たけしの挑戦状
クソゲー アクションアドベンチャー
タイトー(日本)
価格 840 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2017/8/16
世界の北野が監修した伝説のクソゲーが復活
クソゲー。それには2つの種類があります。
愛されるクソゲーと、愛されないクソゲーです。
大抵のクソゲーはクオリティが著しく低いか、難易度がおかしいか、バグだらけでまともな製品になっていないかですが、愛されるクソゲーはそれらを越えた魅力… いやおバカ… もしくは何かの破天荒さを持っています。
そして、その愛されるクソゲーの最たる存在、今や世界的に知られる映画監督となったビートたけし氏が企画したという、あの伝説のファミコンゲームが、何を間違ったのかスマホで復活してしまいました。
「たけしの挑戦状」です。
ゲーム内容を簡潔に説明すると…
「しがないサラリーマンが社長を殴って会社を辞め、退職金でパチンコしてスナックで大酒を飲み、絡んできたヤクザとケンカして大暴れした挙げ句、妻と離婚して多額の慰謝料を取られ、警察に殴られて死亡し葬式のシーンで終わるゲーム」です。
「なんだそりゃ!」と言いたくなると思いますが、実際にこんなゲームだから仕方がない。
まさに北野ワールド全開。
一応「謎解きゲーム」「アクションアドベンチャー」と言え、宝の地図を入手して必要な技術とアイテムをそろえ、南の島に行き財宝を探すという流れがあるのですが、そんなの一言も告げられないまま発売され、理不尽な謎ばかりでまともにクリアできるシロモノではなかったため、当時のプレイヤーの感覚としては町中で通行人と殴り合う、まさに前述したコメント通りの内容。
そのあまりにフザケた内容に「最凶のクソゲー」との呼び声も高いのですが、当時としては類を見ない自由度の高さ、バグって止まったりする訳ではないこと、一応謎さえ解ければちゃんと進めることなどがあり、評価する人も少なくありません。
今では「早すぎたGTA(グランド・セフト・オート)」と言われることもあります。
とは言え、公式がクソゲーを自称するレベルのクソゲーですし、ファミコンそのままのグラフィックなので、今となっては古典と言えるほど古いのは否めません。
でも、だからこそ伝説のクソゲー感があるというか、たけしの挑戦状らしさがあるとも言えますね。
価格は 840 円。買い切りゲームなのでスタミナや広告等はありません。
スマホ版には新たな舞台「あめりか」が加えられています。
また、2つのセーブスロットがあり、パスワード入力しなくても再開可能です。
課金コンテンツとして「はーどもーど」と「むてきもーど」があり、どちらも 120 円。
購入できなかった不具合は修正されました。
横スクロールのアクションゲームで、Aボタンでパンチ、Bボタンでジャンプします。
建物や路地には方向キーの上を長押しすることで入れます。
スマホ版にはマイクボタンがあり、これを押すと通行人に話しかけることができますが、大したことは聞けません。
前半は寂れた下町が舞台ですが、うろついているヤクザがいきなり殴りかかってくるクレイジーシティ。
こちらもパンチで応戦可能で、ヤクザ以外に老人、警察、家族、ホステス、誰でも殴りかかれます。
しかも通行人を倒すと 300 円もらえるため、暴行で金を稼げるアウトレイジワールド。
特に「こうしろ」と告げられることはなく、好きなように町を散策できます。
町には映画館、飲み屋、本屋、パチンコ屋、カラオケスナックなど、ちょっと昭和を感じさせる様々なお店があり、パチンコ屋では実際にパチンコができます。
こんな内容のため、何も知らずにプレイしていると、単なる殴り合いをしながら散歩するだけのゲームで終わります。
そのうち体力(ハート)が尽きて、葬式になって終わるでしょう。
目的はおろか、何が謎なのかさえ解らない… それがたけしの挑戦状です。
どこかであることをすれば、宝の地図が手に入ります。
それをどうにかすれば、内容を確認できます。
その後に旅行代理店でチケットを買って空港に行けば、日本を脱出できる… かもしれません。
しかし具体的にどうすれば良いのか、その解法は不条理極まりなく、自力で解けるとか考えない方が良いかもしれません。
発売直後のキャッチコピーが「謎を解けるか、一億人」ですからねぇ。
とは言え、今となってはネット上に攻略ページが散在していますから、ググればクリアまでの手順を調べられるでしょう。
アクションゲームとしても難しいので、手順が解ったら楽勝という訳でもないのですが、やられてもA+Bを3回押すと復活でき、さらにメニューを開いて閉じると敵が消えるため、これらを活用すれば何とかなるかもしれません。
※「パ」が落ちそうなパチンコ屋。実際にミニゲームのパチンコができます。
でも途中で打ち止めになり、上位の景品は得られません。
しかし玉をスッてから騒ぐと…
※解りにくいのですが、メインストリートの左右の端は奥に入れます。
右端から奥に行くと土手、さらに空港が。
※カラオケスナックあぜみちで「雨の新開地」を歌うシーン。
右上のマイクボタンで歌えますが、なかなかうまくいきません。
歌が始まったらずっと押しっぱなしにして、最後の「ち」で離すとうまくいく感じ。
オリジナル発売時、このシーンのヒントとなるテレビ CM を流したそうですが、フライデー襲撃事件の発生ですぐお蔵入りになったそうです。
ゲームがお蔵入りにならなくて良かった…
スマホ版のオリジナル要素は、空港から新しい町「あめりか」に行けること。
宝の地図がない場合、南の島に行こうとすると飛行機が爆発しますが、あめりかはチケットを買って空港に行くだけで移動できます。
ここにはセレブの住むタワーやメキシコ風の郊外があり、BGM もオリジナル。
ただ、あまり広くはないので、過剰な期待はしないように。
ゲームの本編には関係ないとのことですが、なにせ「たけしの挑戦状」ですし、何かが隠されているかもしれません。
その辺は今後、プレイヤーの間で解き明かされていくことでしょう。
ただ、少しやった感じでは、大した謎はない気もしますが…
※アメリカの大地にそびえるポーカータワー。つまりトランプタワー?
そう言えば、トランプ・ワールド・タワーって何階建てでしたっけ…?
※自力で来れた人はほとんどいないであろう南国の島。
チケットを買って飛行機に乗っただけでは、謎の爆発事故に巻き込まれてしまいます。
宝の地図が必要ですが、ダミー満載なうえに入手方法も閲覧方法も奇天烈で…
※超難関! なぜか鳥が襲撃してくるハンググライダーシューティング。
ちょっと攻略として、クリアの一例を載せておきます。
着陸時以外は下降しないように。
(や=前に出てやり過ごす:撃=銃で撃つ:風=風に乗る)
・やや撃や撃撃や撃撃
・やや風撃
・ややや撃や撃
・撃や撃撃
・撃撃撃(さっと前に出る)ややや(1つ目の島)
・やや(さっと後ろに)撃や
・撃撃やや
・やや
・撃やや撃や風(2つ目の島)やや
・撃 → UFO 20 機、直進でかわせる → 3つ目の島
3つ目の島に着陸する人が多いですが、この攻略法の後だと安全な状態なので、4つ目の島まで行くことも難しくありません。
攻略を見て手順通りにクリアを目指そうとすると、理不尽なだけのゲームです。
手探り状態でハチャメチャな町内を人をボコりながら散策する方がメインと言え、その意味でやはりこれは、元祖クライムゲーム(自由度の高い犯罪ゲーム)なのだと思います。
ファミコン時代のゲームですから、そんなにボリュームは多くないのですが、しかし南の島やシューティングシーンまであり、当時のことを考えると「よくここまで作ったなぁ」と思います。
まあ、謎がイジワル過ぎるし、クソゲーと笑い飛ばす方が似合っていて、褒めるのに相応しいゲームではありませんが。
私的には、ほぼ原作通りの移植で、どうせなら最後に老人殺害容疑で逮捕されるとか、どんでん返しでも盛り込んでくれれば良かったに、とも思ったのですが…
再現作であり、本編に余計な変更は入れなかったようですね。
今後アメリカが拡張されそうな雰囲気があるので、そちらに期待でしょうか。
一般の人にはお勧めしませんが、過去を懐かしみたい人、過去の話題作やゲームの歴史に興味がある人、バカゲーをバカゲーとして愛せる人、世界のキタノの黒歴史(?)を見てみたい人には、注目の作品だと思います。
・たけしの挑戦状(Android 版、Google Play)
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