Kingdom: New Lands
開発ゲーム ディフェンスゲーム
販売元:Raw Fury Games(スウェーデン)
開発元:個人。協力 Noio、Licorice(オランダ)
1200 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/3/12
数々の表彰を受けたインディーズのヒット作
王が自ら馬で駆け回り、民を集めて村を建設、外敵を防いで新天地を目指す、数々の表彰を受けたディフェンスゲームが iPhone に移植されています。
「Kingdom: New Lands」です。
2016 年に Steam で公開され、レトロ風のドットグラフィックでありながら、自然の情景や水面に映る風景の美しさ、歯応えのある内容で高く評価された作品です。
村を拡張しながら防壁や櫓を作って敵を防ぐ、「開発+ディフェンス」のゲームですが、システムがシンプルにまとめられており、操作も「左右に走って、お金を拾う、もしくは落とす」のみという、簡潔なものとなっています。
ただ、簡潔にまとめ過ぎて、初心者には非常に解りづらいゲームなのが難点・・・
価格は 1200 円。iOS アプリとしては高めですが、Steam 版は 1480 円なので、それより安め。
買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
開発はオランダの個人制作者の方ですが、メーカーからの協力も受けたようです。
ちなみに Nintendo Switch 版の発売も予定されています。
まずいきなり、最大の欠点について述べたいと思います。
それはとにかく解りにくい!!
最初にチュートリアルがスタートし、ガイドの幽霊が基本操作を教えてくれるのですが、そこで言われるのは「左右に走りましょう」「お金を拾いましょう」「人にお金を落としましょう」「焚き火にお金を使いましょう」「弓とハンマーを作りましょう」「建てて、拡げて、守るのだ」。
以上。
「は? 人にお金をあげたらどうなるの?」「弓やハンマー作ったらどうなるの?」「そもそも何をするの? 目的はなに?」
そういう説明は一切なし。
メッセージは日本語化されていますが、文章が出るのはほぼチュートリアルのみなので、読めなくても問題ないけど、読めても詳細不明。
そして iTunes や Steam の説明文には「自分で謎を解きながら進めるゲームです。何をどのように活用するか考えて下さい」とか書かれている。
つまり、ゲームのやり方を探るのもゲームらしい・・・
正直、そういう言い分のゲームって私的には嫌い。
この洋ゲーらしい「投げっぱなし感」は久々です。
と言う訳で、今回はゲームの進め方の基本を説明し、それをレビューに替えたいと思います。
開発側の趣旨通り、1から全部自分で解明したい人は回れ右して下さい。
ゲームは真横視点で、画面スライドで左右移動、大きくスライドすると走ります。
タップすると所持しているコインをポトッと落とし、お金を使える施設の前で立ち止まるとタップで支払いを行えます。
まずはコインを拾い集めながら、焚き火のある場所に行きましょう。
焚き火の近くには難民が2人いて、彼らの前にコインを落とすと「おめぐみ」になり、拾った人は王国の「国民」になります。
ただし、難民が焚き火の近くにいるのは最初だけ。
その後は森の中にある難民キャンプに現れます。
このキャンプからは定期的に難民が出てきます。
国民を増やしたいなら、コインを持ってこのキャンプを探しましょう。
焚き火の前で立ち止まると、コインを3枚使用できます。
この焚き火は「町の中心」であり、ここにお金を払って町の規模を拡大できます。
※画面を下にスライドしてそのまま長押しすると、連続して支払を行えます。
規模を拡大すると新しい施設を利用できるようになります。
最初に出てくるのは「弓」と「槌」を作る店。
お店の前に立ってお金を払うと購入を行え、作った弓を国民が装備すると「弓兵」に、槌を装備した人は「大工」になります。
つまり、国民はいるだけでは役に立ちません。
弓や槌も装備する国民がいないと意味がありません。
これらはセットで用意して下さい。
大工ができたら、土が盛り上がっているところでお金を使いましょう。
すると大工が敵の侵攻を阻む「防壁」を作ってくれます。
※軍旗が付いている壁は最前線であることを表わします。
兵士は通常、最前線の壁の後ろで守ります。
ただし、一番内側の壁には軍旗は付きません。
また、石があるところでお金を使うと「櫓」が作られます。
櫓には弓兵が常駐し、そして地上の敵からの攻撃を受けません。
しかし弓兵は普段は狩人として動物を狩り、コインを稼いでくれますが、櫓に常駐した弓兵は狩りを行わなくなります。
もちろん弓兵が足りない場合も意味がありません。
櫓は弓兵が増えてから用意しましょう。
なお、狩人は稼いだコインを所持していますが、前をゆっくり通り過ぎるか立ち止まると、そのコインを落としてくれます。
そうこうしていると夜になります。
この手のゲームの夜はデンジャラス・・・
ご多分に漏れず、モンスターの皆さんがぞろぞろやってきます。
夜になると国民は壁の内側に避難し、弓兵は壁の後ろでスタンバイします。
モンスターはまず壁をガンガン殴り始めますが、弓兵がいれば撃退できるはず。
破損した壁は全壊でなければ、朝になったら大工が修理してくれます。
全壊した場合はコインを払って建設し直して下さい。
もし人がモンスターに襲われると、手持ちの弓やハンマーを落として単なる国民に戻ってしまいます。
単なる国民が攻撃を受けるとコインを落とし、難民になってしまいます。
装備やコインを拾い直せれば元に戻りますが、大抵はモンスターが持ち去ってしまいます。
こうなると装備の作り直し or 難民の雇い直しになります。
また、プレイヤーである王様が攻撃を受けるとコインを落とし、コインがないなら「王冠」を落としてしまいます。
王冠は守るべき権力の証。モンスターに奪われると敗北です。
落としてもすぐ拾えれば復活できます。
首尾よくモンスターを撃退できるか、朝を迎えられれば・・・ 再び安全に。
そして2日目の朝になると、焚き火の側にロバを連れた「行商人」が来ているはずです。
※町が横に広がると、行商人の出発前の待機場所は焚き火ではなく、外壁の側になります。
彼に近付くとコインを8枚落としてくれます。
そして彼にコインを1枚支払うと、再び行商に旅立ちます。
翌朝にはまた戻ってきて、コインを8枚出してくれるでしょう。
彼は重要な収入源なので、朝になったら回収とコイン1枚の出資を忘れないで下さい。
そしてコインを稼いで焚き火に使い、さらに町を拡張すると・・・
クワを生産するお店ができます。
これを装備した人は「農民」になります。
農民は農作業でコインを生み出してくれます。
しかし農民が作業するには「農地」が必要で、これは川が流れている場所にコインを使い、開発しなければなりません。
※1段階目の農地は、夜になると農民は町に避難します。
2段階目(水車小屋)は農民が小屋に留まり、往復しなくなるため、(モンスターが来ないなら)作業効率は上がります。
近くに川があれば問題ありません。
しかしなかったら?
そこまで森を切り開き、町の敷地を拡張しなければなりません。
森を切り開くには、森の端の木々にお金を使い、伐り倒す必要があります。
大工が木を伐ったらその場から離れ、しばらくしてから再び向かうと、森がなくなっているはずです。
そこに川や石があれば農地や櫓を作れますし、広い平原はウサギの出る狩り場になります。
ただ、難民キャンプや行商人の交易所は、森の中にあります。
それらの周辺を切り開いてしまうと、その施設は消えてしまいます。
行商や人の調達が困難になるため、その周囲の開拓はよく考えて行って下さい。
町をさらに拡張すれば、お金を預かってくれる銀行員や、投石機の建造所も登場。
投石機は複数のモンスターを攻撃できるため、大量のモンスターが襲撃してきても対抗することが出来るでしょう。
※これが行商人の行き先、森の中の交易所。
これは絶対なくさないように。行商人が消えます。
※この人が銀行員。 お金を落とすと拾って、建物の中に納めてくれます。
引き出すのは前に立っていれば OK ですが、夜はいなくなります。
※投石機の建造所は左右に分かれていて、右側で作ると右の壁を守る投石機が、左側で作ると左の壁を守る投石機が作られます。
投石機は大工が使用し、2人いると装填が早まります。
開発の基本は、こんなところです。
モンスターの襲撃は次第に激しくなりますが、守りをしっかり固めていけば、長く持ちこたえることが出来るでしょう。
さて、ゲームの目的は何なのでしょうか・・・?
それを解明するには遠出しなければなりません。
町から離れると、以下のようなものが見つかるはずです。
これは森の中にある、石工技術のモニュメント。
某秘密結社でおなじみの石工職人ギルドのマークがありますが、これにコインを支払うと木の防壁を石の防壁までアップグレードできるようになります。
長く攻撃に耐えるには必須なので、早めに見つけたいところ。
※続編の「Two Crowns」は、最初の島には石工所がありません。
また、二番目の島で石工をアンロックすると、全ての島で石を扱えるようになります。
他にも、弓攻撃が正確になる弓兵の彫像や、壁がより固くなる大工の彫像、それらの彫像が現れるようになる看板などが見つかることもあります。
森の中にお金が入った宝箱があることも。
そして、こんな瓦礫が見つかります・・・
これは船の残骸です。
これを修理することで帆船が完成、新たな島へと旅立つことが出来ます。
それはゲームクリアを意味します!
ただし、船はそう簡単には完成しません。
コインを費やして建造を開始した後、さらに材料調達のため何度もコインを支払う必要があります。
場所が遠ければ往復する必要があり、大工がここまで来て作業する必要もあります。
もちろん作業中にモンスターに襲われると大変なことになります。
最初の島は、実はモンスターが一方向からしか来ません。
守るのは片側だけで良く、船の残骸がモンスターが来ない方にある場合は、かなりラクになります。
しかしモンスターが来る方に船の残骸があると・・・
作業の度に蹴散らされていたのでは大変なので、森を切り開いて防壁を築き、守らなければなりません。
船が完成すると、画面下の川に浮かべられ、桟橋に向かって進んでいきます。
フィールドの端は、一方はモンスターの出る洞窟、もう一方は桟橋のある海になっていて、この海側から船出します。
完成しても、そこに到着するまでは守らなければなりません。
※続編の「Two Crowns」は、すぐ近くにある港から出航できます。
出航前に近くにある鐘を鳴らすと、大工、弓兵、騎士などが乗船します。
船が到着し、出航に必要なコインを支払えば、ようやく使命達成。
その島での戦いは終わります。
しかし、まだ始まりに過ぎません。
さらに手強く、新たな敵も登場する、次の島での開拓が待っています。
2つ目以降の島には「ゲート」があります。
これはモンスターが湧き出てくるもので、洞窟が左端に、ゲートが右にある場合、両側から襲われることになります。
ただ、こちらから反撃し、ゲートを破壊することもできます。
村を城まで拡張すれば、城の入口の左右で「盾」を生産でき、装備した人は「騎士」になります。
騎士には数人の弓兵がお供に付き、騎士がいる側の壁の軍旗にコインを払うことで、突撃指令を出すことができます。
指令を受けた騎士団はゲートへの攻撃を敢行します。
※騎士にコインを与えると耐久力がアップします。
コインを持っていない騎士は1撃でやられるので注意。
軍旗は町の一番内側の壁には付かないので、最低1段階は町の土地を広げなくてはなりません。
ゲートを破壊できれば、そこから敵が出現しなくなります。
片側のゲートをすべて破壊し、それが海側(洞窟がない側)なら、そちら側から襲われなくなります。
また、ゲート跡にはワープ装置を建設することもできます。
ただ、フィールドの端にある洞窟の大ゲートは破壊困難で、壊しても一定期間で復活します。
騎士の突撃は小さめのゲートを壊すものだと思った方が良いでしょう。
船の護衛のために騎士団を派遣することもできます。
※ワールドマップ。 と言うかステージ選択画面。
各ステージにある看板にコインを払い、地図を手に入れると、彫像や騎乗動物などを発見できます。
発見後は他のステージでも出現するようになります。
馬に同乗する隠者は、最大強化された櫓を特殊な建物に建て替えることができます。
ゲームの概要は以上です。
これを一通り読めば、とりあえず悩まずに進められるとは思いますが・・・
しかし簡単なゲームではないので、クリアには試行錯誤が必要でしょう。
私的には、最初の解り辛さはどうかと思います。
PC のインディーズゲームだったから大目に見られてるのだろうけど、これがメーカー制のゲームだったらフルボッコに叩かれてる気もしますね。
しかし基本さえ解ってしまえば、やはり面白いです。
そこはさすがに数々の表彰を受けたゲーム。
難易度の高さも挑戦意欲を湧かせてくれますし、失敗した時に「あそこでああすれば良かった」というのがハッキリしているので、何度もやる気になれます。
フィールドもランダム生成で、繰り返し楽しめます。
やや人を選びますが、ディフェンスゲームや開発ゲームが好きな人で、インディーズ系の洋ゲーに抵抗がない人なら、かなりハマれる作品でしょう。
・Kingdom: New Lands(PC版、Steam へ移動)
※Youtube 公式 PV
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