アークザラッド R
シミュレーション RPG ソーシャルゲーム
開発:オルトプラス(日本)
販売:フォワードワークス(日本)
本体無料、課金・ガチャ・スタミナあり
レビュー公開:2018/8/30
アークザラッド 真3
SCE(ソニー)が初代プレステの看板タイトルとして開発した、1990 年代のシミュレーション RPG シリーズ「アーク ザ ラッド」。
ドラクエや FF ほどではありませんが、プレステ時代を代表するゲームの1つとして広く知られている作品です。
そんな有名タイトルを冠するソーシャルゲームが、SCE(現 SIE)の子会社であり、プレステゲームの版権を使ったスマホアプリを展開している ForwardWorks(フォワードワークス)から公開されました。
「アークザラッド R」です。
ソーシャルゲームになっているため、私はそれほど期待していませんでした。
これまでのフォワードワークスのアプリは「ソシャゲらしいソシャゲ」であり、あまり目新しさはなく、実際に今作もキャラをガチャで取得して曜日クエストで素材を集め、合成でレベルを上げる、古風でオーソドックスなソーシャルゲームです。
ただ、何もかもが懐かしい。
キャラデザインは子供っぽい見た目に変えられていますが、登場するキャラクターや国名、ストーリーシーン、サウンドやバトルなど、すべてに既視感があります。
過去作の経験があるなら、プレイ中に何度も「あー、こんな感じだったなー」と眠っていた記憶が呼び覚まされることでしょう。
ストーリー的にはアークザラッド II の 10 年後。
前作の戦いで崩壊した世界が復興していく中で、国家の1つ「アルディア」が覇権を狙って動き始めたというお話で、主人公は違いますが、前作のキャラクター達がそのまま登場します。
ただ、前作で海中に没したはずの「スメリア」「ミルマーナ」といった国が「実は半分しか沈んでいませんでした」ということになっていたり、設定にやや修正が見られます。
なお、アークザラッドは III まで発売されていましたが、今回 III は丁重に無視されています。
3は大して話題にならず、過去作との関連も少なかったため、このまま黒歴史になるのかもしれません…
私もプレイしてたけど、途中で辞めたし…
価格はソーシャルゲームなので無料。ただし課金・ガチャ・スタミナがあります。
開発はソシャゲメーカーのオルトプラスです。
シミュレーション RPG であり、バトルのフィールドはマスで区切られています。
ファイアーエムブレム や ファイナルファンタジータクティクス のように、移動力の分だけ味方のキャラを動かし、敵を攻撃していきます。
ただ、このゲームはターン制ですが、キャラクターの順番は素早さの順に回ってきます。
敵と味方のターンは明確に分かれていません。
味方や障害物をジャンプで飛び越えられるのも特徴でしょうか。
操作は行きたい場所をタップして行いますが、画面をスライドしての移動も可能。
攻撃ボタンも大きく表示されていて、スマホに最適化した操作になっています。
キャラクターは 3D で表現されており、攻撃時にはボイスも流れます。
ただ、グラフィックは全体的に低解像度で、ローポリゴン。画質は良くありません。
それでもスマホで見れば、画面が小さいので粗さは目立たないのですが… タブレットだと汚い。
(そもそも iOS 版は iPad 対応アプリではない。2倍表示でプレイすることになる)
おそらく古い機種や、安価な Android 機でも動かせるようにしているのだと思いますが…
昨今のゲームと比べると綺麗とは言えないし、画面が大きいほどグラフィックが粗くなるのは承知しておきましょう。
20 年前の初代 PS のようなキャラクターモデルも、それが懐かしさを演出している部分もあるのですが、当時を知らない人だと「単にショボい見た目」でしかないかもしれません。
私的には、声優さんが変わっているのも気になりますね…
特に前作のメインキャラの1人で、今回の配布キャラでもある「トッシュ」は、前はドスの利いたヤクザらしい声だったのに、今回は甲高い青年のような声。イメージ違いすぎる。
今からでもいいから戻して欲しい…(元の声優さんは現役)
しかし、声以外はすごく「アークザラッド」しています。
空港のタラップでの会話や、部屋の入口から見たような会見シーンなど、「アークと言えばコレ」な演出が繰り返されます。
シナリオもしっかりしていて、ゲームの進行は「クエスト選択 → バトル」の繰り返しですが、その合間に頻繁にストーリーシーンが挿入されます。
ソシャゲ的な育成システムが正直邪魔ですが、ストーリーモードだけやっている間は、まさにアークザラッドそのまま。
前作を思い出させる、そして先の気になる、続編に相応しい物語が展開されます。
※バトルシーン。行動順は画面上部で確認可能。
攻撃時、正面からだと反撃を受けますが、背後からなら反撃されません。
敵を引き付けて横や後ろから殴るのが基本。
移動力は敵も味方もほぼ4マスなので、それを計算して位置取りしましょう。
味方を強化するサポートスキルを持つキャラがいる場合、適用されているとラインが表示されます。
※部屋を手前から見たような会談シーンはアークザラッドのお約束。
右は 3D のイベントシーン。キャラが幼い感じにアレンジされたのは、ローポリでもそれなりの見た目にするためでしょうか…
サブイベントにもちゃんとストーリーがあり、物語をしっかり作っているのは長所です。
バトルでも経験値を得られますが、キャラクターの育成の基本は素材収集と合成。
何度も言うように、日本のオーソドックスなソシャゲシステムです。
このゲームには「強化素材」「覚醒素材」「進化素材」「装備材料」の4つの素材アイテムがあり、すべて曜日クエストでの入手が中心となっています。
よって、月曜日はこの属性のアイテム、それ以外は別の曜日まで待ってね、という時間のかかる形式。
他の曜日のクエストに入れる「許可証」というアイテムがありますが、もちろん課金アイテム。
もう一般化しているし、今さら曜日クエストが悪いとは言いませんが、正直面倒だし撤廃したソシャゲも多いので、やはり古い印象は否めません。
当然、キャラクターも課金ガチャでの入手。
レアリティは★3から★5まであり、これにより強さは大きく左右されます。
どのキャラも★5まで進化可能ですが、地道な進化素材集めが必要になります。
ただ救いなのは、スタミナ回復に必要な課金通貨が少なめなこと。
課金通貨はストーリーの進行やデイリーミッションの達成でも得られ、割と気軽に回復して、プレイを継続できます。
※左は曜日クエストのリスト。育成関連はすべて曜日に縛られます。
敵のレベルは推奨レベルではありません。
Lv50 の敵でも Lv15 程のパーティーで撃破できるし、Lv89 の敵も Lv20 ぐらいあれば対抗可能。
ただし、オートだと戦い方がテキトーなので格上は無理です。
オートプレイは一度クリアしたクエストで使用可能。
右の画像はツリー形式の「能力解放」。
覚醒アイテムが必要ですが、これを進めないと防具などを装備できません。
※左はワールドマップ。経験者には懐かしい。
各国を飛び回りながら物語は進行していきます。
右はアークおなじみ、数十階ある広大な地下遺跡。
2章から挑戦でき、数階飛ばしで進んでいくことができますが、5階分プレイしたら一旦戻ります。
シミュレーション RPG の有名タイトルをソーシャルゲームにしているという点で、ファイアーエムブレム ヒーローズ(FEH)と共通していますが、目指している方向は正反対という印象です。
バトルシーンに関しては FEH の方が、グラフィックが綺麗で細密、インターフェイスも優れているのですが、シナリオは取って付けたような感じ。
一方、アークザラッド R のバトルシーンは低解像度で粗く、インターフェイスも敵の移動範囲を確認できないなど不備が目立つのですが、シナリオや世界観が良く、それにプレイが引っ張られます。
私としては、キャラを集めて鍛えるしかないゲームより、ストーリーを楽しめるゲームの方が良いので、アークザラッド R の方が好みです。
ただ、これは原作の経験者だからというのもあるでしょうから、原作未経験だと別かも。
昔のアークザラッドを知っていて、また遊んでみたい、続きを見てみたいと言う方には、その点は裏切らない内容なので、注目の作品だと思います。
・アークザラッド R (Android、Google Play)
※Youtube 公式 PV
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