Epic Little War Game
戦略シミュレーションゲーム(大戦略系)
Rubicon Games(イギリス)
600 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/6/11
スマホの定番戦術ゲームシリーズの最新作
兵士や戦車、自走砲や戦闘ヘリなどを指揮し、敵軍を撃破して司令部の破壊を目指す、スマホ / タブレットのターン制 戦術シミュレーションゲーム「War Game」シリーズに最新作が登場しました。
「Epic Little War Game」です。
「大戦略」や「ファミコンウォーズ」のようなゲームで、見た目はコミカルながらグラフィックは 3D、緻密な戦略と派手な演出を併せ持つ、このタイプの決定版と言えるシリーズです。
ただ、もっとも規模の大きかった前々作「Great Big War Game」に対し、前作「Great Little War Game 2」は縮小版と言える内容で、スマホでも遊びやすかった反面、戦略 SLG ファンとしては物足りない部分もありました。
そして今作「Epic Little War Game」はどうかと言うと…
「Great」が「Epic」になっていて進化版なのを示す一方で、「Big」は「Little」のままで縮小版であることも示唆されています。
内容としてはこの名前が示す通りで、前々作ほどの規模ではないですね。
とは言え、元々大ボリュームかつ高クオリティのゲームなので、そこいらのアプリよりよほど本格的。
また今作はゲームシステムにユニークな変化があり、中盤からは他の大戦略系では見られない展開になります。
価格は 840 円で、買い切りゲームなので課金・スタミナ・広告等はありません。
※現在は 600 円に値下げされています。
開発はイギリスのメーカーです。
まず、先に言っておきたい事として…
今作は兵士が死ぬと、肉片がバラまかれ、地面に血が付くグロ演出があります。
見た目はコミカルなのに、なんでこういうのを入れたがるのか…
ただ、この残酷演出はセッティングの「Gore and Giblets」のチェックを外すとなくなるので、嫌な人はすぐオフにしておきましょう。
設定さえ変えれば従来通りです。
ゲームはマップが六角形のマス(ヘックス)で区切られている、ターン制の戦術級シミュレーションです。
兵舎や工場で資金を使って兵士や戦車のユニット(コマ)を生産し、移動力の分だけマスの上を動かして射程内の敵ユニットを攻撃、一通りのユニットを動かしたらターン終了して敵の番になるという、大戦略系のゲームです。
ただ、このゲームは移動のルールが特殊で、移動力が尽きるまで繰り返し動けます。
例えば移動力が5のユニットが、2マス移動して、敵を攻撃して、その後でまた2マス移動して、他のユニットを動かし、その後でまた1マス動く、といったことが可能です。
ユニットは耐久力制で、ダメージを受けると攻撃力も減少。
地形には高さの概念があり、高い所にいるユニットは低い所に対して射程が伸びます。
ただ射線のルールがあり、(曲射砲以外は)間に障害物があると射撃できません。
他に、ZOC(敵に接すると動けなくなるルール)はないが味方を素通りできない、飛行ユニットは他のユニットの真上を飛べる、生産直後や輸送直後のユニットでもすぐに移動や攻撃が可能、輸送ヘリで車両も運べる、敵の生産場所を塞げない(塞ごうとすると除去される)といった点も、日本の一般的な大戦略 / ファミコンウォーズ系とは違う点ですね。
また、近代戦なのでみんな銃か砲を持っていて、射程2以上の攻撃ができること、衛生兵やメカニックといった回復ユニットを使えることも特徴と言えます。
一方で、簡略化されている部分もあります。
補給がなくなっていて、燃料や銃弾を気にせず行動でき、よって航空ユニットも墜落しません。
また索敵がなく、常にマップ全域が見えていて、よって偵察用ユニットは存在しません。
※こんな風に高所に陣取ると、こちらの攻撃は遠くまで届き、相手の攻撃は届かないので、かなり有利になります。
各ユニットの移動範囲や射程は長押しすることで確認できます。
※航空ユニットや艦船ユニットもアリ。ただ、キャンペーンに海戦ステージは少ないです。
前作ほどではありませんが、Great Big War Game より遊びやすさ重視の作りで、マップもやや小さめ。
※このシリーズの難点はユニットの相性表示がなく、どれがどのユニットに有効なのか解り辛かったこと。
しかし今作は生産画面で「?」ボタンを押すと各兵種への攻撃力が表示されるようになっていて、ようやくこの点が改善されました。
ユニットの相性については Great Big War Game のユニット解説 も参考にして頂ければと思いますが、少し変化しているので注意。
例えばコマンドーなどの上位ユニットは前より弱くなっています。
ここまでに述べたルールは War Game シリーズに共通する内容。
今作が違うのは、次の3つ。
まず1つは、防御兵器が重要になっていること。
このシリーズには射程内にいる敵ユニットを一斉射撃する、強力な防御砲台があります。
その防御砲台がやたら出て来ます。
さらに障害物となる防塁や防壁もあって、これらでガチガチに守られているマップが多いです。
しかし「エネルギー」という数値が加わっていて、砲台はこれがないと稼働しません。
エネルギーは発電所で生み出されているので、これを攻撃して破壊すれば砲台を止めることができます。
キャンペーン序盤はこれが攻略のポイントになるステージが多いですね。
2つ目は、なんと「占領がない」こと。
大戦略系としてはかなり珍しいです。
では敵の工場や空港はどうするのか? 攻撃して破壊します。
元々 War Game シリーズは、司令部を攻撃で破壊していました。
今作は他の建物も全部破壊していくことになります。
もちろん簡単には壊れないので、安くて破壊力が高いバズーカ兵などを量産して攻めることになります。
こう言うと「じゃあ前線に生産拠点を持つことはできないの? 大きなマップで面倒じゃない?」と思うでしょう。
しかし3つ目の特徴でそれが解決します。
それは「建物を建設できるビルダーユニットがいる」こと。
キャンペーン中盤から登場し、防御砲台はもちろん、防塁、兵舎、工場、空港、港、なんでも好きな場所に建設できてしまうスーパー土建屋です。
生産拠点は次のターンにはもう完成し、そこでユニットをガンガン作れます。
砲台や拠点の生産にはエネルギーを消費しますが、発電所も(資金があれば)好きなだけ建てられるので、この段階になるとエネルギー不足はそれほど気になりません。
油田に採油施設を作って収入をアップさせることもでき、それが資金源の占領という形になっています。
※このゲームの敵施設は全部壊すもの! こういう方向で来たか…
大戦略系に慣れた人だと敵の生産場所を思わず塞ぎたくなりますが、それをすると問答無用でユニットが除去されるので注意。
こちらの生産場所に味方ユニットを置くと次のターンに HP が全快します。
※壁をズラッと並べ、防御砲台を置きまくり、鉄壁の陣を構築しているところ。
壁は格安だし、砲台はダメージを受けても撤去&再設置可能です。
建物の Tech Centre は上位ユニットの生産に必要になる施設です。
中盤からはビルダーで壁と砲台を作りまくって敵の進攻を阻む、防衛戦のステージも多くなります。
最前線に砲台を置いて攻めることもできるし、工場を作って数で押す戦い方もしやすく、攻防両面においてビルダーが主役になります。
正直、戦術級 SLG としては大味な印象もあるのですが、これはこれで楽しいので良いでしょう。
他にも超重戦車や潜水艦、電撃兵器などの新ユニットが登場するのですが、今作には「勢力」があって、それぞれ使えるユニットが決まっています。
そしてキャンペーンで使用する基本の勢力には、専用ユニットはありません…
キャンペーンでは新ユニットは敵専用ですね。
キャンペーンの他に対戦もできる「スカーミッシュ」のモードがあり、マップはかなり多め。
オンライン対戦も可能ですが、このゲームは1プレイに時間がかかるので、オンライン対戦には向きません。
知人とやるのであれば良いと思いますが。
キャンペーンは全 22 ステージで、これまでのシリーズ作より少なめですが、ボリュームが足りないという程ではありませんね。
※新ユニット電撃タンクのビリビリ攻撃。 周囲のユニットも放電ダメージを受けます。
各勢力には「戦車の攻撃力が高いけど砲台と建物の耐久力は低い」などのメリット / デメリットがあります。
※ステージ間にはタコ踊りがむかつく将軍様の演説シーンが出て来ます。
将軍:我々を祝福された平和と正義の軍と呼んで欲しい。
記者:あなたは人々から花畑を踏み荒らす者と呼ばれていますが?
将軍:このフェイクニュースめ!
うん、最近どこかで聞いたね。
シリーズ4作目なので、さすがに内容を変えてきた印象です。
大戦略そのままのゲームをやりたい人だと不満かもしれませんが、私的にはこういう変わり種も面白いと思います。
欧陸戦争シリーズなど、他にも大戦略 / ファミコンウォーズタイプのゲームはありますからね。
演出なども含めた総合的なクオリティでは、相変わらず戦略 SLG 系の中ではスマホ最上位です。
ターン制シミュレーション好きな人なら、必携のアプリと言えるでしょう。
Epic Little War Game(iPhone 版)
・Epic Little War Game(Android 版)
・Epic Little War Game(PC版、Steam へ)
※Youtube 公式 PV
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