Realpolitiks Mobile
戦略シミュレーション ハーツオブアイアン系
Jujubee(ポーランド)
価格 720 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/7/27
世界大戦の危機を迎える現代が舞台の国際 SLG
現代の世界情勢や、第三次世界大戦後の世界の様子をリアルに描いた、玄人向けのリアルタイム国際政治シミュレーションゲームが公開されています。
「Realpolitiks Mobile」です。
Steam で公開されているパソコン版 Realpolitiks のスマホ / タブレット版。
ゲームとしては HoI(ハーツオブアイアン)系と言えば良いでしょうか。
メイン画面には世界マップが表示されていて、様々な政策を指示し、時間を進めてその完了を待つ…
これを繰り返して国政を進めながら、世界の移り変わりを楽しむ内容です。
軍拡主義で行くなら部隊を増やし、必要なら核兵器も開発、他国へと攻め込んでいくことになります。
ただ、このゲームにはユニット(コマ)は存在せず、戦争はコマンドの選択のみで行います。
先に言っておきますが、一般向けではありません。
内容があまりに玄人向け、さらに複雑、メッセージもすべて英語。
そしてユニットがないため、部隊の移動や戦略が乏しく、見た目の変化もほとんどないからです。
このゲームをやると「やっぱりマップ上にコマがあるってのは、ゲームとして重要なんだなぁ」と感じます。
それでも現代の世界情勢をリアルに扱ったシミュレーションゲームは、他にほとんどありません。
それだけ現代社会は複雑であり、それをゲーム化している点で、希少な作品でもあります。
価格は 720 円。 買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
ただしメモリ 1GB の機種(iPhone 6 以下、初代 iPad Air 以下、iPad mini 3 以下)は動作対象外です。
実際、当方の iPhone 6 Plus では動きませんでした。
iPhone 6s か iPad Air 2 以降が必要なのでご注意下さい。
今回はレビューと言うより、HoI 系でおなじみの AAR(プレイレポート)でお送りいたします。
その中にゲームの進行や、プレイ方法の解説なども含めています。
ちなみに下の画像はロード中のものですが…
移動中にゲームを楽しむ黒人大統領っぽい人や、自宅でくつろぎながらゲームをするおそロシアっぽい人など、どこかで見たような方々が…
この画面が内容を物語ってますね。
【 将軍様の野望 ~北朝鮮 AAR~ 】
権謀術数渦巻く世界情勢。
その中に己の才覚を頼りに、世界に覇を唱えんとする1人の漢がいた。
そう、某将軍様である。
今回は愚かな韓国と邪悪な日本を打倒し、極東に巨大な金帝国を築くべく、地上の楽園「北朝鮮」でのプレイを行うものとする!
…と言うか、現代のシナリオだと日本は経済大国として出来上がっている。
これでは説明を兼ねたプレイレポートには向かないので、ここはぜんぜん出来上がっていない北朝鮮を選ぶこととする。
と言う訳で、偉大なる将軍閣下の栄光を知らしめるべくゲームスタート。
なお、北朝鮮は最初から中国と同盟しているが、これは北朝鮮を担当すると解除される。
さて、始まってすぐ目に付くのが…
画面上部に表示されている収支とアクションポイント(以下 AP)である。
いきなり収入が赤字ではないか…
栄光に満ちた将軍様の治世をこのゲームはなんだと思っているのだ。
しかもあらゆる行動に必要な AP の増加量も1。
1とか、何も出来なさすぎる…
このままでは遠からず破産なので、国内体制の見直しが急務だ。
さっそく電球マークの「プロジェクト」ボタンを押し、施行されている制度を確認する。
文章は全部英語。
ほとんど読めないが、アイコンとニュアンスで効果はわかる。
ゲンコツマークは民衆不満度(Unhappiness)、人が座っているマークは失業率(Unemployment)、グラフマークは経済成長率(GDP)、星マークはスコアといった具合だ。
そして今注目すべきは、維持費(Maintenance)の部分。
財政が破綻する前に、出費が多すぎる怠惰な制度は廃止しなければならない。
愚かな政策を提案した奴は粛正だ。
政策は緑だと施行中、青は施行準備が可能、赤は施行するための条件がそろっていない。
緑の政策を選んでメンテナンス費を確認し、高いものは廃止(Deactivate)する。
ただ、GDP を上げるものや、民衆不満度を下げるものはできるだけ維持したい。
一通り見てみたが、意外と無駄なものはない…
頭脳マークの知的生産力(HDI)は核開発に必要だし、民衆の監視や言論統制も低コストで体制を維持するには必要だ。
もちろん軍事関係は縮小できない。
結局、仕方がないので維持費のかかる国営農場(Collective State farms)と国家主義(Statism)を廃止。
北朝鮮らしくなくなるが、赤字だと運営できないのでしょうがない…
さらに国家制度の Advaced Social benefits(社会保障)と Basic health service(基本医療制度)を無慈悲に廃止する。
これにより財政は好転した。なんとか収入は +9、AP は +12 だ。
貧乏なのは変わらないが、破綻は免れるだろう。
民衆不満は高まるかもしれないが、余計なことを言うやつは強制収容所にぶち込めば良い。
ただ、これによって国家制度の全体主義度が弱まってしまった。
数値が 60(極社会主義)から 49 に下がり始めている。
国家制度は「これを選びます」とサクッと選択できるものではない。
舵マークの政府介入(Interventionism)、虫眼鏡マークの国民監視(Personal control)、兵士マークの軍国主義(Militarism)がアップする制度を採用すると全体主義に、下がる制度を施行すると民主主義に近付いていく。
民主主義は破産しにくいが軍事行動に制限がかかり、思うように動けない。
ここは全体主義を維持すべきだろう。
まあ、制度値が 45 を下回って権威主義に変わらない限り問題はない。
さて、この世界では「タスク」というミッションが提示される。
これを達成するとスコア、資金、AP の報酬を得られる。
書類ボタンを押してさっそく確認すると…
※タスクに付いているアイコンをタップすると関連画面、例えばプロジェクトの施行が条件なら、それを実行する画面に移ることができる。
証券関連の政策を進めると経済ブロックを設立できる。
えーと、社会保障の拡充、証券取引所の設立、GDP 上昇率 0.6 % の達成か…
さっき社会保障を廃止したばかりなのに何言ってんだ。
証券取引? 悪の思想に染まりおって。そんなのやる暇があったら核弾頭を作れ。
GDP? 上げたいのは山々だが、一朝一夕に行く訳がない。
全部却下。提案者は対空砲と迫撃砲の刑。
さっそく入れ替え(Resign)を命じる。
入れ替えるとスコアが下がってしまうが、最初は 0 なので問題は無い。
提案は要するにランダムなので、達成できそうなものが来るまで却下する。
すると「朝鮮統一」のタスクが。
うむ。我らが悲願。良いではないか。
達成は困難だが、そういうのを持って来い。
さて、色々と前置きが長かったが、ようやく国家運営に入る。
制度(プロジェクト)は同時に2つ準備できるので、とりあえず AP が増える外交任務(Diplomatic missions I)と、資源輸出(Export infrastructure)を実行。
我が国は資源だけは余裕がある。
そして軍事ボタンを押し、手持ちの金で兵力を増強する。
先ほど韓国の軍事力を見てみたが、我らとほぼ互角。
やはり相手より多くしておきたいところだ。
兵力は資金と AP で購入できる。
ただしある程度の準備時間が必要で、施行制度によって最大値も決まっている。
ともあれ、安くて早い歩兵を増やす。 戦いは数だよ異母兄。
※通常兵力は上の3つ。それぞれ用意することが必要。
海軍は海を越える戦いの時でないと、それを使う作戦が出て来ないので使わない。
輸送力も遠隔地に攻め込む時でないと使用されない。
さて、命令を出したら、あとは時間を進めて完了を待つ。
基本的には指示を出して、完了を待ち、また指示を出す。
この繰り返しだ。
時間を進めていると、ロシアがエストニアに、インドがパキスタンに、パレスチナがイスラエルに進攻を開始した。
ロシアは国連から軍国者と非難され、パキスタンは核兵器をためらいなく発射している。
うむ、我々も負けてはいられない。
とか思っていると、妙な警告が。
愚かな韓国がスパイを送ってきたらしい。
我が国の優秀な工作員が捕らえたので被害はなかったが、連中には思い知らせる必要があるだろう。
さっそく韓国をダブルタップ。
するとスパイアイコンと、交渉アイコンが表示される。
※自国をダブルタップした場合は、その土地に町や工場などを建設するアイコンが出る。
ただし特定の制度と、高額な資金& AP が必要。
今回はスパイを選択し、国際信用度の低下を選ぶ。
ベトナム版慰安婦像を乱立し、告げ口外交を展開してくれるわ!
と思ったが、AP が足りなかった。必要 AP は 756。
一番安い軍隊の士気低下でも AP 233。
月の AP 増加量が +12 の我が国では無理すぎる…
開発者め、我が国の工作員を舐めているな。
とりあえず外交を選び、関係の低下(Decrease relations)でも行っておく。こちらなら安い。
米国にこびへつらう腐りきった汚物政権とでも朝鮮中央テレビで罵って行っておこう。
するとしばらくして… なにやら韓国で不穏な動きが。
どうやら大きな政治問題が起こったらしい。
なんだろう? 大統領が占い師の言いなりだったのがバレたりしたんだろうか?
そして選択肢が2つある。1つは無視。
もう1つは… AP を消費し、ならずもの度(Warmonger)が上昇、関係も悪化するが、戦争時の攻撃に +1 の修正が付くらしい。
これぞ天機! 神も朝鮮の統一を望んでおられるのだろう!
しかもその直後、中国がインドに進攻を開始。
これなら中国様が我らの背後を突くこともあるまい。
よろしい。 ならば戦争だ!
韓国をダブルタップして外交ボタンを選択、下にある War ボタンをプッシュ。
我ら人民軍の無慈悲で革命的な進軍がいよいよ始まる。
なお、その土地の所有権(Core Province)を主張していない場合、スパイを使って「ここは元々うちの領土だ! 古い文献にそう書いてある!」とか言って領土問題化(Gain Core)させておかなければ、進軍時に侵略とみなされる。
ただ、今回はその心配はない。
朝鮮半島が我が国の正当な領土であることは世界が承認済みだ。
※同盟(Bloc)には軍事 Bloc と経済 Bloc があり、それぞれ別のもの。
軍事同盟を締結した場合、その国の兵力を拝借できる。
さて、戦争開始前には投入兵力を決定する。
今なら他国から攻められることはあるまい。
100 %、全戦力投入だ。
戦争中には作戦を選ぶ。
実行できる作戦は状況によって違うが… 以下のようになっている。
ドクロマークは被害の発生率、時計は準備時間、戦争マークは作戦成功時の War スコアの上昇量、そしてバーグラフは成功率を示す。
とりあえず被害が出辛く、成功率の高い作戦でスコアを稼ぐのが良さそうだ。
2つある防衛作戦は、完了すると解除するまで戦力にプラス修正が付く。
相手が時間のかかる作戦を準備している時に、防衛してそれを防ぐといった使い方ができる。
逆に、伏兵による防衛は準備に時間がかかるため、相手が完了させる前に短時間で行える作戦で攻め込むといったことも可能だ。
※作戦ごとに投入できる兵力と兵科が決められている。
どんなに戦力があってもそれ以上は投入されない。
ほとんどの作戦で複数の兵科を必要とするため、特定の兵科が足りないと不利になる。
しかししばらく戦っていたが、戦力が互角に近いため、作戦の成功率も半々だ。
なかなか優劣は付かない。
そこで我が国の誇る、将軍様の正義の矢を放つことにする。
そう、核兵器だ!
※核兵器を自由に使えるのは全体主義のみ。
権威主義は防衛時、民主主義は防衛時で不利な時のみ。
核使用時には標的を選ぶことができる。
敵軍隊に使うか、都市に使うか、司令部を狙うか。
それぞれ部隊にダメージ、経済力にダメージ、しばらく攻撃にマイナス修正という効果がある。
さすがに都市を狙う米帝のようなマネは避けたい。
ここは敵部隊に照準を合わせる。
さあ、我が国のミサイルがハリボテでないことを実証してやろう。
吠えよノドン、キムミサイル発射!
ハズレ!!
砲撃手、なにやってんの!?
将軍様は言っている。ここでハズす運命ではないと。
ゲームローード!
ふう、当たった。
ゴルフをすれば全部ホールインワンになる将軍様パワーでセーブデータからやり直せて良かった。
核兵器には命中率がある。部隊を狙う場合は 70 %。
もちろんハズレても消費する。
今の我が国に消費した分を買い戻す経済力はない。
ともあれ、当たったので敵戦力は大幅に低下。
なにやら放射能メーターが伸びているが、そんなもの気にしない。
このまま一気に押し切ってくれる!
※各アイコンの意味はタップすることで確認できる。
歩兵マークは作戦による戦力修正、雨は航空戦力 -1、雪だと -2。
土地アイコンは草原だと装甲戦力 +1、山は -1。
どれが出るかは戦地の地形 / 気候によって変わる。
だが、War スコアは 40 %を越え優勢ではあるものの、その後もなかなか決定打は与えられない。
って言うか、韓国軍の兵力がどんどん増えてるんですけど。
戦争中でも徴兵や兵器の生産は行える。
戦争が始まって、相手はその経済力でどんどん部隊を増産しているらしい。
一方こちらは… 増産できるほどのまともな収入がない。
これはもう、急いで勝負を決めに行くしかない!
2度目の核攻撃を行い、敵部隊を殲滅して一気に攻勢に。
一時はスコア 80 %を越え、Final Offensive(最終攻勢)を行えるところまで進んだ。
だが、ここまでだった。
相手の増員が到着し、こちらの疲弊は積み重なって、最終攻勢の失敗のダメージで逆転。
もはや核ミサイルも尽きている。
後はもう、かつての朝鮮戦争のように後退を続けるのみとなった…
そして韓国の、卑劣なる最後の一手が下される。
それは… 困った時の日本頼み!
この土壇場で韓国が日本の軍事同盟に参加。
ここで手を引くか、戦争継続かの選択を迫られる。
えぇい、邪悪な日本人共に我が人民が負けるはずがない!
見せて貰おうか、自衛隊の性能とやらを!
戦力違いすぎぃ!!
あぁ、これが金持ちのケンカというやつか…
そして示される日本からの和平提案。
いくつかの選択があるように見えたが、選べるかどうかは状況によるようで、すでにボロボロだったので政治体制を改める条件での和平しかない。
応じてみると、政治体制が民主主義に変わった。
どうやら金王朝の崩壊である。
核兵器を使いまくったので国連から非難されてるし、戦傷者補償も付いている。
まあ、核と軍隊の維持費がなくなったおかげで、皮肉にも財政は好転しているが。
ともあれ、北朝鮮の野望は終わった…
そもそも韓国に勝ったとしても、西は中国、北はロシア、東は日本で地理的に絶望しかない。
無理無理。 無理ゲーですよ将軍様!!
…とまあ、こんなゲームです。
ゲームの目標は一定期間でスコア1位を獲得することで、そのため軍国プレイでなくても勝利は目指せます。
冒頭でも述べたようにユニットの移動がないので、戦略や画面の変化が乏しいのが難点。
特に日本のような民主国家で非戦プレイをする場合、変化のない画面を眺めつつ、コマンドの完了を待つだけの展開になるので、面白味に欠けますね。
イベントは割と頻発するのですが。
シナリオは3つ、現代(2020年)・第三次世界大戦後(2050年)・オリジナル(2222年)があり、信長の野望のような国作りをしつつ天下統一を目指す遊び方をしたい場合は、群雄割拠の 2222 年シナリオが良いでしょう。
未来のシナリオには宇宙進出イベントも存在します。
ただ、2222 年のシナリオは西日本が「アニメランド」、東日本が「ゴジリアン」とかいう名前になっていて、色々と設定がふざけてますが…
パソコンで海外のゲームを嗜むような、コアでマニアな大人向けの作品です。
内容が内容なので、そこそこ歴史や世界情勢に興味のある人向けですね。
一般向けとは言えませんが、HoI で AAR を書いちゃう人や、これを読んで「面白そう」と思った人なら、楽しめるかも?
※もっと実戦的なプレイレポート「北海道 AAR」も公開しています。
Realpolitiks Mobile(App Store へ)
※Youtube 公式 PV
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