ソラとウミのアイダ
ソーシャルゲーム 美少女ゲーム
Forward Works / オルトプラス(日本)
アプリ本体無料、課金・ガチャ・スタミナあり
レビュー公開:2017/10/27
尾道+宇宙+方言女子+モンスト
「サクラ大戦」シリーズで有名なクリエイター 広井王子 さんが総指揮。
瀬戸内海の港町「尾道」を舞台に、田舎の女の子で構成された漁業団の活動を描く、ギャルゲーのソーシャルゲームが公開されています。
「ソラとウミのアイダ」です。
私はギャルゲーは専門外なので、ギャルゲーのソシャゲはよほど注目すべき部分がないと扱わないのですが・・・
このゲームには見逃せない点が2つありました。
1つは「フォワードワークス」の新作であること。
プレステのゲームの IP(知的財産)を活用したスマホアプリを作るため、ソニー(SCE)によって設立された会社で、すでに「みんなのGOLF」のスマホ版「みんゴル」が公開され話題になっています。
今作はフォワードワークスの2作目で、既存 IP を利用していないオリジナルタイトルだったのは意外ですが、著名クリエイターを招いているところには企業的なパワーを感じます。
もう1つは、私的な理由ですが… 地元だから。
私は尾道の近くの街に住んでいるので、身近な舞台でした。
駅にポスターが張られてたり、テレビでこのゲームのオープニングを使った天気予報をやってたりするので、嫌が応にも気になっていた作品です。
まあ、その点の期待は早々に破られた訳ですが…
ソーシャルゲームなのでアプリ本体は無料。
もちろん課金もガチャもスタミナもあります。
内容を一言で説明すると「田舎が舞台のモンスト」です。
前述したように、広島県の尾道を舞台にした物語です。
尾道はかつて、映画の撮影地として有名でした。
目立つ名所がある訳ではありませんが、古い建物の多い、海と坂の街で、それが素朴な景色を撮りたい映画監督に好まれていました。
そこを舞台としたことに、このゲームの目指すところが伺えます。
…が、このゲームの女の子達は「宇宙で」漁をします。
尾道の海岸には巨大なロケット発射台が。
この時点で尾道感崩壊。
宇宙とか言うなら、もうどこだっていいじゃん…
って言うかそれ、むしろ種子島じゃん…
開始1分で裏切られた感 MAX。
尾道である必要性は全く感じられません。
ただ、メインストーリーが進むと、相応に田舎を舞台にした物語を描きたい感じは伝わってきます。
ギャルゲーですが女の子しか出て来ない訳ではなく、意外と男性キャラも多め。
漁協や缶詰工場で働く人々との交流が続き、居酒屋で役所の課長や OL と一緒にダベるといった、他のソシャゲではあり得ないシーンが出てきます。
そこに世界を救うとか、異世界で無双するといった血湧き肉躍るストーリーはありませんが、その落ち着いた物語はスマホではとても珍しく、どういう話になっていくのか興味も湧きますね。
※キャラクターとの会話シーン。バトルを進めることでメインストーリーが、好感度を上げることでキャラごとのストーリーがアンロックされていく方式。
会話中には時間制限付きの選択肢が現れます。
※居酒屋のシーン。大将に対しておかみさんが若すぎる…
居酒屋といい物語といい、やや大きなお友達向け?
右はキャラの着せ替え画面。メインキャラは 3D を 2D に見せる技法で表現されているようで、動きが豊富です。
しかし問題はバトルシーン。
前述したように宇宙に行って、そこにある宇宙イケスで、奇っ怪な宇宙魚と戦います。
この時点でストーリーシーンとのギャップは宇宙レベルに酷いのですが、そのバトルの内容は…
「モンストです。」
以上、説明終了。
本当にありがとうございました。
もちろん操作や攻撃方法など、細かい点は違うのですが、キャラを弾いて敵にぶつけて攻撃する「おはじき型ソーシャルゲーム」である点は変わりません。
演出などのクオリティは高く、これが4年前に出たのであれば「また凄いソーシャルゲームが出た!」という話になったと思いますが、今やモンスト型のソシャゲなんてスマホには掃いて捨てるほどある。
しかも多くのモンスト型ソシャゲは、オリジナルとの違いを出そうとシステムや表現を色々と工夫していますが、これは割と直球にモンスト。
さらにガチャから出るキャラクターも「神様」で、いかにもガチャゲー的。
何よりハデな演出や、ガチャから出る神様と、尾道が舞台のストーリーが、絶望的に噛み合っていません。
と言うかストーリーも、ソシャゲ側に合わせようとして色々と無理がある。
どうしてこういう組合わせになったかなぁ、というのは否めません。
※敵にぶつけるとすぐダメージが入るのではなく、移動が終わった後、そこにビームが飛んでいきます。
味方にぶつけていると、その味方の支援攻撃も発動。
キャラには貫通型と反射型があり、貫通型は赤いアイコンで、反射型は緑のアイコンで表わされています。
ザコがターン毎に復活するのも特徴。
でも、全体としてはモンストですね。
右の画像は全キャラがはじけ飛ぶ必殺技のシーン。
※女の子に装備させる神様。モロにソシャゲ。
ストーリーなどは他のソシャゲとは違うのに、バトル周りは見た目も内容も良くあるソシャゲです。
育成や進化などのシステムも既存のソシャゲと同様。
このゲーム、以下のような経過で作られたとしか思えません。
H:田舎の女の子を描いた作品を作りたいのん。
F:スマホで出すならソーシャルゲームじゃないとダメです。
H:そうだ、舞台は文学映画っぽく尾道にしよう。
O:それじゃ地味だよ。そうだ、宇宙に行かせよう、宇宙。
F:尾道ならバトルは釣りですかね。
O:釣りゲーじゃなぁ。モンストで良くない?
F:ガチャはどうするんだよ。
O:ソシャゲだから神様で。ゴッドフェスですよ。
H:バラバラじゃないですか?
F:うまくまとめといて下さい。じゃあよろしく。
あくまでフィクションですが、こんなミーティングや脳内会議が思い浮かびます。
クリエイターの描いた構想を無理やりソシャゲ化した感がありますね。
ただ、ストーリーは他のソシャゲとは一線をかくしているので、そこは評価される点でしょうか。
モンストなバトルも、私は今さら感がありましたが、モンスト系が初めての人や、このタイプの別の作品をやってみたいと思っている方なら楽しめるでしょう。
また、ギャルゲー的な評価(キャラクターのその方面の魅力や表現)は私には解りません。
ベテランのマルチクリエイターの作品ですから、その点については(見る人が見れば)高レベルであるかもしれません。
(私的には方言女子であること以外に目立った印象はないですが)
今後、マンガやアニメなどのマルチメディア展開も予定されているので、それ次第では「けものフレンズ」の逆パターン的に化ける… かも?
アニメファンならチェックしておいても良いかもしれません。
・ソラとウミのアイダ(Android、Google Play)
※Youtube 公式 PV
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