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プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンスプリンキピア:マスター・オブ・サイエンス
運営シミュレーション
Shin Hirota(個人、日本)
360 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/4/30
iPhoneAndroidSteam

研究者の発見競争がテーマの学術的 SLG

時は17世紀。 大航海時代の探険航海によって地球が丸いことが実証され、ガリレオ・ガリレイによって天動説が唱えられると、宇宙と地球のしくみの考察を元に、力学・光学・天文学などの研究が盛んになった。
そんな中、イギリスにアイザック・ニュートンという1人の天才が生まれた・・・

研究者の1人となって実験と推理を繰り返し、新しい理論を発見、論文を発表して名声を獲得していく、学術研究シミュレーションゲームが公開されています。
プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス」です。

今から 18 年前、1999 年に作られた個人作成のゲームのリメイクで、内容としてはコマンドを実行して数値を上げていくタイプ
割とシンプルなシステムですが、学術研究という題材が良く、挿絵やサウンドにも雰囲気があります。
また、研究者同士の交流や中傷もあり、人間関係も表現されています。

価格は 360 円。買い切りゲームなので課金・スタミナ・広告等はありません。

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス

まずは研究室で「研究テーマ」を決め、その「実験」と「推理」を繰り返します。
研究には 光学・熱力学・生物学 など6つの種類があり、さらに熱力学なら 燃焼・真空の性質 など、複数のテーマがあります。

実験や推理を行うと 実験値・推理値 が上がっていくのですが、知識がないとあまり上がりません。
知識は大学で講義を受けたり、読書をすることで上がりますが、講義を受けるには大学のある都市にいる必要があり、お金もかかります。
読書は無料ですが上昇値は少なめ。
最初はできる範囲で知識を高め、実験と推理を行うことになるでしょう。

実験と推理が上がれば、そのうち新しい「発見」を閃きます。
閃いたら今度は「理論検証」を実行し、完成度を上げていきます。
発見ごとに完成度の最大値が異なり、できるだけ高めたら「論文」を作成。
それをロンドンかパリの学会で発表し、認められると名声がアップ、援助金も貰えます。

ゲームはここまでの繰り返しです。
実験と推理を高めれば複数の発見が見つかり、「発明品」も作れるでしょう。
作った発明品は装備して実験の効果を高めるのに使えます。

テーマ内の発見を全て発表し終えたら、また新しいテーマに移りましょう。
発表を繰り返して名声が高まれば、大学講師や研究員などに転職でき収入がアップします。

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス 講義と実験
※まずは研究する前に、大学の講義を受けてその分野の知識を高めましょう。
実験には器具が必要ですが、どの研究者も専門分野の器具を1つ所持しています。
それ以外はショップで買う必要がありますが、結構高い…

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス 学会と発明
※論文ができたら学会へ。 学会員の皆さんが審査を行います。
完成度が高い論文なら通るはずですが、デタラメな理論は最大完成度が低いです。
ただ、あくまで当時の基準なので、現代では否定されている理論でも、当時信じられていたものは最大完成度は高めになっています。
右は発明シーン。成功させるには工作技術が必要。これは訓練で高めなければなりません。

ただし、学会への論文発表は「早い者勝ち」です。
誰かが発表済みの発見は、論文を提示しても認められません。

また、学会の論文審査は、役員になっている研究者の賛否で決められます。
研究者には友好度があり、もし役員との仲が悪いと、完成度が高い論文でも否定されてしまうかもしれません。
発表済みの論文でも、それに対する批判が出て、それが通ってしまうと公認が取り消されます。

これらを防ぐには、学会役員との交流も必要です。
直接会うのはもちろん、資金援助の手紙を送ると友好度が上がり、論文に賛成してくれやすくなります。

また名声が大きく高まれば、学会に入会希望して自ら役員になることもできます。
役員になれば自分の論文や他人の批判について直接意見を言えます。

手紙には相手を中傷し「無気力」に陥らせるものもあり、研究者たちの競争社会も表現されています。

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス 論文批判と誹謗中傷
※左は論文に対する反対意見が出されたところ。
先を越された時は、相手の論文を否定して取り消さないと自分のものは通りません。
右は誹謗中傷。このライプニッツはニュートンを「パクリ野郎だ!」と批判しまくります…
こうしたものは近年でも「STAP 細胞問題」とかありましたね。
本当に STAP 細胞があったかどうかは別として、論文発表 → 別の学者が批判 → 盗用騒ぎ → 論文撤回 → 翌年にアメリカとドイツが発表、といった流れが。

やや残念なのは、研究者たちの競争があまり強く表現されていないこと。
基本的には友好度とか気にしなくても、いち早く研究して論文を書き、発表するのを繰り返せば良いだけで、そこまでシビアな競争ではありません。

やることがシンプルなので戦略性も少なく、論文を発表し続けていれば簡単に地位は向上します。
もうちょっと競争が激しかったり、論文を通すのが大変だったり、ワイロや中傷が飛び交う内容でも良かった気がしますが・・・
その辺は、あまりひどいと怒られそうなので抑えているのでしょうか?

もう1つの難点はオートセーブがないこと。
たまにアプリが不正落ちしますが、オートセーブがないために、手動セーブまで戻されてしまいます。
そんなに頻繁に落ちる訳ではありませんが、だからこそたまに落ちてセーブしてなかった時のダメージがひどい・・・

※オートセーブは搭載されていました。訂正いたします。

もう少しハッキリした目的も欲しかったところでしょうか。
ゲームは研究者の寿命が来るか、引退を選択した時に終わり、成果に応じたメッセージが出て来ますが、目指すものがやや希薄です。

学会の会長になる、爵位を得る、名声のハイスコアを狙う、といったところが目標になりますが、初回プレイでは解りにくいですね。
「プリンキピア出版」という最終目標も用意されていますが、存在が示唆されません。

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス 学会役員任命と研究者
※左は会長就任シーン。ゲームの目標の1つです。
右はニュートン以外の研究者。選べる人は全部で 12 人。途中で登場する人もいます。

こういう数値上げゲームはプログラムしやすいので、個人作成のゲームにはよく見られるのですが、学術研究を題材にしているのは他に聞いたことがありません。
ゲーム中に出てくるメッセージもいかにもそれっぽく、研究している感じが出ていて良いです。
割とカジュアルなゲームですが、とてもアカデミックな気分になれます。

効率重視でプレイすると簡単に進めてしまうので、ここはむしろ気に入らない奴の研究分野に乗り込んで片っ端から論文書いて相手を潰すとか、学会会長になって他人の論文を批判して闇に葬り、自分の論文だけで発見を埋めるとか、そういうダークなプレイの方が楽しめるかもしれません。
どちらもやれるのがこのゲームの良いところでしょうか。

手軽ながら無二のテーマと雰囲気を持つ、個人的に好きな作品です。

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンスプリンキピア:マスター・オブ・サイエンス

プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス (Android 版)
PRINCIPIA: Master of Science (PC版、Steam)

※Youtube 公式 PV(PC 版)

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