Lode Runner 1
アクションゲーム
原作:ブローダーバンド(アメリカ)
開発:NEXON / devCAT Studio(韓国)
無料(課金・広告もなし)
レビュー公開:2017/5/26
アクションパズルの古典を今風の外観にリメイク
アクションパズルゲームの名作「ロードランナー」。
日本ではハドソンが発売したファミコン版や、アイレムが発売したアーケード版が有名ですが、元はアメリカで 1983 年に発売されたパソコンのゲームです。
そのロードランナーを、今になって韓国のネクソンがリメイクしました。
「Lode Runner 1」です。
スマホにはすでに復刻版の「Lode Runner Classic」があるので、権利的にどうなのかと思ったのですが、現在ロードランナーの権利を持つ TOZAI Games の許諾を得ているようです。
アプリはなんとタダ! 広告も課金もなしという大盤振る舞い。
ゲームも原作のルールそのままに、グラフィックを今風に一新しています。
通常ステージの他に、上級のチャンピオンシップステージ、原作を再現したオリジナルステージなど、合計 300 以上ものステージが用意されており、ステージの自作と公開も可能。
現代のスマホに合わせてしっかり作られたアプリですね。
ただ、かつてファミコン版をやり込んだ者としては、色々気になる部分もあるのですが…
仮想スティックと2つのボタンで操作します。
iTunes レビューには操作性を酷評する意見が多いですが、私的にはそんなに悪いとは思いません。
物理コントローラーよりは操作し辛いですが、正直これでダメな人は、スマホでゲームはできないんじゃないかな…
ボタンは左右の足下のブロックを「掘る」のに使います。
番兵ロボットが追いかけてきますが、掘った穴に落とすとしばらく動かなくなります。
穴に落ちているロボットは踏んづけて通過することが可能。
掘った穴は一定時間で埋まりますが、それを利用してロボットを生き埋めにして破壊することもできます。
ただしロボットは破壊しても、すぐ別の場所で復活します。
もちろん掘った穴に自分が落ちることもできます。
穴を通って下の段に逃げたり、通路を作っておくなど、移動にも活用します。
ステージ内にはお宝が散らばっていて、これをすべて集めて出口に入るとステージクリア。
原作のロードランナーは宝を集めると画面上部に脱出用ハシゴが出現しましたが、今作にはその仕様はなく、出口はステージ内に設置されています。
他にも、1つ目の宝を取るまで番兵が動かない、横にしか動かない番犬ロボットがいる、一定時間で白ロボットが現れ、通常ロボットのスピードも上がる、といった追加があります。
※夕日に照らされているステージ。 グラデーションと淡い色使いが美しいです。
キャラクターや背景のデザインも良いですね。
基本的にはロードランナーをそのまま再現しています。
キャラクターは機敏に動き、飛び降りると前転して走り出すといった細かいアクションも見られます。
背景の夕日や月光なども綺麗ですね。
ただ、やってて気になるのは… ステージが面白くない…
初心者でも遊べるように、ステージが狭めで、難易度が低く、ゲームのルールが段階的に解るような、とても優しい作りになっています。
が、優しすぎてアクションゲームとしてつまらない。
チュートリアルのようなステージが延々と続くのです。
そりゃもう、20 ステージとか 30 ステージとかの単位で延々と。
ずっと進んでいれば歯応えのあるステージが出て来るだろうと期待してても、一向にそんな雰囲気がない。
自分がロードランナー経験者だから、というのもあると思いますが、これはちょっと簡単すぎる…
20 ステージをクリアすると遊べるようになる「クラシックステージ」はちゃんとアクションゲームとして楽しめるので、なおさら「この新ステージの作りはどうよ」と思ってしまいます。
さらにロードランナーと言えば、アクションパズルとしても知られています。
穴の掘り方次第で、一見取れそうにない宝でも取ることができる、パズルの要素がありました。
しかしそうしたパズル要素も、今作は乏しい。
取り方が難しい宝はブロックに掘る順番が書かれていて、優しくパズルの解き方を教えてくれているのですが、別に教えてくれなくてもすぐ解るような配置しか出て来ない。
80 ステージまでクリアして「チャンピオンシップ」をアンロックしたのですが、そのチャンピオンシップのステージでも、番兵が多くてアクションとしては難しいものの、パズルとして考えるようなステージはほとんどない。
時間差掘りや番兵の頭乗りなどのテクニックを駆使するような場面はない。
正直、原作をやり込んだ人には退屈なバランスであることは否めませんね…
※こんな風に掘り方が書いてあって親切ですが、このぐらい見れば解るだろう…
パズル的な楽しさは今作には期待できません。
マジで中の人、時間差掘りとか知らないんじゃ…
※キャラクターを選択する要素も加わっていて、性能に若干の違いがあります。
キャラクターはステージをクリアすると増えていきます。
ロードランナーと言えば「ステージの自作」も有名です。
ユーザーがステージを作って人にやらせたり、何らかの方法で公開する、ユーザー参加型のゲームとしても人気になりました。
ただ、その自作モード「ステージエディター」を使うには、通常ステージを 50 もクリアする必要があります。
公開されているステージをプレイするのも 25 ステージのクリアが必要です。
どうしてこんなに敷居が高いのか… やらせる気はあるのか…
しかも公開したステージはクリアした人から評価を付けられ、高評価のステージはより広く公開されるのですが、難しいとクリアされないから評価もされない。
よって簡単なステージばかりが高評価になるという…
知人の作ったステージを検索したり、リストから選んだりすることもできません。
細かい話になりますが、脱出用ハシゴが出ないことも私的には不満ですね。
宝を全部取ると出てくる脱出用ハシゴは、それを使って自作ステージに変化を与えることができました。
パズルに活用することもできたのですが、それがなくなっています。
番兵の動きもオリジナルとは変わっていて、閉じ込められている番兵のとなりのブロックを壊しても脱出しようとしないなど、少し不自然な印象があります。
細かい点はともかく、エディットモードはステージ 10 ぐらい、チャンピオンシップもステージ 20 ぐらいで解放されるべきだと思いますね。
クラシックステージも、経験者にとってはチュートリアルな通常ステージは退屈なだけなので、最初から遊べた方が良かったと思います。
※エディットで自作した「IPHONE AC」ステージ。
でもクリアしてくれないから、評価も付かない悲しい状態… 挑戦者求む。
これは数年前に、韓国のメーカーに出向していた方から聞いた話なのですが…
韓国のゲームに模倣作が多いのは、韓国でゲーム開発が始まったのは 1990 年代後半からで、それ以前の蓄積がないためだという考えがあるそうです。
そのため韓国のプロデューサーの中には昔のゲームを研究しようとする人がいて、海外で運営されていた「魔界村オンライン」などはその過程で作られたものだそうです。
この作品も「なんで今になってネクソンが初代ロードランナー?」と思ったのですが、そうした「研究の一環」なのかもしれません。
それだと無料配布なのも納得です。(微妙に違う部分があるのも納得…)
日本もそろそろ完全ソシャゲ世代のゲーム開発者が出て来るであろう頃。
ひとごとではないかもしれませんね。
ともあれ、色々とネガティブなことも言いましたが、なんと言っても無料です。
課金や広告もなし。でもクオリティはタダなのが信じられないレベル。
爽快感があったり、エキサイトするような感じではないのですが、経験者が懐かしみながらプレイしたり、空き時間に遊ぶ分には悪くないと思います。
Lode Runner 1(iPhone 版、iTunes へ)
・Lode Runner 1(Android 版、Google Play へ)
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