クロノマギア
トレーディングカードゲーム(TCG)
ガンホー(日本)
本体無料、課金・ガチャあり
レビュー公開:2018/4/13
パズドラのガンホーが送る新しい TCG
パズドラの山本プロデューサーが練り上げた、ガンホーの新作トレーディングカードゲーム(TCG)。
市場も大注目しているこの作品が、いよいよ正式に公開されました。
「クロノマギア」です。
ハースストーン や シャドウバース、ドラゴンクエストライバルズ と同じ、オンライン対戦がメインのコンピューター TCG で、最近はこのようなゲームを DCG(デジタルカードゲーム)とも呼ぶようです。
ゲームのシステムとしては、上記3作のようなハース系に、遊戯王 のシステムを加味し、さらに様々なオリジナルルールを加えた形。
大体「ハース系 40 %、遊戯王 30 %、オリジナル 30 %」といったところでしょうか。
インターフェイスは既存の TCG(DCG)を踏襲していて、ハースやシャドバと同じように戦うことも出来るのですが、それでは勝てません。
ただ、「同じように戦える」がために、このゲーム特有のシステムを理解できないまま酷評している人が多いように見受けられます。
どちらかと言うと、遊戯王経験者の方がルールの把握は早そうなシステム。
もちろんオリジナルルールの割合も強く、遊戯王と同じという訳ではありませんが。
TCG なのでアプリは無料ですが、カードパックを購入する課金はあります。
ただ、対戦を繰り返していれば購入に必要なコインは無課金でも貯まっていきます。
巷では「カードが全然そろわない!」「ケチくさい!」という意見も多いようですが… この点については後述します。
スタミナや広告はありません。
TCG 系には珍しい縦画面。モンスターを配置できる枠は3つのみです。
デッキ(山札)の枚数は 20 枚で、最初に手札が4枚配られ、不要カードは1度だけ交換(マリガン)できます。
以後、自分のターンにカードは1枚ずつ補充されます。
自分のターンになった人は、カードのコスト分の MP(マナ)を消費して手札を出すのですが、このルールがいきなり他の TCG とは違います。
このゲームのマナの最大値は最初から 15。
初期値はキャラごとに異なります。
そしてターンごとのマナの増加量もキャラによって決まっていて、3~5。
そして残ったマナは次のターンに引き継ぎます。
「最初のマナは1、ターンごとに増加、毎ターン全快」ではないので、MTG やハース系と同じプレイングをしていると勝てません。
マナを使い切ってしまうと、すぐカードが回らなくなるので注意して下さい。
また、出したカードは通常「伏せた状態」で場に出されます。
そして次のターンにオープンされて行動可能になります。
他の TCG の召喚酔いと違うのは、伏せられた状態だと攻撃を受けないこと。
よって「召喚しても攻撃する前に破壊される」ということは通常ありません。
また、伏せられているので相手は正体がわかりません。
ただ、コスト分の宝石が置かれ、それで何コストのカードなのかは解ります。
次のターンになってカードがオープンすれば、相手のプレイヤーかモンスターに攻撃を行えますが、ここも他とはルールが違います。
このゲームの攻撃は一方的であり、反撃を受けません。
相手の攻撃力が高くても、こちらから殴る場合は無傷でダメージを与えられます。
この「最初は伏せられていて攻撃を受けない」「反撃がない」というルールにより、先にモンスターを展開させた側が一方的に制圧する、というケースは少なくなっています。
※基本はハースストーンですが、デッキ 20 枚、モンスター配置枠が3つ、伏せカードありという点は遊戯王ライク。
デッキや手札が少なめで、遊戯王と同じくカード1枚ごとの重要度が高いです。
右はキャラとデッキの選択画面。この画面でターンごとのマナ増加数(Charge)を確認できます。
そしてこのゲームには、攻略のポイントとなる3つの要素があります。
1つは「プレイヤーがダメージを受けるとマナが増える」というルール。
単純に5のダメージを受ければ、マナは +5 されます。
そのためマナで困っていそうな相手プレイヤーを攻撃することは、逆に助ける結果になりかねません。
また、自身がボコボコにされたとしても、マナが大きく増えるため、手札があれば反撃できます。
これにより逆転が起こりやすく、無計画に攻めるのは墓穴を掘ります。
主人公の中には防御力を持つ者がいて、受けるダメージを常時軽減できるのですが、被ダメージによるマナ回復も減るので、嬉しいばかりではありません。
また、自身がダメージを受けるスキルは「マナを回復するスキル」とも言えます。
そして2つ目は「レベルアップサモン」。
これはすでに出しているモンスターを「上書き」してモンスターを出すもので、上書きされたモンスターは破棄されますが、上書きしたモンスターは 攻撃力 +1、HP +2 されます。(ただし召喚コストも1つ増える)
遊戯王 のアドバンス召喚に似たシステムで、モンスターの配置枠が3つしかありませんが、これを活用すれば強いモンスターに入れ替えていくことができます。
次のターンでやられそうなキャラをアドバンス召喚の素材にして有効活用することもでき、弱いキャラでも出しておけば踏み台にできます。
シャドウバースの進化と違って回数の制限もありません。
※敵プレイヤーを攻撃! しかしそれは相手のマナを増やす諸刃の剣。このゲームで無計画な顔殴りは危険。
初期キャラのうち、防御がなくて体力のあるゼータやライザーはダメージでのマナ回復型、防御とチャージがあって体力が少ないエレナはターン経過回復型。
※アドバンス召喚(レベルアップサモン)を使った強襲攻撃の一例。
1:場のモンスターが普通に攻撃。
2:行動済みモンスターに速攻持ちのカードを重ねる。
3:速攻だからすぐ起動、同時にレベルアップ。
4:そしてまた殴る。強化+連続攻撃が可能。
なお、レベルアップしたキャラにまたアドバンス召喚するとレベル3のキャラが召喚されますが、追加コストも2になります。
では、アドバンス召喚で常に強キャラを作っていくのが有利なのかというと…
そうとも限りません。
その理由は「マギアスキル」。
これは ハースストーン や ドラゴンクエストライバルズ にもある、ヒーロー自身が発動するスキルですが、発動にモンスターが持っている「タイプ」が必要になります。
各モンスターには「竜タイプ」「獣タイプ」などの種族タイプと、「スペード」や「ハート」などのトランプマークのタイプがあり、両方を持つモンスターもいます。
そしてスキルごとに「スペードが1つ必要」や「スペード2つとハートと竜が必要」といった条件があり、それを持つモンスターが場に出ていないと使用できません。
スキルはかなり強力で、1ターンに1度しか使えませんが、条件さえ満たしていればマナ消費なしで実行できるスキルもあります。
しかも各キャラが3つのスキルを持つため、状況に合わせて使い分けられます。
ただ、上位のスキルを使うには、必要なタイプのモンスターを複数出しておかないといけないので、スキルのためにはアドバンス召喚よりも、数を増やす必要があります。
素で強いモンスターを出すか、アドバンス召喚で強化するか、スキルに必要なモンスターを優先するか… 選択の幅が広いのが特徴です。
※カリンのⅠスキル「袈裟斬り」はダイヤマークのモンスターさえいれば MP 0 で何度でも使えます。
使用条件を維持するため、ステルスを持つモンスターをずっと出しておくのも有効。
右はスキルの設定画面。Ⅰ~Ⅲの3つのスキルを装備でき、ⅠⅡⅢのそれぞれに3つのスキルが用意されていて、合計9種類、好きな組合わせで戦えます。
もちろんデッキもそれに合わせる必要があります。
※左はデッキ編成画面。ナナメなのでちょっと見にくいんだよね…
スキルで使うマークのモンスターを編入しましょう。
カードはモンスターと魔法の2種類のみ。
右はカードの詳細。ガンホーのゲームではあまり見られないタッチの絵柄で、やや硬派な作りです。
対戦のシステムは、さすがヒットメーカーの山本プロデューサーが監修しただけあり、オリジナルかつ面白いものに仕上がっていると思いますが…
他の部分に気になる点があり、巷の悪評にも繋がっています。
まずはグラフィック。ちょっとダサいと思ったのが本音。
キャラの外見は批判もありますが、パズドラのような子供向き、シャドバのようなオタク向きではない、シックなデザインで悪くありません。
ただ、フラッシュアニメのような不自然な動きがちょっと…
少なくとも、派手で滑らかな シャドウバース、フル 3D でアクションする ドラクエライバルズ と比べると、見劣りするのは否めません。
インターフェイスも含め、3~4年前のソシャゲのような垢抜けなさがあります。
巷で批判が多いのはカードの入手。
最初に貰えるカードパックは5枚入りが1つだけで、その後もなかなかカードが増えず、「これではまともにデッキが組めない!」という意見が続発しています。
実際には、対戦を繰り返すと「アチーブメント」の条件を達成でき、これによってパックの購入に必要なゴールドを得られるようになっています。
アチーブメントには「10 回勝利する」といったものの他に、「モンスターを 50 回出す」「合計 500 ダメージを与える」といった、勝てなくても達成できるものもあります。
そしてデイリー(日替わり)ミッションではないため、対戦を続けていれば1日で何度も達成でき、ゴールドを貯められます。
デイリーでないぶん、他よりもむしろゴールドは貯めやすい印象です。
ただ問題はアピールの無さというか、解り辛さ。
他のゲームはログイン時に「今日のデイリーミッションはコレ」と教えてくれたり、「ミッションを達成しました」というテロップが出たりするのですが、そういうのがない。
たまにアチーブメントを確認して「あ、達成してた。貰っとこう」みたいな感じ。
そもそもアチーブメントという名前も解り辛い。
これでは「ゴールド貯められねぇ」と言われても仕方ない気がします。
現時点(2018/4/12)ではランクマッチもスタートしておらず、おそらく開始直後からランクマッチをオープンすると初期投資勝負になるため避けているのだと思いますが、目標が乏しくてやる気に欠けるのも否めません。
ソロで遊べる「ストーリーバトル」があるのは良いですが、ちょっとキャラやストーリーの魅力に欠ける印象がありますね…
※ストーリーバトルの会話シーン。
グラフィック関連はしばらくやってれば慣れますが、後発でライバルに劣っていると初見で辛い。
右はストーリーのステージ選択。初期キャラの4人以外はゴールドでアンロックします。
ただ、最初はカードが少ないからそっちに使いたい訳で、なかなかキャラを増やす方まで手が回りません。
批判も多いですが、私は十分に面白い TCG だと思います。
確かに初期のカードの入手し辛さ、解り辛さ、他と比べて地味、といった点はあるのですが、ランクマッチが始まって、運営も良ければ挽回できるのではないでしょうか。
その辺はガンホーなので期待したいところです。
冒頭でも述べたように、シャドウバース や ハースストーン のプレイヤーが、それらと同じようにプレイして批判している(そして勝てなくてカードのせいにしている)印象ですが、そういうプレイヤーもシステムを理解すれば、「あぁ、こういうのも良いかも」と思えるのではないかと思います。
でもどちらかと言うと「大人になった遊戯王デュエリスト」向けでしょうか。
絵柄がややシックというか、一般向けなのは、遊戯王やシャドバ、ドラクエとかぶるのを避けたのだと思います。
パズドラ等と違ってメインターゲットの年齢層は高めのようですね。
果たして、激戦区になりつつある TCG(DCG)の一角に入り込むことはできるのか?
ガンホーだけに今後に注目です。
・クロノマギア(Android 版、Google Play)
※Youtube 公式 PV
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