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創世のエル(完全版)レビュー

創世のエル創世のエル ~英雄の夢の終わりに~
RPG
株式会社 鷲見(日本)
本体無料、最後までプレイするには 1220 円
レビュー公開:2017/4/12
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※2018年1月、この作品は App Store から消えており、入手できなくなっています。
※2020年3月、販売再開しました。

社会風刺な世界観の JRPG がようやく完結

魔王を倒すため勇者ご一行が旅に出る、ターン制の JRPG…
そんなありきたりな RPG が外交問題・領土問題・核開発問題、さらに衝撃的なイベントの連発で予想外の展開を見せていく、あのいわく付きの作品がようやく完成に漕ぎ着けました。
創世のエル ~英雄の夢の終わりに~」です。

2012 年に開発が発表された作品で、予定が延び延びになりながらも、2015 年の2月に一旦途中まで公開されていました。
その際、すでに当方でも レビュー しています。

しかし続きが春に公開される予定でしたが、Apple の審査に引っかかるなどしてまた延び延びに。
そのうち続報も出なくなり、音沙汰がなくなって2年の月日が経っていました…
さすがにもう潰れたのかとあきらめていたのですが、先日ようやく「完成版」が公開されています。

※さらに公開から約半年で再び非公開に。
そのまま消えたかと思われたのですが、約2年が経った2020年の春、再び復活しています。

すでに一度レビュー済みですが、さすがに間が空いたので、改めて取り上げたいと思います。
アプリ本体は無料ですが、無料のままでは途中までしかプレイできず、続きを遊ぶには 840 円の課金が必要です。(価格は 5/8 に改訂予定)
※改訂後、1220円になっています。

しかし無料部分だけでも 10 時間近くのボリュームがあり、さらにこの2年の間に内容が足されたようで、ますます長編の RPG になっています。

創世のエル
創世のエル ゼクス&アイ&レン

スーパーファミコン風のドットグラフィックの RPG です。
最初は1人ですが、途中から3人パーティーで冒険を行うターン制バトルのゲームで、「JRPG」とも呼ばれるスタイルですね。

戦闘開始前しか戦うか逃げるかの選択ができない点や、戦闘中にアイテムを使えないというルールもありますが、基本的にはオーソドックスなドラクエスタイルのバトルです。

ただ、「女神転生外伝 新約ラストバイブル 1・2」を手がけた方が中心になっているためか、同じ敵が複数いる時はひとまとめになっていて、レベルアップ時に上げるステータスを自分で選べるなど、女神転生っぽいシステムも見られます。
ゲームが進むと敵を「カード化」して、それを装備することで様々な特殊能力を得られるシステムも登場します。

敵とのエンカウント率は高いのですが、攻撃ボタンの場所を押しっぱなしにすることで戦闘をオート+倍速で進行させることが可能。
おかげで戦闘は短時間で終わり、サクサク感があります。

また、どこでもセーブが可能で、ボス戦の前には HP と MP が自動で全快。
難易度も高くなく、誰でも遊べるバランスですね。
十字キーの操作性も良いです。

創世のエル 戦闘シーン(ナヂャ)
※右の敵に「2」という数字が付いていますが、この場合は2体います。
グループ攻撃の特性があれば2体まとめて攻撃可能。
剣ボタン押しっぱなしでオート戦闘になるので覚えておきましょう。

創世のエル カード装備画面
※カードは3つまで装備でき、自由に着脱可能。
特殊効果や魔法を得られたり、ステータスが上がったり、効果は様々。
カード化のコマンドを使う時、その敵の HP が半分なら成功率アップ、1/4 以下ならさらにアップします。

創世のエル ボス戦
※ボスとの戦い。 このゲームは全滅したらゲームオーバー!
ボス戦前には「!」のマークが出るので、その時に一旦戻りセーブしておきましょう。
HP と MP が全快してくれるのは親切。また HP が 0 になっても戦闘後に復活します。

ゲームシステムはオーソドックスで遊びやすいのですが、ストーリーはあまりにも奇抜で衝撃的、かつ伏線張りまくりです。
まさに「ストーリーで引っ張る RPG」ですね。

序盤の純粋なファンタジー RPG の雰囲気は早期にぶっ壊され、予想外のイベントでプレイヤーを驚かせたところに、政治・領土・核などの問題を提示してきます。
この世界には日本っぽい国、アメリカっぽい国、中国っぽい国が存在し、それぞれが現実の世界をモデルにした外交と国情を持ちます。

世界は「幻魔王」が率いる幻魔と呼ばれるモンスターに脅かされていて、それに対抗するため各国は同盟を締結、協力しているのですが、それぞれの思惑もあって微妙な関係です。
そんな中、魔王を倒すため「英雄」のご一行が旅立ちますが、主人公はそれとは別の存在です。

2年前(無課金の状態)だと、日本っぽい国とアメリカっぽい国を巡ったところでゲームが中断していたのですが、完全版になり、ようやく3つの目の国に行けるようになりました。
そこでも衝撃的なイベントが発生し、一部の謎が解明されると共に、新たな謎が次々と生まれます。

前作の時点だと、ストーリーのタイミング的に「左翼思想のゲーム」と言われることもありましたが、そういった印象もまた変わって来るでしょう。
長い説明のセリフや、ベタな仲間の会話などに批判がありましたが、物語の展開を楽しむゲームだと思うので、その辺は許容すべきところでしょうか。

創世のエル ナヂャの町並み
※やっと来ることができた3つ目の国「ナヂャ」。2年待ったよ…
中国という訳ではありませんが、チャイナな文化で、情報統制が強く、貧富格差が激しく、政府への不満を和らげるため外国への敵対心を煽っており、近隣諸島の領有権を主張し、軍拡思想を持ちます。

創世のエル ヒイロの絵本
※ゲーム内で読める英雄物語の絵本。
魔王の名前が「ドラモス」ですが、ドラクエとバラモスのパロディで、居城のマップもそれっぽい。
他にも大なり小なり、既存の RPG のネタがたくさん盛り込まれています。

創世のエル 原発の看板
※そして出てくる FUKUSHIMA の写真。
この世界には時空を越えた異世界から様々な「漂流物」が流れ着いており、そのひとつ。
その漂流物によって中世的な文化ながら、銃火器やコンピューターなどが存在します。

2年経ち、前バージョンの記憶がうろ覚えになっていたのですが、オープニングが変わるなど、色々と細かい変更点があった気がします。
そのため前バージョンを終えていた人も、新たに最初からプレイした方が良いと思います。

かなりボリュームがありますが、目の離せない展開と遊びやすさで、飽きずにプレイできますね。
最近のゲームしか知らない人だと、スーファミ風のドットグラフィックが見劣りするかもしれませんが、序盤をプレイすれば近年見られない展開に思わず引き込まれることでしょう。
子供だとトラウマになりそうですが。

ようやく完結した5年越しの大作。
おそらく長く語られる RPG の1つになることでしょう。

創世のエル ~英雄の夢の終わりに~創世のエル ~英雄の夢の終わりに~

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