三国志漢末霸業
歴史シミュレーション
LongYou Game Ltd(中国)
価格 1200 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2018/9/2
中国の中国による本格三国志
三国志のシミュレーションゲームと言えば、コーエーの 三國志 シリーズが定番ですが…
中国のメーカーが開発した、コーエーの三國志のような本格派の戦略シミュレーションゲームが Steam(パソコン)より移植されています。
「三国志漢末霸業」です。
※アップデートで「三国志」が「三國志」に変わっています。
※と思ったら「三国志」に戻されました。
三国志のゲームは、ソーシャルゲームなら掃いて捨てるほどありますが…
これはれっきとした本格 SLG、もちろん買い切りゲームです。
内政や野戦はコーエーの三國志7~8、攻城戦は三國志4、戦略画面は三國志10 といった感じの、過去の三國志シリーズを再編したような内容。
中国のゲームですが、8以前のターン制時代の三國志がベースなので、歴代の三國志をプレイしている方なら違和感なく遊べるでしょう。
製作が本場中国なので、日本では知られていない正史の武将や、職人・商人・武芸者などの民間人も登場し、武将のステータスや特技も驚くほど詳細、三国志のファンならデータを眺めているだけでも楽しめます。
また、グラフィックが日本とは違う中華テイストで、ボイスも中国語、それが本場らしい雰囲気を醸し出しています。
元がパソコンのゲームなので、スマホだと表示が小さいのは否めませんが、遊べないほどではありません。
ただ、iPad があるならそちらの方がお勧めです。
価格は 1200 円。買い切りゲームなので課金・広告・スタミナ等はありません。
一部に中国の漢字が使われていて、武将列伝は未翻訳ですが、メッセージは日本語化されていて、プレイするのに支障はありません。
ゲームは「内政シーン」「戦略シーン」「戦争シーン」の3つに分かれています。
内政シーンには町の風景が描かれていて、ビジュアル的に豪華。
出歩く人をタップすると色々なセリフを聞くことができます。
プレイヤーが内政を行うのは首都のみで、他の領土は基本的に委任となります。
(方針の指示は可能)
都市には 農業・商業・治水・治安・城防 の5つの開発項目があり、「内政」の「政務」で担当官を任命することで、自動で開発が行われます。
毎回コマンドを実行する必要はありません。
ゲーム開始時は「人事」の「任命」で重臣任命を行い、軍師・長史・都督も決めておきます。
その武将の能力に応じて、内政や訓練に補正が付きます。
武将の人数に余裕があるなら「人事」の「探索」で在野武将を捜索し、「軍事」の「偵察」も行っておきましょう。
内政で必要なことはこれぐらい。あとは時間を進めていけば OK です。
他にもコマンドは色々ありますが、外交や謀略は当面しないだろうし、登用は人材が見つかってから。
徴兵は治安と民心が下がるので、それを高めてからにすべきでしょう。
ただ、毎月忘れずに確認・実行しておきたいのが、住民からの依頼。
町の画面には市場や農地、広場などのラベルが付いていて、たまに光ります。
タップすると「人足を手配して下さい」「町に泥棒が…」「虎が暴れて困っています」などの相談事が出てくるので、対応する能力の武将を派遣。
解決すると都市ステータスが大きく上がるのに加え、名声や民心も獲得できます。
また、進行に必須なのが技術開発。
水稲、養蚕、鉄鋼、製紙など、ツリー形式で習得できる様々な技術があり、例えば採集の技術と一定の農業があれば、生薬を取れる城では農業と商業にボーナスが付きます。
上位の部隊を作るには盾や弩の開発も必要で、衝車などの攻城兵器も研究しておかないと使えません。
※川が光っていて、タップすると「農業用水路を作って下さい!」という依頼が。
派遣する武将はリストに挙がる人なら誰でも良いです。
城壁の改修などは無視しても良いのですが、盗賊が出たとか、災害時の復興支援とかは無視していると人心を失います。
ただ、お金も使うので注意。資金が尽きて財政が枯渇すると悪名が上がるので使いすぎは厳禁。
※内政は担当者を設定して実行。丸い部分をタップすると投入金額を変えられるのでお見逃しなく。
ここに入れた人は他の仕事は行えないので、住民の依頼を優先したい時は × ボタンで一旦外しましょう。
武将が少ない時は、とりあえず商業と治安優先で。
※技術研究ツリー。開発された技術はすべての城に適用されます。
まずは画面右上にある「都市」のボタンを押し「特性」を確認、本拠地にどんな特産品があるかチェックして、それに必要な技術の獲得を目指しましょう。
戦争が近くなってきたら兵器の研究を。
内政シーンでやることを終えて、右下の日付ボタンを押すと、戦略画面に移って翌月まで時間が経過していきます。
ここはリアルタイム制で、武将や部隊、商隊などが街道上を移動します。
出陣や移動、輸送はこのシーンでも行えます。
呂布が劉備の城を攻めている最中に、曹操が呂布の城を狙って出陣した、という展開になることもあり、多方面の移動や戦いが同時に進行します。
距離が遠い場合、到着には時間がかかります。
人材登用は発見できていれば他の国にいる武将も雇用できますが、遠いと使者の到着前に別の国に仕官してしまうことも。
また、月末までに戻って来れないと、翌月は行動できません。
米の売却は商隊が来ていないと行えないので、来訪を見逃さないように。
商人から買える宝物も、武将の忠誠度を上げるのに必要です。
今作は宝物がないと恩賞を実行できません。
武芸者や職人、医者や占い師なども旅をしていて、武芸者が来れば一騎打ちで武芸経験を得られ、職人は武器の作成を依頼でき、医師は薬をくれたり、負傷者を治療してくれます。
民間人の往来があるのも今作の特徴です。
※戦略画面。城は街道で繋がっています。
来訪者が来ると町の中に「!」マークが付いた人が現れるので、タップで話しましょう。
属領の委任と解除もこの画面で行います。
委任したら「特殊」の「方針」で内政値や兵士数の目標を設定しておきましょう。
なお、命令がなかった人は町の中を散策して、宝物を見つけてくれたりします。サボる訳ではありません。
お宝の詳細は絵をタップすると表示されます。
※武芸者と一騎打ち! 盗賊討伐で発生することも。
事前に5ターン分のコマンドを設定します。
1度しか使えない必殺技と回避の使いどころが重要。
※武将は総勢 1300 人以上。それぞれが三国志好きなら思わずニヤッとしてしまう様々な特性を持ちます。
能力は 軍事・武勇・知謀・政務・人事・外交 の6つに分かれていますが、軍事はさらに歩兵・騎兵・弓兵・水軍・攻城・守城・練兵・略奪に分かれていて、政務は農業・商業・治水・修築・巡察・算学・徴兵に分かれていると言ったように、とにかくメチャ細かい。
戦争はターン制の戦術シミュレーションゲーム。
ファイアーエムブレム や 三國志V 等と同じく、フィールドがマスで区切られていて、部隊を移動力の分だけ動かしながら、敵部隊を攻撃していきます。
戦闘には野戦と攻城戦がありますが、大抵は攻城戦になります。
攻城戦では城壁がデーンとそびえ立っていて、攻撃側は門を破壊して乗り込むか、壁をよじ登らなければなりません。
防御側は壁の上から矢を撃ったり石を落としたりでき、かなり有利に戦えます。
そのままでは攻撃側は苦戦必至なので、攻城兵器を活用することになります。
門に叩き付ける衝車、壁の上に矢を撃つ井闌、固定砲台の霹靂車などがあり、装備した部隊から出撃させられ、出撃後は別の部隊として扱えます。
兵器はダメージを受けたり破壊されても兵士が減ったりしないので、囮として使うことも可能。
ただ、投石機や床弩といった防衛兵器もあって、これらが城に設置されていると攻撃側はやっぱり苦戦…
敵を片側に誘き寄せ、逆側から一斉によじ登るといった戦法も必要になるでしょう。
逆に自分が防御側の時は、敵が登ってくる場所を塞ぎ、矢や石をバラバラ落としておけば、よほどの戦力差がない限りラクに撃退できます。
敵が来る → 城で守って撃退 → カウンターで攻める、というのはこのゲームの攻略の1つですね。
城で守ると国力が若干減るので、敵が弱いなら野戦で迎撃するのも手です。
野戦では落とし穴などを配置でき、森で伏兵することもできます。
強力な軍船があって川が近いなら、海戦に持ち込めば有利になるでしょう。
ただ、コンピューターが野外で迎え撃ってくることはまずないので、プレイヤーがそうしようと思わない限り野戦はほぼ起こりません。
やや気になるのは、戦争中の AI。
弓矢の射程内でボーッとして撃たれ放題になってたり、総大将が真っ先に突っ込んできて壊滅したり、あまり賢くありません。
ややおバカな AI の方が大軍を寡兵で撃破する楽しみがありますが、それにしても思考が弱いかな、というのも本音です…
※攻城兵器を用いて城攻め中。兵器は出征画面で「部隊配置」のボタンで装備します。
トレブシェット的な霹靂車は見た目はすごく強そうですが、命中率が悪くていまいち当たらない…
追加の弓隊として使える井闌が一番便利かも。
門を開いても勝ちではなく、壁の上に登りやすくなるというだけです。攻撃目標は敵大将か中央の宮殿。
歩兵が壁の上に登るときは、壁の下ではなく、壁の上の登りたい場所をタップします。
これでハシゴがかかるので、次のターンで登って待機。
上を塞がれていても、突進を持つ武将は「強登」で押し退けて登れます。
※野戦の様子。柵や落とし穴を設置できますが、置ける場所は決められています。
城や屋外の他に関所がありますが、扱いとしては城とあまり変わりません。
ただ、国力上限が低く、代わりに城防御度がすごく高いです。
ここまで三国時代を詳細にデータ化しているのは、さすが中国と思えます。
最近は戦国時代を扱った海外のゲームがチラホラ見られますが、あまり細部まで再現されていません。
それと同じく、三国志もここまで再現するには中国でないと無理だろうと思います。
三国志は歴史ゲームであると同時に、ある意味「キャラゲー」なので、データの細かさは魅力に繋がりますね。
また、近年のコーエーの三國志はあまり評判が良くありませんが、これは評判が良かった頃の三國志を良いとこ取りしている印象です。
もちろんコーエーの最新作と比べるとグラフィックや演出は見劣りしますが、ユーザーがやりたかった三国志を作ってくれている感もあります。
歴史シミュレーションや、ヘビーな戦略級シミュレーションゲームが好きな方には、お勧めできる作品です。
・Three Kingdoms: The Last Warlord (Steam)
※Youtube 公式 PV
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