Escape from Chernobyl
ホラー 3D アドベンチャー
Atypical Games(ルーマニア / アメリカ)
価格 600 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2018/8/17
大ヒット作 Radiation シリーズの続編
1986 年に起きた「チェルノブイリ原子力発電所事故」。
当時ソビエト連邦だったウクライナのチェルノブイリ原発4号炉にて「メルトダウン」が発生、炉心が爆発して大量の放射能が放出され、13 万人以上が避難する事態に陥った最悪の原発事故です。
驚くべきことに他の原子炉では、ウクライナの電力事情のため発電が続けられていたのですが、2000 年に完全に停止。
現在は廃墟と化しています。
そんなチェルノブイリ原発をリアルに再現した、廃墟探索ゾンビホラー 3D アドベンチャーゲームが公開されています。
「Escape from Chernobyl」です。
このゲームはルーマニアに開発スタジオを持つ Atypical Games の人気作「Radiation」シリーズの3作目です。
ただし、ゲーム内容は過去作とは大きく変わっています。
1作目の Radiation Island は生産や建設がある、南の島でのサバイバルゲームで、2作目の Radiation City は廃墟の町を舞台としたサバイバルアドベンチャーでしたが、今作はサバイバル要素はなくなり、単なるホラーアドベンチャーになりました。
道具の生産はほとんどなくなり、水や食料も必要とせず、シンプルに廃墟を探索して脱出方法を探すゲームです。
私はこのシリーズは「サバイバルゲーム」として好きだったので、単なる 3D アドベンチャーになってしまったのは正直、残念ですが…
ただ、グラフィックの質は相変わらず高く、ボリュームもあり、しかも実際のチェルノブイリ原発をリアルスケールで再現しているとのこと。
スマホのホラーアドベンチャーとしては非常にクオリティの高い作品です。
価格は 600 円。買い切りゲームなので、課金・広告・スタミナ等はありません。
Android 版は少し遅れる模様。
前2作は日記形式のレビューでお届けしましたが、今回はずっと廃墟探索ですし、普通のレビューにいたします…
ゲームは前作 Radiation City の続き。
ゴーストタウンとなったチェルノブイリ近郊の町「プリピャチ市」を抜け、事件の発端である原発へと向かった主人公。
しかし気を失い、丸腰の状態で、なぜか事故現場であった4号炉の廃墟で倒れています。
まずは廃墟内を探索し、装備や道具を調達しなければなりません。
一応目的は、プリピャチ市に点在していたゾンビの発生源と思われる謎の塔の、制御装置の破壊です。
インターフェイスは Radiation City と全く同じ。
Radiation City の舞台を町から廃墟に変え、水や睡眠などのサバイバル要素をなくし、車などもなくなった感じですね。
こう言うと退化しているみたいですが… 前述したようにリアルな廃墟の再現と探険に要点を移した形です。
今作は水や食料がなくなった代わりに、各所が放射能で汚染されていて、その濃度を示すガイガーカウンターが表示されています。
汚染地域に行くとメーターが上昇、居続けると被曝し、いずれライフが減り始めます。
さらに厄介なことに、高汚染地域にいると装備が放射能を帯び始め、身に付けているだけで放射線を浴び続けるようになってしまいます。
とは言え、進行上どうしても入らなければならない汚染地域も多く、放射線防護薬をガジガジかじりながら突破していくことになります。
放射能まみれで進んでいくという意味では今回もサバイバルなゲームです。
幸い、武器や衣類、薬などはかなり豊富に落ちているので、不足して困ることはありません。
むしろ持ち切れなくて困ります…
上位のバッグや着衣が手に入るまでは、持てる数は少なめです。
そして前作同様、発電所内はゾンビ天国。
様々なゾンビの皆さんが次々と襲いかかって来ます。
今作のゾンビはそれほど強くなく、バットやバールで何度か殴れば倒せます。
ただ、とにかく数が多く、自然に沸いてくるゾンビも多いので倒してもキリがありません。
今作には「物音」の要素があり、屈んで音を立てずに進めば見つからずに済むのですが、やり過ごしたつもりでも後ろから襲いかかられたりするし、片っ端から殴っていくことになるでしょう。
※視界にノイズが入る場所は放射能汚染地域。
できればダッシュで通り抜けたいところですが、部屋の中だとそうもいかない…
ドアは鍵付きでなければ、進むだけで開けられます。
なお、画像の左側、部屋の隅に細い階段がありますが、これはちょっと見逃しやすい。注意。
※あばれる君似の主人公と装備画面。
アイテムはたくさん得られるので、包帯や放射線防護薬は惜しまず使いましょう。
あちこちに保管ボックスがあり、そこに入れたアイテムはどのボックスでも取り出せます。
装備の放射能も放り込んでおくと浄化されます。
※作業員ゾンビの横にある緑色の光球は回復ポイント。
触れると HP 全快、放射線浄化、さらに装備の放射能まで全て取り除いてくれます。
青い発光部は序盤の道案内で、外に出るまではそれを追っていきましょう。
当面はずっと廃墟の建物内を探索することになります。
そのリアルなグラフィックに最初は「おぉー」と思うことでしょう。
ただ、あまり変わり映えがないうえに迷路のように入り組んでいるため、だんだん探索が辛くなってくるのも本音…
ひたすら発電所の廃墟なので、風光明媚な景色がなく、ずっと暗くて重苦しいのも難点です。
まあ、明るいホラーってのもおかしいですが。
目的地の方向が常に示されているので、そこに向かって進めば良いのですが、方位指示には高さが加味されていないため、到着したと思ったら目的地はずっと上の階だった、ということも。
マップがありますが、かなり大雑把で目安にしかなりません。
扉が閉まっていたり、電磁シャッターで遮られている時は、カギやスイッチを探す必要もあります。
とにかく、かなり迷いやすい。
ある程度ゲームが進むと、屋外に出ることができます。
屋外は見晴らしが良く、鉄道や工場などの発電所らしい施設もあって、探索のし甲斐があります。
ゲームが面白くなってくるのはここからですが…
そこまで結構長いので、もうちょっと序盤にも景色の変化が欲しかったですね。
※朝日に照らされる AK-74。外を探索できるようになると開放感を得られます。
濡れた地面の光の反射、水たまりに映る景色など、グラフィックはやはり高レベル。
※このビリビリ放電マンが中盤からのライバル!
直接攻撃しても倒すことはできないので、逃げ回りながら周囲にある放電装置を全て破壊しましょう。
いつの間にか HP が減っているので回復を忘れずに。
※外に出たら、この機関車の修理を行いましょう。
近付いて歯車マークを押すと必要なパーツをセットできます。
パーツは 12 も必要ですが… !マークを追っていけば、自然と集まるはず。
冒頭でも述べたように、スマホのホラーアドベンチャーとしては力作なのですが、私的には「望んでたのはこっち方面じゃないんだよなー」という心境。
何というか、ナスD的なものを期待していたら、どんどん違う企画になっていったみたいな・・・
リアルスケールの廃墟も、実物を知らないので「同じです」と言われてもピンと来ない。
でも、前作の時点でプリピャチ市とチェルノブイリの資料を集めていたのでしょうから、今作の開発は既定路線だったのでしょうね。
東欧の開発らしい、リアルで細密なグラフィックを持つ、質実剛健な 3D アドベンチャーゲームで、この手の探索系アドベンチャーが好きな方には良いアプリだと思います。
※Youtube 公式 PV
Tweet |
他の Atypical Games の作品