大逆転裁判
推理アドベンチャーゲーム 法廷バトル
カプコン(日本)
本体 120 円 + 全章一括購入 2400 円
レビュー公開:2017/9/3
逆転裁判の新シリーズがスマホに登場
あの法廷バトル推理アドベンチャー「逆転裁判」の新シリーズ。
時代を大正、場所を倫敦(ロンドン)に移して展開される、法の黎明期を描いた 2015 年の話題作が、早くもスマホに移植されました。
「大逆転裁判」です。
今回は大正時代なので雰囲気が大きく変わっていて、和洋折衷の室内やキャラクター、レトロモダンなフォントと話し言葉、文明開化と産業革命を感じる町並みなど、大正浪漫あふれる作風となっています。
正式名は「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」で、主人公はこれまでのナルホドくんのご先祖様。
旧シリーズを思わせるキャラも登場しますが、ほぼ登場人物は一新されています。
えぇ、もちろん今回も変人ばかりですが。
ゲーム展開にも変化があり、事件の調査を行う「探偵パート」と、裁判で被告人の弁護を行う「法廷パート」で構成されていますが、章によっては探偵パートしかない場合もあります。
また、探偵パートには迷探偵シャーロック・ホームズと事件を解決する「共同推理」、法廷パートには陪審員制度を扱った「陪審バトル」が加えられています。
3DS のゲームの移植ですが、スマホの高解像度に合わせてグラフィックが細かくなっており、実質「高画質版」と言って良いでしょう。
価格は本体 120 円ですが、そのままでプレイできるのは1章のみ。
全章をプレイするには 2400 円の課金が必要になります。(バラ売りだと1章あたり 720 円)
ただ、今作は最初の1章だけでも 120 円としては十分なボリュームがあります。
逆転裁判4 の時は追加課金なしだと1章の前半しかプレイできなかったのですが、今回はそういうことはありません。
ストアレビューには(2017/9 時点で)アプリが動かない、落ちるという意見が見られますが、当方で iPhone と iPad で試した限りでは、特に問題は起きていません。
(iPhone 6 Plus の iOS10 と、10.5 インチ iPad Pro の iOS11 ベータで確認)
問題がある人は、まず 本体の再起動 を行ってみて下さい。
トラブルが起きた時に本体再起動をするのは iPhone、及びスマホ / タブレットの「常識」なので覚えておきましょう。
容量の大きなゲームなので(1.54 GB)、空き容量も 2GB 以上ないと不安定になると思われます。
ゲーム進行は「いつもの逆転裁判」です。
「探偵パート」では移動・調査・会話などのコマンドを実行して事件を捜査し、「法廷パート」では証言者の発言を聞いた後、その中にある矛盾やウソを証拠品を提示して問い詰めていきます。
ただし、第一章は法廷パートしかありません。
探偵パートはとても解りやすく作られており、調べた場所や、すでに聞いた話にはチェックマークが付いて、もう確認する必要がないことが示されます。
登場人物がそれとなく次の行き先を教えてくれたりするし、謎解きで悩むようなことはないでしょう。
そして探偵パートの大詰めになると「共同推理劇場」が始まります。
これは今作のメインキャラの1人であるシャーロックホームズと事件のあらましを推理するもので、変人ホームズのいい加減な推論を証拠品で修正し、正しい内容に変えて真相を解明していきます。
この推理劇場はとにかく演出が良く、視点やキャラが会話に合わせて大きく動き、対象品にスポットライトが当たり、見ていて楽しめるものになっています。
これまでの作品でもサイコロックや科学調査などの特殊モードが登場しましたが、探偵パートの追加モードとしては、今回のものが一番好きですね。
※今回のメインパートナー寿沙都(スサト)さん。大和撫子の普通の人。
必殺の投げ技とか持ってますが、少なくともマヨイちゃんやミヌキちゃんより普通。
移動画面で「聞き忘れはございませんか?」などのアドバイスをしてくれるので、調査が一通り終わったら確認してみましょう。
※あまりにもキャラが良すぎるシャーロック・ホームズとの共同推理劇場。
シルエットやスポットライトの処理がカッコイイ。
今回は周りのキャラがめちゃ立っているので、主人公がますます目立ってない気が。
おなじみの「法廷パート」は、第一章はこれまでと大差ありません。
しかし第三章から英国が舞台となり、6人の陪審員が登場するため、展開が変わります。
判決は陪審員の多数決によって決まり、有罪と無罪のどちらに傾いているかが大きな天秤で示されます。
そして重要な場面では、陪審員がそれぞれ「なぜ有罪 or 無罪だと思っているか」を語り、発言同士の矛盾を指摘する「陪審バトル」が始まります。
例えばAの陪審員が「被害者はナイフで刺された」、Bの陪審員が「犯人は凶器の拳銃を持っていた」と言った場合、内容が食い違うので、これをぶつけることで双方の主張を変化させることができます。
また、今回は複数の証人が同時に証言台に立つことがあります。
この時、Aの証人の発言にBの証人が反応することがあり、その指摘によっても発言が変化します。
もし指摘が誤っていると5つあるライフが減っていき、0になるとゲームオーバー。
法廷での証拠品の提示や、探偵パートでの共同推理もミスるとライフが減ります。
ゲームオーバーになるとチェックポイントからのリトライとなりますが、いつでもセーブできるので、ロードしてやり直すことも可能。
どうしても解らない時でも証拠品や関係者を総当たりできるので、行き詰まることはないでしょう。
※なにやら凄いことになっている亜内検事。例によって笑えます。
第三章から出てくるライバル検事は斎藤一に見えてしょうがない…
基本、この世界の裁判所に来る人は全員おかしい。
※新モード「陪審バトル」。陪審員制度のある裁判だからこそのシステム。
複数の証言の中から内容が相反しているものを探します。
※アニメムービーもあり。当時の東京や倫敦の様子が描かれています。
ちょっとシックで、あまりアニメアニメしていない感じが良いです。
殺人事件の裁判を扱ったゲームですが、登場キャラがコミカルで会話もギャグ満載。
全編を通して「ネタを挟まないと死んじゃう病」なので、終始笑えるゲームです。
この辺はシリーズの経験者の方には言うまでもないでしょう。
ディレクターは逆転裁判 1~4 を手がけた 巧舟 さんが務めていて、逆裁5 の時のような「同一シリーズなのに『中の人』が違うことによる違和感」はありません。
新シリーズですが、昔ながらの逆裁です。
批判があるのは、次回作への伏線を残しながら進行することで、今作だけでは完結しない点ですが…
すでに解明編と言える 大逆転裁判2 が公開されています。
120円+2400円と、スマホアプリとしては高額ですが、これでも 3DS と比べるとベストプライス版より安いです。
ゲームは相変わらずの面白さで、大正の雰囲気も非常に良く、もちろんオススメですね。
・大逆転裁判(Android 版、Google Play へ)
※Youtube 公式 PV
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