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Predynastic Egypt レビュー

Predynastic EgyptPredynastic Egypt
歴史シミュレーションゲーム
開発:Ilya Terentev(個人、ロシア)
販売:Clarus Victoria Games(ロシア)
600 円、買い切りゲーム
レビュー公開:2017/6/9
iPhoneAndroidSteam

※2019年4月に日本語に対応しました。

古代エジプト文明の創世を描く歴史浪漫 SLG

ナイル川流域の部族国家が統合され、エジプトの原始王朝が勃興していく、古代エジプト文明の創世を描いた歴史シミュレーションゲームが登場しています。
Predynastic Egypt」です。

Predynastic Egypt

内容は「ユニットの移動がない内政メインのシヴィライゼーション」といった感じですが、最大の特徴はその「エジプトらしさ」でしょう。
アイコンやイベントの画像はエジプト美術風に描かれており、研究する技術も当時の生活や信仰を反映しています。

メッセージは英語ですが(現在は日本語に対応)システムは複雑ではなく、遊びやすい開発シミュレーションです。
ただし難易度が低い訳ではなく、制限ターンでの最終目標達成は初見では困難。
しっかりした歯応えのあるゲームですね。

制作したのはロシアの個人開発者の方のようですが、歴史ゲームを専門に扱う Clarus Victoria というメーカーが協力しているようです。

Predynastic Egypt 雨のシーン

今回はプレイガイド風のレビューでお届けします。

開始時に Choose Prologue(プロローグの選択)の画面が現れますが、これは難易度の設定です。

4項目あり、全部上がイージー、中間がノーマル、下がハードで、最終スコアにも関わります。

とりあえず最初は全部上にして始めましょう。

Predynastic Egypt 難易度選択
※難易度選択画面。すでにこの時点でエジプト感満点。

ゲームは紀元前 5000 年、ナイル川支流に興った小さな部族からスタートします。

最初の土地には麦のマークが1つあり、これは食糧を1つ産出することを表わしています。
その場所に労働者のアイコンをドラッグで配置すると、ターン毎に食糧を得られるようになります。

しかし労働者は食糧を1つ消費するため、これでは差し引きゼロ。
発展はできません。

でも次のターンには、近くの雲に包まれた地域を探索できるようになります。
そこに労働者を派遣してターンを進めると、食糧を2つ収穫できる森が見つかるはず。
ここに労働者を置けば、食糧が少しずつ貯まっていきます。

食糧が一定量になれば「+」ボタンで新しい労働者を生み出すことができ、それを使って更なる食糧の生産や探索を行うことができます。

Predynastic Egypt 序盤の画面

土地の生産力は序盤の土地以外、プレイごとに変わるため、どこに良い土地があるかは解りません。
より良い場所を探して探索を続ける必要がありますね。
たまに探索した際、食糧が見つかるといったランダムイベントが起こることもあります。

人口を増やすと、アンクマークの文化(Culture)も増えていきます。
これはシヴィライゼーションで言うところの「研究力」で、一定量になると新しい発見(Discoveries)を習得することができます。

最初に覚えられるのは食糧の増加量がアップする家畜と、文化の増加量がアップする鷹の信仰、探索が早くなる犬飼い。
メッセージは英語ですが、どんな発見か壁画風の絵で表わされていて、簡潔な文とアイコンで効果が表記されているため、英語が堪能でなくても解るでしょう。

Predynastic Egypt 発見画面
※エジプト壁画風の発見選択画面。
タップすると効果を確認できます。色の付いている文字だけ見れば OK。
Growth +1 ○ every 砂時計」は、毎ターン ○ が +1 増えます。
「One-time」は1度だけ入手して終わり。
「Allows to build」は建物の建設が可能になります。

また、探索が進めばハンマーマークの資源(Production)を得られる土地も見つかります。
資源は蓄積されていき、必要な発見を得ることで、土地を改良する「建設」に使うことができます。

まずは農耕(Experimental farming)を発見して、農地の建設を行いましょう。
ハンマーマークのボタンを押して建てたいものを選択。
すると建設担当者を配置する枠が現れるので、そこに労働者をドラッグ。
これで一定のターン建設を続ければ農地が完成し、その土地の食糧産出量がアップします。

ただ、施設が作られる場所は決まっていて、変更はできません。
技術を発見しているのに建物が作れない時は「Go to」のボタンを押し、建設場所を確認しましょう。
そこが未開地である場合、先に探索しなければなりません。

Predynastic Egypt 建設ツリー画面
※建設リストはツリー形式。手前の建物から順に作っていく必要があります。
人口が最大数(都市規模)に達したら、家を作って最大数を増やして下さい。
もし人口がそれを超えてしまうと生産力にペナルティが付きます。

Predynastic Egypt 砂嵐のシーン
※建物が完成すると見た目も町っぽくなっていきます。
画像は砂嵐が来ているところ。建物が壊れて修理に資源が必要になります。
資源は取引にも使うので、ちゃんと貯めておきましょう。
雨が降った時はしばらく食糧の生産量がアップします。

ゲーム中、発展の小目標となる「Mission」と「Trial」が発生します。

ミッションは達成するとボーナスが貰えるもので、最初は労働者を3人、次は農耕地を2ヶ所にすれば達成されます。
期限はないので、あわてて達成しなくても大丈夫です。

一方、トライアルには期限があり、早期に達成できればボーナスを得られますが、期限が過ぎてしまうと何らかのペナルティを被ります。
例えば、最初に起こる期限付きイベント「The growing threat」は他の部族との接触で、期間は9ターン。
期限内に人口を5にできないと攻撃を受け、大きな被害が生じます。

次のトライアル「The Sanctuary of the Falcon」は鷹の聖域の建設を行うのですが、普通に作ると 15 ターンかかります。 でも期限は 10 ターン。
ただ、建設中に余剰の食糧や資源を出すことで工期を短縮できます。

また、ゲームが進むと杖が交差したマークの権威(Authority)ポイントが増えていきます。
これを使って信仰による恩恵を得ることができ、例えば先祖(Forefathers)を敬えば文化が5ターン増え、豊穣の牛の信仰なら食糧が3ターン増えます。

そしてホルス(鷹の神)は最初は川の食糧アップなのですが、鷹の聖域のトライアルが始まると効果が「建設の工期を2ターン短縮」に変わります。
この効果を使っても、神殿の建設を早めることができます。

Predynastic Egypt サハラからの難民イベント
※トライアルには色々なものがあります。 これはサハラが砂漠化し、そこに住んでいた部族が押し寄せてきたイベント。
現代でも深刻な難民問題に古代の民はどう立ち向かうのか?
Assimilate は食糧を与えて同化を促し、Expel は徴兵を行って彼らを追い払います。
Reform は制度改革を行い対処しやすくしますが、1度しか行えません。
詳しくはボタンを押しっぱなしにすると確認できます。
対処を行うと難民の Tension が下がり、0 になるとクリアですが、対処には出費が必要。
しかしほっとくと Tension が上がり、長引くとトラブルも発生、時間切れで大変なことに。

Predynastic Egypt テンプルオブファルコン
※トライアルの達成により大建造物が完成すると、こんなイラストのシーンが。
重要トライアルには Bronze、Silver、Gold のクリア評価があり、早く達成するほど高評価になって報酬とスコアがアップします。

探索を進めていくと、いずれ他の部族の村が見つかるでしょう。

態度が友好的(friendly)や中立(neutral)なら問題ありません。
人を派遣して物々交換したり(Trade)、贈り物をして友好を高めたり(Gift)することができます。
関係は悪くなりますが襲撃(Raid)も可能。
友好的なら大量の資源を送って併合(Unite)することもできます。

しかし敵対(hostile)している部族がいる場合、剣マークの危険度(Probability of attack)が増していき、略奪などのバッドイベントの発生率が上がります。
いざという時は征服(Subdue)に乗り出す必要もあるでしょう。

Predynastic Egypt 敵対部族登場
※態度が hostile な部族登場… 幸い強さが weak なので攻め込めば潰せそうですが、特産が meat(肉)なので友好を築いて取引すれば食糧が助かるかも?
場所的に邪魔なら潰すしかないですが…
なお、征服すると危険度が 10 下がります。

他部族との戦争は、序盤は確率で勝敗が決定されます。
征服を選んで人を派遣すると食糧を消費しながら戦争準備が行われ、完了後に「Attack」すれば結果が表示されます。

ただ、ゲームが進んで軍隊(常備兵)を用意できるようになると、兵舎に労働者を派遣することで兵士が増え、他の部族にも兵士数が表示されるようになります。
以後は戦争が起こると互いの兵士が減っていく戦闘画面になり、それにより勝敗が決まります。

他の部族がどこにいるかはゲームごとにランダムで、施設の建設地にいる場合もあります。
こういう場合、その部族を征服するか併合しないと建設を行えません。

Predynastic Egypt 戦争シーン
※戦争画面。勢力拡大のためには戦いも避けられません。
戦闘は自動なので、十分な兵力を用意し、あとは見守るのみ。
ランダムに奇襲や指揮官の戦死などが起こって数値が大きく動くこともあります。
戦闘後には互いの被害者数が表示されます。

ゲームの最終目標は、ナイル川流域に巨大なエジプト文明を完成させること。

ゲームが進むと Hierakonpolis chiefdom(ヒエラコンポリスの成立)という都市国家成立のトライアルが発生します。
6部族を討伐 or 糾合するイベントで、これに成功するとナイル広域マップに移れるようになり、以後は拠点マップと広域マップの切り替えが可能になります。

ラストトライアルのクリア条件は最初から提示されており、以下の6つ。

1. ヒエラコンポリスを成立させナイル広域マップに至る
2. ナイル地域にいるライバル Seth tribe の打倒
3. ナイル流域の 15 の土地を支配下にする
4. 最後の発見 Single Pantheon(統一信仰の神殿)を取得
5. 最後の建設 City of Memphis(首都メンフィス)の完了
6. 上記条件と 5000 の食糧で Celebrate(エジプト統一の祝祭)を実行

ただし、ゲームは 220 ターンで終了。
ちょうどギリギリぐらいに設定されていて、あまり余裕はありません。

最後にトライアルの結果と開始時に設定した難易度に応じてスコアが表示され、ゲーム終了となります。
ちなみに終わるのは紀元前 3000 年。
古代エジプト成立までの物語なので、我々がよく知るエジプト文明は、そのあとの話ですね。

Predynastic Egypt ナイル広域マップ
※最初のマップは、実はナイルの片隅の一地方に過ぎません。
広域にマップに入ってからが、エジプト統一のための本当の戦いの始まり。
以後、右下の家ボタンとピラミッドボタンでマップの切り替えができます。
すぐ近くにいる Seth(セト)をあがめる部族はライバルで、まともに戦っても勝ち目はありませんが、たまに向こうから攻めて来るのでご注意を。
決戦イベント「The Ombos Invasion」に勝利できれば弱体化します。

Predynastic Egypt エジプト統一トライアル
※ゲーム終了が近くなると出てくる「エジプト統一」トライアル。
ナイル流域部族の制圧が必要ですが、全部族を制圧する必要はなく、取引する相手も残しておいた方が良いです。
なお、広域マップに入って提示されるミッション「The trade with the Palestine」は、右上にいる部族とトレードを開始しないと達成にならないので注意。

古代文明が発展して行く様子を神の視点で眺められる、歴史ロマンを感じる作品。
シヴィライゼーションの序盤、もっとも楽しい時期をピックアップしたようなゲームですね。
ドイツゲーム(ボードゲーム)のような雰囲気もあります。

システムは割とシンプルですが、研究の順番や信仰パワーの使い方で展開が変わってくるので、どういう風にすれば最適な開発を行えるのか、それを模索する楽しみがあります。

個人的に好みで、歴史ゲームや開発ゲームが好きな方にはイチオシのアプリです。

Predynastic EgyptPredynastic Egypt(iOS 版、iTunes へ)

Predynastic Egypt(Android 版、Google Play)
Predynastic Egypt(PC版、Steam へ)

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