい。
溶岩の中に落ちるとミスになるため、素早く押し出したり、うまく避けて進むなど、当初はアクションゲームのような展開が続きます。
しかし途中から、軟体であることを利用しないと先に進めない場面が出てきます。
例えば、体の一部を引っかけて下に落ちないようにするとか、体を分割して一方でスイッチを押し、もう一方で扉を抜けるといった具合。
物理シミュレートされているため、重量や慣性を利用したしかけも登場します。
全体としてはパズルの性質の方が強いですね。
※2つのイレーサーで「く」の字に整形し、溶岩を避けて右下の通路に向かっている様子。
イレーサーのサイズは左下のボタンで変えられます。
「消した分だけ、他の部分が広がる」というのを考えながら操作しましょう。
※粘体は複数に分けることも可能。
この画像では粘体の破片で左下の歯車を止め、他の破片を上の段に登らせています。
粘体は他の物体に対しては柔らかくなく、相応の重さのある個体として扱われます。
ステージ内にはチェックポイントである大きな花があり、ミスしてもそこから再開できます。
ゲームが進むと何度もリトライしないと突破できない難しい場面も出てきますが、チェックポイントは細かく設置されていて、危険な場所の手前には必ずあるため、ミスしても大きく戻されることはありません。
ステージの最後にはボスが待ち受けていますが、これもパズルの1つと言え、どうやって倒すのか、ちょっとした謎解きになっています。
難点という程ではないのですが、若干残念だったのは、中盤からパズルばかりになること。
粘体を生かしたアイデアに富むパズルは秀逸なのですが、ゲーム序盤のスピード感のある粘体アクションをもっと体験したかったなぁ、というのもあります。
グニグニしているだけでも楽しいゲームなので、もっと気軽にムニムニしながら進める場面があっても良かった気が。
一方、終末の世界観は、非常によく表現されています。
廃墟の都市や工場などが細かく描き込まれていて、物語を感じるオブジェも登場します。
不気味なスライムが徘徊する内容とよくマッチしていますね。
※自ら歯車となり、巻き付いたナットを回すシーン。このゲームならではのしかけです。
シーソーや UFO キャッチャーのようなユニークなものも。
※3面のボス戦。転がってくる球体を、ジャンプ台の形になってボスの方に飛ばします。
素早い整形が攻略のカギ。
スライムはどんどん再生するので、相手の攻撃でやられることは基本的にありません。
やや評価が割れていますが、アクションゲームだと思って買った人が、パズル中心なのを知って「思ってたのと違う!」となったりしているようです。
しかし LIMBO などと並ぶ、秀作のアクションパズルだと思います。
ステージ数は全部で7。 1つのステージは 15 分ほどですが、パズルで悩むともっと必要でしょう。
集中してやると1日で終わるかもしれませんが、ボリューム不足というほどではないですね。
他にない斬新なスタイルのゲームで、雰囲気も含め、一見の価値がある作品です。
Mushroom 11(iPhone 版、iTunes へ)
・Mushroom 11(Android 版、Google Play へ)
・Mushroom 11(PC版、Steam へ移動)
※Youtube 公式 PV
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