Valhalla Hills
RTS 開発シミュレーション
開発:Fanatics(ドイツ)
販売:Daedalic Entertainment GmbH(ドイツ)
480 円。買い切りゲーム。iPad 専用
レビュー公開:2017/5/28
ヘビーユーザー向けの本格開発 RTS
建設の神となり、ヴァルハラ(神の宮殿)に入れなかったバイキング達をサポートして、村を作り、食糧を生産し、部隊を作って敵を撃破する、開発重視の RTS(リアルタイム制シミュレーション)が公開されています。
「Valhalla Hills」です。
このゲームはスマホでも公開されていた本格 RTS「ザ・セトラーズ」(The Settlers)をベースにしています。
残念ながらセトラーズは公開終了となりましたが、今作を作ったのはオリジナルの Settlers 開発チームで、その内容は「セトラーズを 3D 化したもの」。
スマホで RTS を称するゲームは簡易的なものがほとんどですが、この作品はかなりしっかりした(Age of Empire シリーズのような)開発を行えます。
ただ、セトラーズはシステムがかなり複雑で、今作も取っ付きやすいとは言えません。
メッセージも日本語化されていますが、翻訳の精度は低め。
戦闘が少なく、前作よりは遊びやすくなっていますが、ヘビーゲーマー向けの内容と言えますね。
また、現時点(2017/5)では iPad 版しか公開されていません。
価格は 480 円。買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
ちなみに Steam 版は 3680 円、家庭用ゲーム機版はそれ以上だったので、大幅に安くなっています。
複雑なゲームなので、レビューと言うより「プレイガイド」として、ゲームの進め方を中心にご紹介したいと思います。
ゲームモードには「クラシック」と「オープン」があり、クラシックは序盤は簡単で、システムが徐々にアンロックされていく初心者向け。
オープンは最初から全ての施設が使える上級者向けです。
どちらもマップはランダム生成で、プレイごとに変化します。
まずは「クラシック」で始めましょう。
ゲームがスタートすると、3D の島が現れます。
マップはピンチ操作で自由にズーム可能、二本指でスライドすればスクロールします。
三本指でスライドすると視点の角度を変えられますが、45 度ぐらいしか動かせません。
まずは「木材」を調達する手段が必要です。
左下に3つのボタンがあり、上は生産施設、真ん中は家や倉庫、下は軍事施設を建設するボタンになっています。
上のボタンを押して、リストから「木こり」を選択しましょう。
そしてフィールドをタップして建設場所を指定するのですが…
土地が 緑、黄緑、茶色、赤 に色分けされます。
緑は建設に適した土地で、何の問題もなく建てられます。
しかしそれ以外の色の土地に建てるには基礎工事が必要で、資材と時間が余分にかかります。
できれば緑の場所に建てたいところですが、木こり小屋は木が近くにないと仕事ができません…
その点を考慮して場所を選びましょう。
さらに「道具メーカー」と「テント」も建設して下さい。
道具メーカーがないと武器や道具を作れません。
テントは近くの住民の休憩場所となり、さらにバイキングの上限人数をアップさせる効果を持ちます。
ヴァイキングは人数が足りなくなると自動で召喚されますが、上限以上には増えません。
※道具メーカーは生産系、テントは家/倉庫のリストにあります。
条件確認のボタンを押すと、様々な達成項目のリストが表示され、長押しすると詳細を確認できます。
右上に出てくる警告表示も長押しで詳細を確認、上にスライドで消去します。
建設を指示したら、道路も作っておきましょう。
序盤のステージでは作れませんが、少し進むと家と倉庫のリストに「小道」が加わります。
ボタンを押して始点と終点を指定すると、その間にすぐ道ができます。
物資や工事は必要ありません。
道があれば移動スピードが上がり、さらに施設の有効範囲も広がります。
簡単に作れすぎて、誤タップによりメチャクチャな道が出来てしまうこともありますが、道を選んで爆発マークのボタンを押すと撤去可能です。
確認しながら道を作りたい人は、設定の「道路の建設を承認する」にチェックを入れておきましょう。
さて、これでしばらくすれば建物ができる訳ですが…
建設されるには物資が建設現場まで運ばれなければなりません。
バイキングがせっせと石碑の回りに散らばっている資材を運んでいきますが、1人だと時間がかかります。
そこで建設予定地をタップし、「運送人」の +1 ボタンを押して人数を増やしましょう。
ヒマしているバイキングがいれば、彼らも運搬に加わります。
資材が運ばれて木こり小屋が完成すると、バイキングの一人が木こりとなり、近くの木を切り始めます。
しかし斧がないと、作業が進みません。
道具メーカーが完成したらタップして、ツールマークのタブを選択、リストにある斧のボタンを押して下さい。
これで「単純な斧」の生産が始まります。
道具の生産にも物資が必要ですが、道具屋になったバイキングが運んでくれます。
早く運びたいなら道具屋専属の運送人を増やしましょう。
斧が完成したら木こりが自動で取りに行き、装備します。
これで木の供給は安定するので、いよいよ軍隊の配備を開始しましょう。
左下のボタンを押し、軍事のリストから「軍営」を選びます。
軍営が完成すると、バイキングの1人が兵士になります。
軍営をタップして「募兵」のところにある「斧」の +1 ボタンを押し、さらに5人まで増員しましょう。
もしヒマなバイキングが足りなくて兵士が増えない場合は、テントを作って人口を増やして下さい。
※軍営ではなく「屯営」を作ると、戦士を9人まで雇えます。
人口は左上に書いてあり、このマップの召喚人数と召喚上限、現在の人口と上限数、兵士の数、無職のバイキングの数を表わします。
これで兵士は用意できましたが、武器がありません。
装備が「皆無」になっているはずです。
すぐに道具メーカーを選び、木こりの斧を作った時と同じ要領で、「単純な斧」を兵士の分だけ作成しましょう。
軍営が道具メーカーの近くにあれば、できた斧は兵士が自動で装備します。
時間がかかる時は、左上にある早送りボタンで進行を早めましょう。
全員が斧を持ったら進軍開始!
軍営をタップして「矢印と×」のボタンを押し、島のどこかにあるストーンヘンジのような「ポータル」の近くを指定して下さい。
矢印と×のボタンは「移設」のボタンで、これで軍営を動かすことが部隊の移動になります。
ポータルの近くにバイキングがいれば、ポータルをタップして守る敵の数と種類を確認できます。
そして「開いているポータル」のボタンを押すと、守備部隊が出撃してきます!
近くにいるバイキングは戦闘態勢に入り、バトルが始まります。
※クラシックの1面は敵がいないので、すぐクリアになります。
戦闘があるのは2面からです。
バトル中に指示を出すことはできません。
戦いのゆくえを見守りましょう。
軍営を移設すれば逃げることもできますが、大抵は追い付かれて再び戦闘になってしまいます。
ポータルの敵を全滅させた後、再びポータルをタップして「ポータルに入る」のボタンを押せば、ステージクリア!
生き残ったバイキング達は名声を獲得し、次の島へと移動します。
以上がゲーム序盤の攻略です。
当面はこの繰り返しで進むことができるでしょう。
しかしだんだん敵が手強くなってきて、そのうち数人の斧兵では太刀打ちできなくなります。
こうなると、人数を増やすか、より強力な兵士を用意しなければなりません。
しかし人数を増やすと食糧の消費量が増え、十分な生産力がないとコロニーを維持できなくなります。
強力な兵士を作るには上位の施設が必要で、上位の施設を作るには上位の加工施設も必要になります。
より発展させたい場合は、まず「魚」を釣って食糧を確保しましょう。
海岸に「漁労」を作り、道具メーカーで「リール竿」を用意すれば、漁師となったバイキングが魚を取ってくれます。
漁労には魚を5つしか置けないので、近くに「小格納倉庫」も作り、そちらに保管させましょう。
格納倉庫の作業者は、茂みの木の実なども集めてくれます。
しかし魚の生産量は高くありません。
木の実や森のキノコもいずれ枯渇するので、狩りをしたり、パンの生産を行う必要があります。
ただ、これらに必要な施設を作るには「板」が要ります。
板は「製材所」を作れば、木材から加工できます。
板があれば「猟師」の小屋を建設できるので、道具メーカーで「槍」も生産すれば狩猟を行えます。
ただ、狩りは狩人がマップ上にいる野生動物を追いかけ、やり投げで倒して始めて成果を得られるものなので、安定した供給はのぞめません。
大きく人口を増やすには農耕は必須です。
しかしこれ以上の建設には、今度は石材が必要。
マップ内にある岩場の近くに「採石場」を作り、さらに「石工」を作って、「石」と「石煉瓦(石レンガ)」の生産を始めなければなりません。
これらの仕事に必要な「槌」も忘れずに道具メーカーで作っておいて下さい。
板と石材を用意できたら、いよいよ農耕に取りかかれます。
まずは「麦の農場」を建設。道具の「鎌」も用意しておきましょう。
麦農家は周囲の草地に種をまき、麦を育てます。
よって周りに相応のスペースが必要です。
さらに風車小屋の「製粉所」を作ると、収穫された麦を「小麦粉」にできます。
後は「パン屋」を建設し、道具の「パン屋用シャベル」を作っておけば、小麦粉と木材から「パン」が生産されます。
パンは生産数が多く、空腹度の回復量も多いので、多くのバイキングを養うことができるでしょう。
とは言え、麦の生育には時間がかかります。
これでも生産が追い付かなくなったら、麦農家を増やすなどの対策が必要です。
ここまで村が大きくなると、森の木々も切り尽くしているかもしれません。
木が足りない時は木こり小屋を移転する(撤去して他の場所に作り直す)か、植林する「林務官」を作りましょう。
狩りの動物も「動物ブリーダー」がいれば増やすことができますが、麦と水が必要です。
水は「井戸」を作ってまかないます。
セトラーズの食糧は「生産効率を上げるけど、なくても問題ない」ものでしたが、今作は「なくなると働かなくなり、いずれ餓死する」ものになっているので、食糧と人口のバランスが大切です。
人口を 30 人以上にするにはパンの生産は必須なので、それを目安に開発していきましょう。
一度飢え始めると「飢えているから働かない → 働かないから食糧が増えない」の悪循環に陥ります。
麦を生産すれば、「醸造所」で麦と水から「ビール」も作れるようになります。
これは兵士が飲むことで耐久力がアップします。
石レンガがあれば「造兵廠」を建設して「弓」や「回復の杖」の生産も可能に。
回復役がいると戦いはかなりラクになります。
そしてもう1つ、ゲームの重要な要素に「祭壇」があります。
ここではお供え物をして、ポータルの敵を「静める」ことができます。
静めた敵はポータルを開いても出現しません。
すべての敵を静めている場合、戦闘なしでポータルに入ってクリアできます。
敵を静めるにはバイキングがポータルの近くまで行き、敵の種類を確認する必要があります。
確認できていれば祭壇で必要な「お供物」が解るので、それを納品します。
ゲームが進むと静められない敵も出てくるので、祭壇だけではクリアできなくなるのですが、祭壇では使い捨ての魔法も得られるので覚えておくと良いでしょう。
さらにゲームが進むと、地質調査、鉱物採掘、製鉄、冶金、それらによる強力な装備も登場します。
鉱物を得るには岩場の近くに地質学者の小屋を作り、鉱脈がどこにあるか調べなければなりません。
その後、欲しい鉱物の近くに鉱坑を作ります。
製鉄には炭も必要ですが、それらはこれまでの応用でいけるはずです。
他に、敵を迎撃する防御塔なども出て来ます。
塔には弓兵が常駐でき、強敵との戦いで頼りになるでしょう。
※弓は実質、塔の守備兵のための武器。
ポータルの近くに塔を建てたい時など、遠隔地での建設を行いたい時は、村の倉庫の近くと建設場所の近くに同色の「クーリエ」を作り、道を繋げておきましょう。
さらに道具のバックパックを作っておけば、配達人がクーリエ間での物資輸送を行ってくれます。
セトラーズ経験者の方だと、このガイドを見て「セトラーズのまんまじゃん!」と思ったことでしょう。
冒頭で述べたように、まさにセトラーズの 3D 版ですね。
敵の町がなく、それを破壊していく要素がないので、その辺は簡易的になっているのですが、開発の面白さはそのまま引き継いでいます。
3D の外観はややチープな印象もありますが、キャラクターのしぐさが細かく、見上げるような視点で眺める風景には独特のリアルさがあります。
ゲームの最終目標は、バイキング達の「名声」を最大まで高めること。
戦闘に勝利したり、生産力を高めたり、ステージをクリアすることで、活動中のバイキングは名声を得ていきます。
名声が最大になったバイキングは、主神オーディンが閉ざしたヴァルハラの宮殿に入ることを許されます。
ステージクリアはその過程に過ぎません。
※バイキングは着せ替えや名前の変更が可能です。
ランダムマップでじっくり長く遊べる、ソシャゲ型ではない本格開発 RTS です。
Steam の評価は賛否両論ですが、批判のほとんどは「価格が高い」「翻訳が微妙」「内容が解り辛い」のどれか。
しかし価格は iPad 版はむしろ安く、翻訳とゲームの解り辛さについては、このページに目を通せば大丈夫だと思います。
私はセトラーズが大好きだったので、そのシステムのゲームを再び遊べるのは非常に嬉しいですね。
Age of Empire 型の RTS や開発ゲームが好きな方で、iPad を持っている人には、オススメの作品です。
Valhalla Hills(iPad 版、iTunes へ)
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※Youtube 公式 PV(PC 版)
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- ザ・セトラーズ(配信終了)