The Room: Old Sins
アドベンチャー 脱出ゲーム
開発:FireRoof Games(イギリス)
販売:NetEase Games(香港)
価格 600 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2018/4/4
世界最高の脱出ゲームに新作が登場
細密に描かれた非常に美しい 3D グラフィックと、タッチパネルを活用した直感的な操作を持つ、ポイントクリック型のアドベンチャーゲーム「The Room」シリーズ。
最高の脱出ゲームとして名高いこのシリーズに4作目が登場しました。
「The Room: Old Sins」です。
欧米では1月に公開されていて、日本は翻訳待ちとなっていたのですが、先月ようやく日本での公開も始まりました。
販売は香港のメーカーが行っていますが、これはローカライズを担当したところです。
ノートに書かれた手書き風の文字や、絵の一部になっている文字もちゃんと日本語になっており、翻訳も完璧です。
The Room は(今風の言い方だと)脱出ゲームと言えますが、実際には大きな箱や装置をいじくり回し、そのしかけを解除していく内容です。
しかし今作はいくつかの部屋を移動しながら謎を解く展開も加わっており、ちゃんと「ザ・ルーム」な内容になっています。
一方で、その部屋はドールハウス(ミニチュアハウス)の中にあり、全体としては1つの大きなドールハウスをいじくり回している形です。
価格は 600 円。買い切りゲームであり、課金・スタミナ・広告等はありません。
Android 版は4月中の予定。
なお、今作の発売に合わせて、3作目の「The Room Three」も日本語対応版が(別アプリで)公開されています。
謎の機関の依頼を受けた主人公が、謎の技師が研究していた謎のマテリアル「零因子」を探すべく、研究の行われていた館に忍び込む物語。
正直、謎が多過ぎて全体のストーリーは把握できません。
ただ、メッセージが日本語になったおかげで、旧作よりは解りやすくなっています。
いずれにせよ、The Room シリーズはそれぞれ独立しているので、旧作を知らなくても問題ありません。
ゲームが始まると主人公は「接眼鏡」を取り出します。
これは The Room シリーズに共通して登場する「見えないものが見えるレンズ」で、小さな空間に入り込んだり、霊的なしかけに触れたりすることもできます。
接眼鏡のボタンは常に画面上にあり、これを使って現実と虚構の視点を切り替えながら謎を解いていきます。
※レンズを通すと、異なるモノが見えてくる…
解らなくなったら、とりあえずレンズを使って見回してみましょう。
※レンズで浮かび上がった謎の帆船模型。
血痕もルミノール反応のように浮かび上がります。
クトゥルフ的な世界観がありますが、明確にクトゥルフ神話に関係しているとコメントされてはいません。
前述したように、主人公が調査するのは館の屋根裏部屋にあった、その館のドールハウス(ミニチュアハウス)。
あくまでドールハウスですが、接眼鏡を使えばこの奇妙なドールハウスの中に入れ、あたかも実際の館のように探索することができます。
そしてドールハウスの部屋には「謎の箱」がある場合が多く、例によってこれをいじり回します。
画面をスライドすると視点を移動でき、あやしい場所をダブルタップするとそこにズームイン。
ズームから離れる時(ズームアウト)はピンチ操作で行います。(二本の指を開く)
どこがあやしいかは表示されないので、画面を見回しながら何かありそうな場所をダブルタップしまくることになりますが、だいたい解りやすいものになっていて、陰険な隠され方はしていません。
そしてダイヤルやレバーがあったらスライドで回せ、ボタンがあったら指で押せます。
この直感的な操作が非常にリアルで、例えば箱のフタを開く時、ゆっくりスライドすればゆっくりと、指の動きに連動して開きます。
中途半端に開いたときはまた重力で閉じたり、まるで触っているかのように動きます。
グラフィックもすごく綺麗で、その細かさは画像を見て解る通り。
iPad でズームしても粗が見えないその細密さは驚きで、さすが The Room シリーズと思わずにはいられません。
※今回の舞台、ドールハウス。
360 度の方向からグルグル見回せます。
※そして毎度おなじみ、ヘンな箱。
これも好きな角度で見回せるので、隅々までチェックしましょう。
手前のノートには、かつてこの屋敷に住んでいた研究者とその妻の日記が記されていますが…
今作の特徴というか、前作と違うと感じたのは… 遊びやすくなったこと。
前作の The Room Three はボリュームが増し、移動できる部屋も増え、かなり拡張されていたのですが、そのために移動が面倒な場面があり、謎解きも難しくなっていました。
一方今作は、謎解きが全体的に簡単になっています。
解り辛い場所にしかけがあることは少なく、アイテムを使う場所もすぐ思い付きます。
加えて The Room はしばらく悩んでいると「ヒント」が表示されるのですが、これが日本語。
おかげで悩んでも、これを見れば行き詰まることはありません。
ヒントは3段階あり、徐々に詳しくなっていくのですが、今作は3段階目のヒントが出るまで悩んでいたことはほとんどありません。
部屋の移動も舞台がドールハウスのため、通路や扉を通っていくのではなく、部屋画面からドールハウスの全景画面に戻る → そこから入りたい部屋を選ぶ、という形で簡単に移動できます。
そして用がなくなった部屋は閉じられるので、行ける場所がどんどん増えてどこを探せば良いのか解らない、ということにもなりません。
簡単すぎず、難しすぎず、適度に頭を使いながら、快適に進行できるバランスですね。
謎解きの進展が美しい 3D グラフィックで表現されるため、やり甲斐もあり、私も一気にクリアしてしまいました。
※機関車の模型。いじり回すことで色々なところが出たり引っ込んだり、変形したりして、レンズを使えば乗り込むことさえ可能になります。
脱出やアドベンチャーと言うより、爆弾解体系のゲームに近いですね。
※中庭の噴水。静止画では解りにくいですが、水の表現がめちゃリアル。
遠景にはぼかしが入っているのも解ります。
クリアまでは4~5時間ほど。
謎で悩むともっと長くなりますが、日本語のヒントがあるので、そこまで長くなることはないでしょう。
前作が「より凄くなった」という感想だったのに対し、今作は「より洗練された」という印象です。
今回も脱出ゲームの最高峰と言って間違いありません。
アドベンチャー系が好きな方は、ぜひ試して欲しい作品です。
※Youtube 公式 PV
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The Room シリーズ