Sid Meier's Civilization VI
ターン制シミュレーションゲーム
Firaxis / 2K / Aspyr Media(アメリカ)
本体無料、フルバージョン 7400 円
レビュー公開:2017/12/23
※こちらはレビューページになります。
攻略ページは こちら をご覧下さい。
本家シヴィライゼーションの最新作、堂々登場
人類数千年の歴史を再現した壮大な文明興亡シミュレーションゲーム「シヴィライゼーション」。
ハマると抜けられない「麻薬ゲーム」と呼ばれるこの作品の最新版が、早くも iOS でリリースされました。
「Sid Meier's Civilization VI」です。
パソコン(Steam)で発売されたものと同じようで、ダウンロードサイズも 3GB 以上という、アプリと言うより「大作ゲームソフト」と言える作品。
ただしインターフェイスもパソコン版とほぼ同じですから iPhone ではプレイできず、現時点では iPad 版のみです。
※2018年10月、iPhone にも対応しました。
5以降、マスが六角形になっているため、それ以前と比べると見た目はかなり違うのですが、ゲーム内容はシヴィライゼーションおなじみのシステム。
開拓者で都市を作り、施設や文化遺産を建設して文明を発展させ、ランダム生成の世界を探検しつつ、軍事ユニットを作って他の文明との戦争に備えます。
征服による勝利だけでなく、宇宙移民を成し遂げる科学勝利や、数々の遺産と芸術を集める文化勝利なども用意されていて、この辺も従来と変わりません。
ただし、これは「本家の」シヴィライゼーション。
これまでスマホ / タブレットで公開されていた Civilization Revolution は、家庭用ゲーム機向けにシステムを簡略化して遊びやすくした派生作で、それと比べると異なる点は多いです。
アプリ本体は無料ですが、そのままでは体験版で、ランダム設定で 60 ターンしかプレイできません。
無制限に、好きな文明と設定でプレイするには 7400 円の課金が必要です。
「たけー!」と思った方もいるかもしれませんが、Steam 版と内容・価格はほぼ同じです。
フルプライスのゲームがそのまま iOS 用になっているということですね。
課金・広告・スタミナ等はありません。
※2018年12月から、フルバージョン化の課金は1200円の状態が続いています。
まずは開拓者と、1部隊の戦士が与えられます。
開拓者で都市を作り、戦士で周辺を探索する、シヴィおなじみのスタートですね。
今回の開始年は紀元前 4000 年です。
都市を作ると、周辺に都市範囲を表わす点線が引かれます。
今回の都市の範囲は「文化」の産出により少しずつ拡大していきます。
いびつな形に広がっていくこともあり、範囲が定型ではないのが特徴ですが、資金を使って土地を買い、任意に広げることもできます。
範囲の中に街の住民を配置して、それにより食糧や生産力を得るのはこれまでと同じ。
最初は周辺の地形が解らないので、戦士で探険して明らかにしていきます。
地球型惑星でのプレイもできますが、基本的に世界の形は毎回ランダム。
どこに良い土地や資源があるか解らないので、積極的な探索が必要です。
…が、今回の特徴は、蛮族がやたら強いこと。
コンピューター文明が土人に蹂躙されることさえあるぐらいで、不用意に戦士が都市から離れるのは危険です。
今回は都市に防御力があり、空っぽでもすぐ踏み込まれることはないのですが、常に蛮族への警戒が必要なことは覚えておきましょう。
都市に穀物倉庫やモニュメントなどの建物を作れば、さらに生産力や文化力を高められます。
ただ、序盤は防衛と探索が重要で、土地は早い者勝ちなので開拓者による領土拡大が優先。
そしてもう1つ重要なのが「労働者」。
草原のマスに農場を作ったり、丘に鉱山を作ったりできる、土地改良のユニットです。
これで都市の周辺を開拓して生産力を高めるのがシヴィライゼーションの基本ですが、レボリューションではこれが省略されていたため、iOS からシヴィを初めた人だと戸惑うかもしれません。
労働者の土地改良は建物の建設より重要なので、最優先で考えて下さい。
※こんな風に都市の範囲は不定形。一応、豊かな土地が優先して確保されます。
農場や牧場は労働者で作るので、まずこれを生産する事。
利用できるのは半径3マスまで。
川の側は都市が大きくなりやすく、丘があれば後々生産力が高まります。
※シヴィライゼーションと言えばコレ、町の人の仕事場の配置。
都市をタップした時に出るボタンは左から「都市情報」「土地購入」「労働配置」「ユニット購入」「(信仰力での)聖職者購入」「生産品変更」。
ボタンと都市名の間にある小さなチェックボックスは、住民の自動配置でどの資源を優先するかの選択です。
都市を作ると「研究画面」がでてきます。
陶磁器、畜産、採鉱など、様々な新技術を会得して、文明を発展させていくおなじみのものですね。
ただ、今回は研究するものがもう1つあります。
「社会制度」です。
これは技術研究と平行して行うもので、完了させると主に「政策」を得られます。
技術と違い、研究力ではなく文化力で会得します。
軍事政策や経済政策があり、例えば最初は労働者が必要なので、それを早く作れるようになる経済政策を活用。
労働者を一通り作ったら開拓者を早く作れるものに入れ替えるのが良いでしょう。
軍事政策は最初は蛮族に強くなるものをセットし、軍拡が必要な時期になったら軍事ユニットの生産を速めるものに変更するのが有効です。
どの政策をどの段階で研究し、どのタイミングで入れ替えるかは重要な攻略となります。
「政府」(政治体制)も社会制度の研究項目になっていて、今回は政府ごとに政策を何枚セットできるかが異なります。
例えば、ファシズムだと軍事政策を、民主主義だと経済政策を多めにセットできます。
※毎度おなじみ、技術研究ツリー。いつでもゲーム内で確認できます。
今回は「ブースト条件」というものがあり、これを満たすと研究時間が半分になります。
例えば海岸に都市を作ると「帆走術」、他の文明に出会うと「筆記」、牧場を作ると「騎乗」がブーストされ、早く研究が終わります。
なお、今回は船に搭載しての輸送はなく、帆走術で労働者が、造船で他の全てのユニットが、直接海を渡れます。
※社会制度の研究で得られる政策のセット画面。
新登場のシステムなので最初は活用し辛いと思いますが、かなり重要。
セットできる数は一部の文化遺産でも増加します。
※これは都市国家との交渉シーン。都市国家は指導者のいない小文明で、「代表団」を派遣して関係を持つことで、様々なボーナスを得られます。
さらに自分が一番多くの使者の派遣していると、その都市国家の「宗主国」になり、視界を共有でき、領土を通行可能、戦争時に味方になり、固有ボーナスも得られます。
そして今回のもう1つの重要な要素が「宗教」。
宗教系の施設を作ると「信仰力」が増えていき、これを消費して聖職者を生産可能、他の都市に宗教を広めることができます。
「偉人」の大伝道師がいれば、新たな宗教を創始することも可能。
宗教は広まっている都市にボーナスが付いたり、宗教系の建物を作れたりします。
そして全文明を改宗させると、その宗教を創始した国は「宗教勝利」になります。
宗教を気にしなくてもゲームは進められるのですが、ずっと無視していると布教に熱心な国が全世界に宗教を広めてしまい、いきなり宗教勝利されて敗北、ということになりかねません。
これを防ぐには対立する宗教を広め、有力宗教の伝搬を阻止しなければなりません。
宗教には信者からゴールドを得られる「十分の一税」などの信仰(教義)があるため、自国発祥の宗教を広めることで政治的にも有利になります。
※宗教創始画面。自分で作る場合、どんなボーナスを持つのか自分で選べるのが面白い。
特性(信仰)は最初に2つ選べ、さらにゲーム中に神殿で「使徒」を作って「信仰を広める」を実行することで最大4つまで増やせます。
宗教を創始するには偉人の大伝道師が必要ですが、普通に得るのは難しい。
文化遺産の「ストーンヘンジ」を作っても創始できますが、石材が近くにないと困難。
※布教合戦画面。伝道師で都市に布教を行い、審問官で他の宗教の影響力を削ぎます。
使徒や審問官は相手の聖職者とバトルが可能。信仰は戦いだ!
戦闘も今までとはちょっと変わりました。
今でのシヴィライゼーションはどちらかが倒れるまで戦っていましたが、今回は HP 制で、1回の戦闘ですぐ一方が全滅することは滅多にありません。
よって2回ほど戦って、やられる前に戻って回復、ということが可能です。
経験値とレベルアップもありますから、1つのユニットを大事に使うことが大切ですね。
また弓兵やカタパルトなどの射撃ユニットは、早い時代から2マス先を遠距離攻撃可能です。
射撃ユニットは直接殴られると弱いのですが、反撃を受けずに戦えるため、疲弊しながら殴り合う近接攻撃ユニットよりも便利。
序盤は速めに弓術を取り、弓兵主体で戦うのがどの文明でも攻略法となります。
そして都市を攻める攻城戦は、防壁がより重要になっています。
今回の都市は個別に耐久力を持っていて、防壁によりさらに増加します。
そして戦闘時には、まず防壁側の耐久力が減り、それが 0 になってから都市の耐久力が減っていきます。
しかし近接攻撃ではなかなか壁の耐久力は減らないので、カタパルトや大砲、破城槌などの攻城ユニットの活用が必須です。
防壁はそれ自体が砲撃能力を持つこともあり、都市攻めはこれまで以上に難しいですね。
逆に守るのは以前より容易なので、都市で守ってからカウンター、みたいな戦法も有効です。
自国領内だとユニットの HP が回復しやすいので尚更です。
なお、今回はユニットはスタックしません。
近代の技術でユニットを合流させ「大部隊」にすることもできますが、1つのマスに同種のユニット(軍事ユニットと非戦闘ユニット)は1つしか存在できません。
これは都市でも同様です。
※弓兵団が蛮族の集落に矢を放っているシーン。
今回はホントに蛮族が危険。視界外にいきなり集落ができて騎兵が突進してきたりする。
戦士はアテにならないので、弓兵を速めに作って対応を。
騎兵は戦略資源の「馬」が、剣士は「鉄」が要るので、作れるかどうかは運も絡む。
ユニットのボタンは、マトマークが射撃、三角矢印が移動、盾が防御、曲がった矢印はパス、盾+丸は警戒モードで待機。警戒中は近くに敵が来ると目覚めます。
※防壁のある都市をカタパルトで攻撃中。
序盤は弓ラッシュでも何とかなるけど、中盤からは攻城兵器が必須。
壁の耐久力を示す青いバーがあるうちは、近接ユニットで無理やり殴りかかっても無理。
川越しの攻撃はペナルティが付きますが、川が見にくかったりするので注意。
※偉人画面。今回の偉人は「大将軍ポイント」や「大提督ポイント」などのポイントを蓄積することで招聘できますが、狙わないとなかなか得られない。
お金で買うこともできますが、かなり大金が必要です。
今作でやや難点だと思うのは… まず、ちょっと地味なこと。
音楽が荘厳な映画音楽のようになっていて、題材にあった雰囲気を醸し出しているのですが、あまり盛り上がるような曲ではないです。
戦闘もレボリューションのようにズームしたりせず、遠景のままで戦うので、もう少し演出が派手でも良かったかも。
なお、オプションに「クイック戦闘」「クイック移動」という項目がありますが、戦闘をクイックにするとますます地味になるのでお勧めしません。
そして建設のルールがかなり煩雑。
今回のほとんどの施設は、まず「区域」を作らないと建設できなくなっています。
例えば、寺院は「聖地」の区域を、市場は「商業ハブ」の区域を、工房は「工業地帯」の区域を建設しないと建てられません。
そして区域はマップ上に用意する必要があり、さらに結構な資源が(つまり建設時間が)必要です。
このシステムは、マップ上に施設を作ることで都市の見栄えが良くなるようにして、都市の役割分担も明確化させたい狙いがあるのだと思いますが、収入アップの施設を作るのに区域を作って、市場も作って、やっと完成という感じなので進行が遅くて複雑。
おまけに文化遺産は「川の側の丘にしか建てられない」とか「兵舎の横の平地にしか建てられない」とか、やたら地形の条件が厳しい。
さらに「快適性」と「住宅収容力」のシステムがゲームを解り辛くしています。
快適性は住民の「幸福度」と言え、人口の増加によって必要量が増え、戦争で低下、施設・宗教・高級資源などで増加します。
しかし高級資源の割り当てが自動なので、どういう計算で増減しているのかが解り辛い。
住宅収容力は、人口がそれを超えてしまうと人口増加速度が激減するというもので、5つオーバーしてしまうと完全に止まります。
収容力は建物や土地改良で増え、川や湖の側に都市があれば +3、海岸なら +1、用水路でも増えるのですが、この辺の説明が不足気味で、なぜ足りなくて、どうやって増やすのかが解り辛いです。
※現在はアップデートにより、都市を作る際に住宅収容力に応じて土地が色分けされるようになっていて、当初より解りやすくなっています。
データ表示なども改善されました。
シヴィライゼーション4以前だと、民衆不満と人口過密、戦争被害は「不幸な人」にスマートにまとめられていたため解りやすかったのですが、今作はそれを細分化して煩雑になっている印象。
そしてシヴィライゼーション レボリューションには民衆不満自体がなかったため、悩んでしまう人が多そうですね。
※画面下部の情報表示に注目。「快適性」と「住宅の収容力」が重要です。
快適性は戦争が起こるとマイナスになりがち。
収容力は真水が確保できない場所では低く、つまり大都市にするのは難しい。
宗教市民は一部の宗教ボーナスに影響します。
※数々の名画や名著、名曲を集めて文化と観光アップ。
実際に絵画を見れたり、曲の一部を聞けたりするので、集める楽しみがあります。
遺品を集める考古学者は、博物館を建てた都市でしか作れず、博物館が一杯になったら消滅します。
観光客は解り辛い要素ですが、名品や文化遺産が多くあって、他国と仲が良く、交易や国境開放をしていれば増えるようで、文化勝利の条件となっています。
※今回の日本のリーダーは北条時宗さん。えらくマイナーな人を持って来たな…
元寇の時の日本の代表なので、世界史的には相応しい人ではあるけど…
一応、2001 年の大河ドラマの主人公。特技は神風。
マップサイズは小がお勧め。それでも十分に広く、標準以上だとターン終了後の待ち時間が長くなります。
少し難点も言いましたが、やはり世界を代表するシミュレーション「シヴィライゼーション」の最新作。
最初は取っ付き辛く感じましたが、今回もやればやるほど深みにはまりそうなスルメゲーです。
難易度も細かく設定でき、極小マップで低難度(開拓者や族長)にすれば、初心者の方でも楽しめるでしょう。
何より派生作ではない本編のシヴィライゼーションが iOS に来たというのが注目です。
5の頃からタッチパネルに対応していたので、タブレット版が出るのは予想されていましたが、実際にやると「遂に iPad で出来るようになったか」と思えますね。
※現在は iPhone でもプレイ可能です。
相応にスペックが必要なので、古い機種では動作が鈍くなるかもしれませんが、60 ターンは無料で試せるので、それで実機テストが可能です。
やや高額ですが、長く楽しめる作品。
クリスマスや年末年始、予定のない方は、世界征服に勤しむのは如何でしょうか?
Sid Meier's Civilization VI(iOS 版)
・Sid Meier's Civilization VI(PC版、Steam)
※Youtube 公式 PV
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