GRID® Autosport
レーシング
原作:Codemasters(イギリス)
移植:Feral Interactive(イギリス)
価格 1200 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/12/1
リアルレースゲームの新定番がついに登場
レースゲームの老舗であるイギリスのメーカー Codemasters が、モータースポーツ誌 Autosport の監修を受け、「モータースポーツのすべてを詰め込む」というコンセプトの元に開発した大型レースゲーム。
2014 年に PC や PS3 で公開されたこの作品が、ついに iOS にも登場しました。
「GRID Autosport」です。
対象機種は iPhone 6s / SE 以降、iPad は Pro と第5世代以降で、つまり 2015 年以降に発売されたもののみ。
iOS は 11 必須、ゲームのダウンロードサイズは 4GB、インストール後のサイズは約 6GB という、かつてない大ボリュームです。
登場車種は 100 台以上、コースも 27 のフルサーキットに加え、ドリフト用コースやショートコースも含めると 100 以上。
グラフィックの美しさもスマホトップクラスであり、レースゲームの新定番になることは確実でしょう。
価格は 1200 円。買い切りゲームなので待ち時間や課金などの面倒な仕様もありません。
スマホアプリとしては高めですが、PC 版は 3980 円、家庭用ゲーム機版は 8000 円だったので、むしろ安いです。
また、これまでに登場したダウンロードコンテンツも一通り導入可能です。
ただし、PC / 専用ゲーム機版にあったオンラインモードはなくなっています。
コントロールは傾け操作(ティルト)か、画面をスライドしてのホイール操作。
3D touch 搭載機種なら方向キー操作も利用できるようですが、未登載機だと方向キーは使えないのが難点です。
ただ、ティルトの操作性は悪くありません。
レースシーンはグラフィックが圧巻。
見ての通りの美しさで、光の反射、車体への映り込み、車内の様子も表現されています。
強くぶつかればドアが開いたり、ガラスが割れたり、バンパーが取れるなどのダメージ表現も。
そして注目すべきは風景で、様々なロケーションに異なる建物が建ち並び、観客も 3D で表現されていて、拍手したり手を振り上げたりします。
路面や自然の表現も見事で、思わず見入ってしまうほどです。(そして事故る)
コントロールはリアル系で、シミュレーターに近い挙動。
ブレーキングでバランスを崩しやすく、ドリフトすると不安定になるうえに摩擦で減速します。
コーナーの前でしっかり減速してから曲がり始め、スローインファストアウトするのが基本で、あまり派手な走りはできません。
無理な走り方をするとすぐに滑ってしまいます。
一方で、初心者救済の様々なシステムが盛り込まれています。
中でも特筆すべきなのが「フラッシュバック」、いわゆる「巻き戻しボタン」で、これを押すと逆回転が始まり、少し前まで戻ることができます。
よって事故やスピンしてもやり直しが可能。
「甘すぎじゃない?」と思うかもしれませんが、慣れるまでは難しいし、難関ポイントをクリアできるまで反復練習できるので、これのおかげでストレスなくプレイでき、早く上達できます。
他にもライン取りとブレーキのタイミングを教えてくれる「レーシングライン」が表示されていて、車体を安定させるトラクションコントロールやスタビリティコントロールも備わっています。
これらは難易度設定で OFF にすることができ、無くした方が速くなって経験値にボーナスも付くので、上手い人なら設定を変えても良いでしょう。
なお、グラフィックは使用機種に応じて調整が加えられるようです。
このページの画像は iPad Pro 10.5 インチ(2017年6月発売、CPU A10X)のものですが、影が簡略化されていて、遠くの観客やライトも省略されます。
もっと下の機種だとドライバーがいなくなったり、車体の映り込みが粗くなったりする模様。
ただ、「ソフト的にはもっと綺麗にできるけど、ハードウェアに応じて控えている」という感じなので、iPhone 8 / X や、これから登場する上位のスマホ / タブレットだと、更に綺麗になるかもしれません。
※夜間のレース。ヘッドライトやスタンドの灯りが綺麗。
ティルト操作なので画面が傾いています。
ティルトのコツは、画面上部中央を進みたい方向に向けること。
※もちろんフォーミュラレースもあります。グリップが強くてキビキビ曲がる。
車によってカーブの突入速度は違いますが、直角は 100km、ヘアピンは 60km まで落とすのを目安にしましょう。
※コースの内側に見えている緑色の矢印が理想のコース取り「レーシングライン」。
これが赤くなったら減速しないと、次のカーブを曲がれません。
安全なスピードまで下がったらラインは緑に戻ります。
左にあるミニマップもチラチラ見るようにしましょう。
※レース後は様々な視点で車を眺められる「リプレイ」を鑑賞できます。
後ろの観客まで動いているのは本当に凄い。
ただし、機種によって表現は変わるので悪しからず。
ゲームモードは「キャリア」がメイン。
これはプロドライバーとして様々なチームと契約し、レースに参加していくモードです。
このモードではレースが5つのカテゴリに分かれています。
普通にサーキットを周回する「Touring」、走行距離を競う夜間耐久レース「Endurance」、フォーミュラマシンで疾走する「OPEN Wheel」、ドリフトコンテストやタイムアタックなどがある「Tuner」、市街地コースを走る「Street」。
レースに勝利したり、条件を達成することで経験値を得られ、そのカテゴリのレベルが上がります。
レベルはドライバーの名声であり、高まれば上位チームとの契約や、上位レースへの出場が可能に。
さらに各カテゴリのレベルが一定以上になれば「GRID Series」に出場できるようになります。
この GRID Series での勝利が大きな目標です。
使用するマシンはチームとレースによって決められています。
このゲームのキャリアモードは、他のレースゲームのような「マシンを購入し、レースに出て、賞金を稼ぎ、その金でマシンを強化する」といった流れにはなっていません。
乗るマシンは自由に選べず、レースごとに変わります。
PC 版や専用ゲーム機版にあったオンラインモードは、賞金を稼いでマシンを買ったり強化できるモードだったのですが、残念ながらそうしたコレクション&育成の要素はなくなっています。
今のキャリアモードでも十分に楽しめますが、そうしたモードも欲しかったのは本音でしょうか。
なお、前述の5つ以外にも、ゼロヨンのような「DRAG Racing」、峠道を走る「Sprint」があるのですが、これはダウンロードコンテンツであったためか、キャリアモードでは登場しません。
追加レースである「エキストラ・チャンピオンシップ」に含まれています。
※難易度レベルは5段階ありますが、「ビギナー」はもちろん「プロ」でもそんなに難しくありません。
しかしその1つ上「エキスパート」にした途端、操作が難しくなりライバルも速くなる。
実は「プロ」でも AI のレベルはビギナーなので、操作性を維持したまま AI だけ強くしたい場合は「カスタム」で個別に調整しましょう。
※リザルト画面。高い順位を目指すのはもちろん、チームやスポンサーの提示する条件を満たすことで経験値が上がります。
1位じゃなくても目標順位より高ければ、経験値は相応に入ります。
※ドリフトコンテストで失敗しているところ…
ドリフトだけは何十回やってもコツがつかめない。とりあえず解ったのは…
・ブレーキは不要。ドリフトマシンはハンドルを切ってアクセル踏むだけで滑る。
・滑り始めたらすぐにカウンターステア(逆ハンドル)をあてる。
・滑りすぎてると思ったらアクセルを離す。そのまま止まっても構わない。スピードレースではないので止まっても★5を貰えたりする。
とにかく何度も巻き戻し、成功するまでやり直すしかないですね。
※奥多摩スプリント。日本の峠道コースがあるのは嬉しいですが、架空のコースの模様。
道の脇には神社や鳥居など、日本らしい建物が並んでいます。テレビ中継のやぐらも。
何となく、箱根駅伝を参考にしたんじゃないかと思う…
ストイックなレースゲームですが、その破格のビジュアルとボリュームにより、走ること自体を楽しめるゲームです。
車の表現力は Real Racing 3 の方が上かな、とも思うのですが、こちらは最初の金額だけで内容の全てを楽しめることが保証されています。
スマホ / タブレットのレーシングは、リアル系の Real Racing、ゲーム系のアスファルトが定番でしたが、今後はリアル系の代名詞はこちらになりそうですね。
ただ、新機種でないと辛い、最低 6GB 以上の容量がいるという点で、やや敷居は高いですが。
レースゲームが好きな方や、最新機種の性能をフル活用したビジュアルを堪能したい方は、やっておきたい作品でしょう。
GRID Autosport(iPhone、App Store)
※Youtube 公式 PV
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