世界の覇者4
ターン制 戦略シミュレーションゲーム
Easy Tech(中国)
価格 120 円、課金あり
レビュー公開:2017/8/29
第二次世界大戦をテーマにした硬派な戦術 SLG
SLG ファンにはおなじみの中国のメーカー Easy Tech。
「欧陸戦争」や「世界の覇者」など、優れた戦略シミュレーションゲームを公開しているところですが、先日、第二次世界大戦を舞台とした最新作を公開しました。
「世界の覇者4」です。
Easy Tech の戦略 SLG には複数のシリーズがありますが、最近は「欧陸戦争」が欧州および世界史、「世界の覇者」が第二次世界大戦、「将軍の栄光」が近代から近未来をテーマにしており、扱っている歴史で分けているようです。
一方、ゲームシステムはどれも大きな差がなくなっています。
大戦略やファミコンウォーズのようなターン制の戦略シミュレーションゲームで、ユニットに将軍を配属して強化することができます。
また、戦略シーンがあり、将軍に仕事をさせたり、ランダムバトルに挑戦するなどして物資を得られます。
将軍は課金要素になっていますが、ガチャではなく、欲しい将軍を選んで買う形。
一応、ゲームの進行でも課金通貨は得られますが、今回は課金しないとキツいバランスですね…
前作 欧陸戦争5 はユニットがコミカルな外観でしたが、今回は第二次世界大戦であるためか、旧来通りのリアル系デザイン。
テーマがテーマですし、前作より玄人向けの印象です。
アプリの定価は 120 円。広告やスタミナはありません。
最初のメニューには「シナリオ」「征服」「統治」「HQ」の4つの項目がありますが、統治は戦略マップ、HQ は将軍雇用やユニット強化を行う準備画面のことなので、ゲームとしてはメインのシナリオと、大きなステージをプレイする征服の2つです。
シナリオは「第二次大戦のヨーロッパ」「第二次大戦の太平洋」「冷戦」の3つに分かれていて、それぞれ「枢軸」と「同盟(連合)」のステージがあります。
太平洋の戦いに進むには、ヨーロッパ戦線の枢軸と連合の全ステージをクリアしなければなりません。
1つの陣営に 10 前後のステージが存在します。
ステージを開始すると、六角形のマスで区切られた戦場マップが現れ、多くのユニット(コマ)が配置されています。
プレイヤーが率いるのはそのうちの1方面軍で、5~10 ほどのユニットのみ。
マップ内に存在する全ユニットを担当する訳ではなく、他の味方は AI で行動します。
ただ、マップ内の都市で自軍ユニットの追加生産が可能です。
ユニットには「将軍」を配属できます。
将軍は 欧陸戦争5 のような独自のユニットではなく、既存のユニットに装備するものになっています。
将軍の有無で戦闘力は大きく変わり、その攻防がゲームのポイントになりますね。
基本的なルールは同社の他の作品とあまり変わりません。
ユニットは耐久力制で、移動だけして後で攻撃するといった行動が可能、戦車は敵を倒すとたまに再行動できます。
また、どのユニットでも占領が可能で、敵を挟み撃ちにすると士気が下がります。
空軍は空港や空母から放つ遠距離攻撃になっていて、空港で行う場合は資金が必要。
索敵ルールは今作にはありません。
そして今作の特徴であり、戦略のポイントになるのが都市のルール。
都市の上にはユニットを配置できますが、都市自体にも耐久力があり、そこで戦闘が起こるとダメージがユニットと都市の耐久力に分散されます。
例えば 50 のダメージを与えても、ユニット 20、都市 30 といった形になります。
よって耐久の高い都市にいるユニットはなかなか倒せません。将軍部隊がいるとかなり手強いです。
おまけに都市耐久力が 0 にならないと、ユニットを撃破しても占領できません。
都市を攻める際には十分な戦力を用意する必要があります。
ほとんどのステージは赤く光っている重要拠点をすべて占領するか、敵部隊を撃破するとクリア。
ただし制限ターンがあり、時間がかかるほど評価が減少、ターンオーバーで作戦失敗となります。
今回は難易度が高めで、制限ターンが厳しいステージもあり、あまりノンビリとはしていられません。
なお、各ステージには「普通」と「困難」の2つの難易度があり、ステージによっては難易度を変えるとマップや勝利条件が変化します。
例えば枢軸のステージ1はドイツのポーランド侵攻ですが、困難にすると逆側からソ連もポーランドに攻め込み、そして途中で敵に回って、ドイツは両方とも倒さないとクリアできなくなります。
それに合わせてマップ自体も拡大されます。
戦闘時、たまに攻撃の様子がカットインで表示されるのも今作の特徴。
これのせいでダメージ数値が見辛くなったりしますが、演出としては良いですね。
※こんな風に敵を挟むと士気ダウン、戦闘力が低下します。このシリーズの基本中の基本。
移動してすぐ攻撃する必要はないので、まず挟んでから攻撃しましょう。
※都市を占領すると支配地が広がり、そこにはトーチカなどを建設できます。
ただ、時間もお金も必要なので、普段は使わないかな…
連合シナリオのステージ1は「ダンケルク撤退」が舞台で、一定ターンを耐えれば勝利になる耐久ステージなので、建設も有効ですが。
ステージを終えると戦略マップ(統治画面)に戻ります。
ここでは将軍を派遣して物資を稼げる時間制ミッションや、戦闘を行って勲章(課金通貨)を稼げるランダムバトル、物資の交換、特殊なミニステージへの挑戦などを行うことができます。
ただ、今作はこの戦略シーンが全体的にイマイチです…
ランダムバトル(侵入)で使うユニットは事前に資金や物資を消費して生産しておく必要があり、消耗品なので戦闘で壊されると作り直しになります。
この出費が結構辛い。
そして準備を整えて勝利しても、報酬が勲章3個とか5個とか、メチャしょぼい。
将軍の雇用に勲章 1000 個とかいるのに、3個でどうしろと… 割が合わないことこの上ない。
しかも1日に数回しか実行できない…
時間制ミッションは成果が出るまで8時間待たないといけないし、ゲームの進行で「奇観」と呼ばれる文化遺産を建設できるのですが、建造費がメチャ高い。
そんなもの作る余裕があったらユニットの生産や強化を優先したい。
欧陸戦争5のような領土を広げていく要素もなくなり、戦略シーンで普段やることは大幅に減っています…
ただ、今回から導入されたツリー形式のユニット強化は良いですね。
稼いだ資金と物資で能力を高め、さらに特性を強化できます。
当面、資金はこちらに費やすことになるでしょう。
※戦略マップ。でもランダムバトル(侵入)はコストとリターンのバランスが悪すぎる…
青いマークのミニステージは事前にユニットを用意する必要がない(やられても消耗しない)ので、簡単ではないですが、手軽に挑戦できます。
また、「○○演習」から続く戦いは事前のユニット生産が必要ですが、クリアすることで次のステージが登場するシナリオモードのような戦いなので、余裕があれば進めていきたいところです。
※ユニット強化技術。ツリー形式になってると妙にワクワクするのはなぜだろう。
1つの枠に2つの技術がある場合、2つ目の技術(特殊効果の強化)は枠をアンロックしただけでは取得できません。個別に研究する必要があります。
将軍は前述したように課金通貨の「勲章」で雇用しますが、最初に与えられる勲章 800 では安い将軍を1人雇うのが精一杯。
序盤は配備できる将軍が1人か2人なので、それでも戦えますが、すぐに苦戦するようになります。
欧陸戦争5はやや初心者向けのバランスで、前半は課金しなくても進めたのですが、今回は辛い…
前作はユーザーフレンドリー過ぎて、あまり儲からなかったのかもしれません…
課金専用将軍は3人用意されていますが、1200~1700 円。
強力ですが、それを1人雇うより、800 円の課金で勲章 2500 を得て、中堅どころを2人か3人雇った方が良い気がします。
ともあれ、1000 円ぐらいは必要だと思った方が良さそうですね。
ゲーム自体は SLG ファンにとって、それだけの価値がある内容だと思います。
ガチャではないので、湯水の如く課金が必要なゲームではありません。
もう1つのゲームモード「征服」は、世界の覇者でおなじみの天下統一ステージ。
全世界が1つの大きなマップになっていて、敵陣営と世界大戦を繰り広げます。
欧陸戦争5のような敵と遭遇すると戦闘シーンになるタイプではなく、最初から全体が1つの戦場です。
そして今作は、同陣営の国に資金援助できるようになりました。
余裕があるなら、苦戦している味方を支援して粘らせることが出来ます。
※将軍雇用画面。強い人を1人取るか、そこそこの人をたくさん集めるか…
無課金でも戦車指揮官のメッセを雇い、少し勲章が貯まってから砲兵指揮官としてチトーを取れば、序盤はどうにかなりました。
ただ、日本人が欲しかったのと、海戦指揮官も必要なので、結局 800 円課金して南雲忠一を取りましたが。
とりあえずヨーロッパならこの3人で何とかなります。
いきなり課金するとしても、少しゲームを進め、どんな能力を持つ人が有用なのか見極めてから選んだ方が良いでしょう。
※征服モードは巨大マップ1枚での戦い。
都市の科学力を上げることで技術 Lv がアップします。
技術が Lv7 になると弾道ミサイルを撃てるようになり、その後はミサイルゲーと化します。
中国は 1939 年シナリオだと中華民国ですが…
毎回思うけど、今の中国のゲームとしては「攻めてる」よなぁ…
※最近妙に話題のインパール作戦も当然あります。
第二章は太平洋戦争なので海軍指揮官が必須ですが、空母の場合は海軍能力より空軍能力が必要。
なお、陸上部隊が海に入ると自動で輸送艦になります。旧作は輸送艦になってもそれなりに戦えたのですが、今作は大幅に弱体化するのでご注意を。
欧陸戦争5 の完成度が非常に高かったので、それと比べると… というところもあります。
正直、キャラ(将軍)を集める楽しみ、育てる楽しみなどは、乏しくなってしまいました。
ただ、私はゲームの舞台としては、世界史よりも第二次世界大戦の方が好きです。
同じように思う軍事マニアな方は多いと思うので、そうした方にはお勧めできますね。
ランダムバトル以外、ほとんどのステージは史実の戦いを元しているので、歴史に詳しい人ほど楽しめるでしょう。
もちろん歴史を知らなくても、普通に質の高い戦略 SLG として遊べますが、相応の難易度なのは承知しておきましょう。
シミュレーションファンなら、今作も必携ですね。
※Youtube 公式 PV
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