Terra Mystica
ドイツゲーム ボードゲーム
DIGIDICED(ドイツ)
1200 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/4/28
愛好家投票1位の土地開発ドイツゲーム
魔術師や遊牧民、ドワーフやジャイアントなどの様々な種族が、自分たちの都合の良いように土地を作り替えながら、勢力と宗教の影響力を高め合う、ヘビー級のドイツゲームのスマホ / タブレット版が公開されています。
「Terra Mystica」(テラミスティカ)です。
ドイツゲーム(ボードゲーム)の愛好家の投票で決まる「ドイツゲーム賞」において、2013 年の首位に選ばれた作品。
マニアの支持が高いゲームで、多様な戦略を取れる深いゲーム性を持ちます。
実際、やってみた印象は「何度でも遊べて、一筋縄では行かない」といった感じですね。
しかしその反面、細かいルールが多く、ゲームはかなり複雑。
そのため遊びやすさなども考慮される「ドイツ年間ゲーム大賞」では、マニア向け部門(エキスパートゲーム賞)の推薦リスト入り(佳作)に留まっています。
良くも悪くも玄人向けですね。
価格は 1200 円。 買い切りゲームなので課金・スタミナ・広告等はありません。
アプリ版の販売元は アグリコラ:牧場の動物たち、ルアーブル内陸港、パッチワーク などを公開しているドイツのメーカー DIGIDICED。
実績のあるメーカーで、日本語化もされていますが、今作は翻訳が微妙で、このアプリだけでは遊び辛いのが本音です。
それでなくてもルールが複雑なのに加え、日本語があやしすぎてチュートリアルが難解なので、今回はルールの説明を中心にお届けいたします。
そこから内容を察して頂ければと思います。
プレイ人数は2~5人。
ゲームが始まったら、14 種類も用意されている「派閥」(種族)を選びます。
派閥ごとに居住する土地や、建物の建築コスト、特殊ボーナスなどが異なります。
幸い、各派閥のボーナスや特性は理解できる日本語で書かれています。
とりあえず最初は見た目で選べば良いでしょう。
派閥を選んだら、六角形のマスで区切られたボード上に「住居」を2つ置くのですが…
置ける土地は派閥ごとに決められています。
巨人の「ジャイアント」は岩場に、小人の「ハーフリング」は平地に、魔女の「ウィッチ」は森に住居を作らなければなりません。
置く場所を選んだら、下にある電波の絵のボタンを押して下さい。
これはターン終了ボタンで、これを押さないと次の人に進みません。
なお、回転矢印のボタンを押すとターンをやり直せます。
※終了ボタンを押し忘れてると、ボタンが赤くなって暴れ出します。
開始時の家は、1つ目は最初の順番の人から、2つ目は最後の順番の人から置きます。
全員が2つの住居を置いたら、今度は「ボーナスカード」を選びます。
これはそのラウンドだけ得られるボーナスが書かれたもので、早い者勝ちです。
最初はどれが良いか解らないと思いますが、難しいものではないため、ある程度やればどれが便利か解ってくるでしょう。
※最初のボーナスカードは、最後の順番の人から選びます。
2ラウンド目以降、誰も選ばなかったカードにはコインが1つ追加されます。
ボーナスカードを全員が選んだら、中央に「得点カード」が提示されます。
これには、そのラウンドで実行すると勝利点やボーナスを得られる行動が書かれています。
ゲームは「勝利点」を稼ぐのが目的ですから、出来るだけ得点カードに書かれた行動を行いたいところです。
※右上のタブをタップすると詳細を文章で確認でき、先のラウンドのカードも見られます。
以上が終わって自分の番になったら、ようやく行動開始。
その前に、ステータス表示の見方を説明しておきましょう。
なにやら細々と表示されていますが、特に重要なのは「コイン」と「労働者」。
労働者は白くて四角い箱で表わされています。
この2つを使って土地を改変(テラフォーミング)し、そこに建物を建てていきます。
住居のとなりのマスをタップすると、テラフォーミング画面になります。
例えば森に住むウィッチなら、そこを森に変えれば家を建てられる訳ですが、土地は7種類あって、どんな土地でも1発で森にできる訳ではありません。
このリストでとなりにある地形、つまり森のとなりの湖や山なら、1回分の消費で森にできます。
この場合、(一部のキャラをのぞき)労働者が3つあれば実行できます。
しかし沼(黒)や岩場(赤茶色)だと2回分、労働者6つが必要。
平地や砂漠からだと労働者は9も必要です。
基本的に、変えやすい土地を選んでテラフォーミングすることになりますね。
土地を変えたら、すぐに住居も建てられます。
住居は(一部をのぞき)コイン2枚と労働者1で建設可能。
これで勝利点が増え、ラウンドごとの労働者収入もアップします。
※住居に関するステータス表示部。手のアイコンはラウンド収入を表わします。
一部のキャラは建設費や収入が異なります。住居のコマは8つまで。
行動を終えたらターン終了ボタン(電波ボタン)を押して次の人へ。
ただし、これで「ラウンド」が終わる訳ではありません。
ラウンドは全員が「パス」するまで続きます。
もしテラフォーミングや建設をしたくても、コインや労働者が足りない時は…
「パワー」を使って代用や補充を行えます。
パワーは I・II・III の3段階に分かれています。
しかし、使えるのは III にあるもののみです。
パワーを使って行える行動は2つ。
1つはメイン画面の左上にあるタブをタップして行う「パワーの変換」。
ここではパワーをコインや労働者、さらに「司祭」という資源に変換できます。
しかし前述したように、対象となるのは III のパワーのみ。
変換に使った III のパワーは、I のパワーに変わります。
この画面では司祭を労働者にしたり、労働者をお金にすることも可能。
そして、変換したいけど III のパワーが足りないという時は…
右のボタンで II パワーを1つ「焼却」し、もう1つの II のパワーを III に上げることができます。
ただしパワーのコマの総量が減ってくると、後で困るかもしれません。
これらの「パワーの変換」は、ターンを消費せずに行えます。
もう1つ、パワーを使って「パワーアクション」を行うことができます。
これはメイン画面の右端をタップすると表示されます。
III のパワーを使って労働者やコインを貰ったり、テラフォーミングを実行したり、川に橋をかけたりできます。
こちらの方が入手効率が良いのですが、ターンを消費します。
また、そのラウンドで誰かが実行したパワーアクションは、ラウンドが終わるまで使用できません。
状況やキャラによっては、テラフォーミングはパワーで行った方が良く、その使い方はゲームのカギを握ります。
そして自分のキャラのアイコンをタップすると、実行できる行動の一覧が表示されます。
実行困難な行動には「×」のマークが付いているので、その時にやれることを確認できます。
「テラフォーミング」は先ほど述べた通り。
「船」のアップグレードは、川を渡るのに必要です。
これを上げておくと川の向こうでテラフォーミングや建設を行えるので、領地を拡大しやすくなります。
毎回実行する必要はなく、例えばこれを2に上げておくと、川を2マス進んだ先の岸でいつでも作業を行えます。
「スコップ」は開拓技術のアップグレードで、テラフォーミングに必要な労働者を軽減できます。
実行には多くのコイン、労働者、さらに「司祭」が必要ですが、テラフォーミングのたびに労働者3を払うのは辛いので、拡張重視なら早めに実行したいところ。
「建物の改築」のボタンは、住居を「交易所」に、その交易所を「神殿」や「砦」(要塞)に、さらに神殿を「聖域」に出来ます。
各建物の詳細は、キャラのステータス画面に書かれています。
※各建物の改築費用と収入はキャラごとに異なります。
住居はラウンドごとに「労働者」を1つ得られますが、これを「交易所」にすると労働者を得られなくなる代わりに、コイン2枚とパワー上昇を1つ得られます。
パワーの上昇は I のパワーが II になり、I のパワーがないなら II のパワーが III になるもので、これでパワーの再利用が可能です。
交易所を「神殿」にすると、(交易所の効果はなくなりますが)ラウンドごとに「司祭」を1人得られるようになります。
また「恩恵タイル」も1つ取得することができます。(詳細は後述)
「砦」にした場合は、キャラごとの特殊な効果が発生します。
そして交易所の改築に必要なコインが「3/6」と、2つ書かれている点に注目して下さい。
交易所は、となりのマスに他のプレイヤーの建物があると、必要なコストが安くなります。
つまり、となりに誰かいればコイン3、いないならコイン6が必要になります。
さらに、自国のとなりのマスで誰かが建設をすると「リアクション」が発生。
勝利点を減らす代わりに、パワーの上昇を得られます。
これは交易を表わしています。(リアクションは実行しないこともできます)
よって他のプレイヤーは土地を取り合うライバルであると同時に、互いに発展を助け合う関係でもあります。
これはゲームの重要なポイントです。
※他プレイヤーの番でも、となりで建設が行われるとリアクションの選択が表示されます。
リアクションで得られるパワーは住宅が1、交易所と神殿が2、砦と聖域は3。
他のプレイヤーと離れていると辛くなるので、家の場所はそれも考慮しましょう。
もう1つ、このゲームの重要な要素は「宗教」です。
この世界には 火・水・土・風 の4つの「教団」があります。
教団への貢献度(教団ポジション・教団トラック)は、主に司祭の派遣で上がっていきます。
キャラのアイコンをタップして司祭派遣のボタンを押すと、持っている司祭を教団に常駐させるか、一時的に派遣するかを選べます。
常駐させれば、その教団の貢献度が3か2アップ。
自分の司祭コマの総数(手持ちと場のコマの合計)が1つ減りますが、神殿が大量にない限り、あまり気にする必要はないでしょう。
一時的な派遣だと1しかアップしませんが、司祭コマの総数は減りません。
教団の貢献度は、他にもボーナスカードの効果などでアップします。
そして貢献度の順位に応じて、ゲーム終了時にボーナスの勝利点を得られます。
※教団画面。最初に司祭を常駐させた人は3つ、2番目~4番目は2つ、その教団のポイントが上がります。
1つの教団に常駐させられる司祭は4人まで。
教団のポイントが一定値を越える度に、パワーの上昇を得られます。
さらにゲームを左右する要素として「恩恵タイル」(神殿タイル)と「町タイル」があります。
恩恵タイルは神殿を作れば得られ、「住居を作る度に勝利点アップ」や「ターンごとの収入アップ」「教団貢献度の上昇」などの効果を得られます。
神殿はコインと労働者がいれば「聖域」に改築でき、聖域にした時にも恩恵タイルを得られます。
恩恵タイルは種類ごとに取得できる人数が決まっているので、早い者勝ちの側面も。
収入アップなどは出来るだけ早期に取りたいところですね。
「町タイル」は建物が4つ以上(聖域込みなら3つ以上)繋がっていて、さらに町の規模(住居1、交易所と神殿2、砦と聖域3)が合計7以上なら「町ができた」とみなされて、取得することができます。
こちらも「全教団の貢献度 +1」などの効果を得られると同時に、多くの勝利点を貰えます。
さらに、教団の貢献度を MAX(10)にするための「鍵」も獲得できます。
また、たくさんの建物を繋げて、広い町を作っていると、その順位に応じてゲーム終了時にボーナスを得られます。
これも教団ボーナスと共に非常に大きな得点で、ゲームの勝敗を左右します。
※恩恵タイル画面。 早期に取ると有利になるボーナスがたくさん。
下の段の教団ポイントを3つ上げるタイルは、誰か1人しか取得できません。
※町タイル画面。 教団ポイントを最大にするにはこの鍵が必要。
そして最大まで到達できるのは各教団で1人のみ。
町タイルはそれぞれ1人しか取れないので、これも早い者勝ちです。
コインや労働者が尽きてやれることがなくなったら、パスを選んでラウンドを終了します。
パスしない限り何度でもターンが回ってきますが、次のラウンドの順番は、前のラウンドで早くパスした人からになります。
ラウンド開始前のボーナスカードの選択も、早くパスした人から選べます。
ゲームは6ラウンドまで。
終了時に勝利点を集計し、もっとも高かった人が勝利です。
あくまで勝利点で順位が決まるので、広大な領土を獲得しても、ちゃんと点を稼いでいないと負けてしまいます。
※最終結果画面。
宗教ボーナスは各教団で1位の人が8点、2位が4点、3位が2点。
町のサイズのボーナスは1位が 18 点、2位が 12 点とかなり大きめ。
「町」が成立するには、土地が隣り合っているか、橋で繋がっている必要があります。
ただし最後の町のサイズのボーナスは、船で行き来できる範囲も町の広さに含まれます。
1ゲームはプレイ人数にもよりますが1時間ほど。
コンピューターのドイツゲームではかなり長い方ですが、やり応えがあります。
勝利点を稼ぐ方法が多く、キャラ(派閥)ごとに有効な戦略は変わってきます。
そのキャラが 14 もいて、毎回違う相手との戦いになるため、長く楽しむことができるでしょう。
現時点(2017/4)では4種類の AI がいますが、難易度は全て「簡単」になっています。
まだ強さに自信のある AI ではない模様…
それでも相応の強さで、最初はコツが解らないでしょうから、下位の相手でも苦戦するはず。
また、ちゃんと使用キャラに合わせた戦法を使ってきます。
上位のコンピューターはやや思考時間が長く、CPU をぶん回して考えているのか、バッテリー消費が多めなのが難点。
ゲストプレイヤーを含めて、本体を交互に使っての対戦も可能です。
スマホ / タブレットのドイツゲームとしては、ブラス や スチーム と並ぶ「ヘビーで複雑なドイツゲーム」ですが、これらに共通するのは「解りにくいけど、解れば奥深くて面白い」こと。
2013 年という、割と最近のドイツゲーム賞で1位になった作品ですし、ボードゲームフリークなら持っておきたいアプリですね。
Terra Mystica(iPhone 版、iTunes 起動)
・Terra Mystica(Android、Google Play へ)
Tweet |
DIGIDICED の他のアプリ