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ファイナルファンタジーXV
ポケットエディション レビュー

ファイナルファンタジーXV ポケットエディション
ファイナルファンタジーXV
ポケットエディション
アクション RPG
スクウェア・エニックス(日本)
本体無料、全章購入 2400 円
レビュー公開:2018/2/18
iPhoneAndroid

Final Fantasy 15 のスマホ用アレンジ版

ホスト・イケメン・モデル・DQN のホスト4人衆が、ガイアにもっと輝けと囁かれながらオープンカーでドライブし、バーベキューをしながらキャンプファイアーの前で語らう、意識高い系 RPG「ファイナルファンタジー15」。

そんな FF15 をホスト感の欠片もないデフォルメキャラで描いた、FF15 のスマホバージョンが公開されています。
ファイナルファンタジーXV ポケットエディション」です。

FF15 ポケットエディション

まずはそのグラフィックの変わりっぷりを紹介しておきましょう。

このホストキャンプのシーンが・・・

FF15 キャンプシーン

こうなってます。

FF15 ポケットエディション キャンプシーン

まったくガイアに囁かれそうにないデフォルメっぷり
ゲームもオープンワールドの世界を自由に探索できるのがウリだったのに、一本道の RPG に変えられています。

ただ、この大胆なアレンジを施したからこそ、FF15 をスマホアプリにするというムチャが出来ているのも確かです。
良く言えばスマホ最適化、悪く言えば縮小版。

私はオリジナル(PS4 / Xbox)の FF15 をプレイしていないため、以下は「今作が FF15 初プレイ」の人間のレビューになります。
その視点から見ると、やはりゲームやストーリーが「巻き」で進んでいる印象を受けますね。
一方で、ゲーム自体はしっかりアクション RPG しており、スクエニらしいクオリティもあって、楽しめる内容です。
ただ、物語は・・・ 詳しくは後述。

アプリ本体は無料ですが、無課金では1章しかプレイできません。
その後は2章と3章は 120 円、4章以降は 480 円で購入する必要があります。
一括購入の場合は 2400 円です。

FF15 ポケットエディション 戦闘シーン
FF15 ポケットエディション ハンマーヘッド

まず操作とデバイスについて。
iPad でプレイするのは勧められません。

このページの画像は iPad のものですが、操作方法が「移動したい場所をタップ」もしくは「移動先を押し続ける」なので、iPad だと大きな画面のあちこちを何度もタップする必要があり、指を動かす範囲が大きすぎて遊び辛いです。
iPhone だと指で画面が隠れがちですが、iPad よりは良いでしょう。
残念ながらスティック操作は用意されていません。

ただ、バトルはタッチパネルとの親和性が高いものになっています。
基本的には自動で戦いますが、主人公はテレポート能力を持っており、敵を長押しでテレポート攻撃、画面フリックでテレポート移動が可能です。
敵が動き回っていると押し辛いこともありますが、これらのテレポート技を直感的に扱えます。

また、攻撃を受けそうな時にはカウンターや回避のボタンも現れるため、自動バトルと言っても操作する機会は多いです。
通常の移動や、タップによるターゲット指示も可能です。

そしてバトル中、さらに平時の移動中も、常に仲間との会話が流れ続けます。
戦闘の指示やかけ声以外にも、「敵を見失った!」「メガネ曇ってんじゃねーの?」とか、「今やられてなかった?」「見なかったことにしろ」とか、雑談や冗談が飛び交います。
その緊張感のまるでない、和気あいあいとしたバトルが非常に良いです。

移動中にも「絶景だな」「写真撮ってきていい?」「終わってからにしろ」といった感じの、場面に合わせた雑談が続き、まさに仲間と一緒に旅を楽しんでいる雰囲気。
それはかつてない日常系の冒険 RPG であり、私的にはこのスタイルは好みです。
セリフの量も驚くほど膨大。

荒野でキャンプしたり、観光地でホテルに泊まって楽しく過ごしたり、集めた素材で料理したり、まさにアウトドア満喫ファンタジーであり、冒頭で述べた「ホスト4人がオープンカーでドライブし、キャンプでバーベキューする RPG」ってのは、良い意味で単なる揶揄ではありません。

FF15 ポケットエディション ボス戦
※ボスが攻撃の前兆を見せているシーン。
全方位攻撃ですがテレポートで離れれば回避可能。
もし倒れても仲間が助けてくれるし、いつでもポーションで回復できるので、バトルは簡単。
この和気あいあいな RPG は、このぐらいの難易度で良いと思います。

FF15 ポケットエディション デート
※観光地で女の子とデートしてぬいぐるみを貰うリア充イケメン。
王子様なうえに「王の力」と呼ばれるカッコイイ特殊能力を最初から持っていて、まさに無双系主人公。

FF15 ポケットエディション オルティシアの様子
※背景のグラフィックは、さすがに PS4 と比べると荒いですが、スマホ RPG としては高クオリティ。
ただ水の表現など、ハードウェア性能が必要な部分は簡略化されています。
ちなみに画質はオプションで変更可能。

冒頭で述べたように一本道の RPG に変わっているので、ダンジョンやフィールドを探索するシーンもありますが、マップはそれほど広くありません。

経験値稼ぎや資金稼ぎも必要なく、シナリオを進めていれば自然とレベルが上がり、落ちているものを拾っておけばお金に困ることもないでしょう。

レベルが上がると AP(アビリティポイント)を得られ、様々なスキルを習得できますが、習得するスキルによって戦い方が変わる、みたいなこともあまりありません。

FF らしい、良く言えばスムーズ、悪く言えばレールに沿って進めていく RPG ですね。

ただ、それでもちゃんとキャラは成長していくし、バトルも面白いので、RPG としての楽しさはあります。

FF15 ポケットエディション ステルスミッション
※高所にぶら下がって敵兵を見下ろしているシーン。
ここからテレポートアタックで奇襲できます。
他にもこっそり忍び込むシーンなど、ステルス系のミッションが多めです。

FF15 ポケットエディション ブリザド
※魔法はダンジョンの途中で得なければならず、使ったら無くなる使い捨てボムみたいなものです。
自由に使用することはできません。

FF15 ポケットエディション QTE
※ムービーシーンの最中にタップやフリックの入力を行う QTE(クイックタイムイベント)もあり。
FF らしく、こうしたイベントシーンは豊富です。

ラストの展開に賛否両論ありますが、それはともかく、オリジナルをやっていない人間として気になったのは以下の点。

まず、物語が「巻きで」展開するため、ちゃんと表現し切れていないと思える部分があります。

例えば、仲間とケンカするシーンが何度かありますが、ケンカに至る過程がハショられているためか、仲間が突発的に怒り出しているようにしか思えない。
元々 FF15 には物語に表現しきれていない部分があったようですが、オリジナルを知らずに簡略版をやると、ますますそれを感じます。

そしてゲームの中盤、主人公ご一行は「王の力」を得るために各所に点在する「王の墓」を巡るのですが、一本道のゲームに変えられているため、この過程が余分な印象。

「各地を巡れ」ってのは自由に移動できる広いフィールドがあって、それを探険させる動機付けとして必要なものなので、それがないのであれば物語的には不要で、オリジナルの「なごり」の印象が強いです。
墓は1ヶ所か2ヶ所、もしくは任意で良い気が。

巷では、ストーリーの批判が多いようです。
「中学生が授業中にノートにメモしたようなストーリー」とか言われているようで…
私も正直なところ、中学生の「ぼくがかんがえたさいきょうの RPG」を、スクエニが技術と資金と労力を惜しみなく使って作り上げたゲームという感はあります。

ただ、中二病が悪い訳ではないし、そのおかげでこの特異な日常系 RPG が出来上がったのなら、それはそれでアリな気もします。
この内容だと私的には、もはやシリアスなストーリーシーンの方が邪魔…

また、このストーリーは十代にはむしろ支持者が多いのかも? とも思います。
やや古い話ですが、2010 年頃に大ヒットし、映画化もされた「恋空」というケータイ小説がありました。
それは高校生以下から絶大な人気を得たのですが、20 代以上には全く支持されませんでした。
このゲームのストーリーはそのような、思春期以下向けの印象があります。

それはそれで、その年代がターゲットなら間違っていない気も?
当初のホストバーベキューの予告の時点で、キャラがそっち方面な感じでしたしね…

FF15 ポケットエディション レガリアで移動するシーン
※ FF15 と言えばオープンカーでのドライブ。
しかし自由に操作することはできず、ただの移動中のデモシーンになっています。
左右に移動ボタンがありますが、道から外れることはできません。
チョコボに乗るシーンもありますが、残念ながらスマホ版には立ち乗りは実装されていないようです。

FF15 ポケットエディション 料理シーン
※ FF15 と言えば休憩中のお料理。
男4人で楽しくアウトドアして美味しい料理を頂くゲームです。
ちなみに食材を集めなかった場合、焼いただけの食パンとかになってしまいます。

FF15 ポケットエディション 似顔絵シーン
※ちなみにオリジナルだとこんな感じ。
「オレこんな顔してないよ」 うん、スマホではね…

やや否定的なことも言いましたが、なんだかんだ言ってもスクエニのファイナルファンタジー。
スマホ版とは言え、そのクオリティーはそこいらの RPG を軽く凌駕します。

もちろんオリジナルを知らない人間だと「やっぱりオリジナルをやりたかったなぁ」と言うのも本音。
「オリジナルだったらここはどうなってたんだろう」と言うのは、常に頭にちらつきます。
そもそも「簡易版でも良いだろう」という考えは、簡易版でないものを知っている人間の考え方。

しかしそれを理由に、スマホでも遊べる形のものを出してくれたことを、否定したくないのも確か。
ソシャゲとかだったら別ですが、今作はちゃんとしたシナリオ購入型の RPG で、ストーリーなども同じですからね。

FF15 を手元のスマホで、手軽に楽しめる作品として良いと思います。

アプリ名FF15 ポケットエディション(iOS 版)

FF15 ポケットエディション(Android 版)

※Youtube「公式」比較動画


【 ちょこっと攻略 】

「ご当地サボテンダーズ」の発見場所

FF15 ポケットエディション レスタルムのご当地サボテンダーズ
3章:レスタルムのご当地サボテンダーズ
緑は最初の訪問時、黄色はアーデンに会った後
数字はお宝の地図の調査場所

FF15 ポケットエディション チョコボポスト・ウイズのご当地サボテンダーズ
4章:チョコボポスト・ウイズ

FF15 ポケットエディション カエムの岬のご当地サボテンダーズ
5章:カエムの岬のご当地サボテンダーズ
緑は最初の訪問時、黄色は2度目の来訪時

FF15 ポケットエディション オールド・レスタのご当地サボテンダーズ
5章:オールド・レスタ

FF15 ポケットエディション オルティシエのご当地サボテンダーズ
6章:オルティシエのご当地サボテンダーズ
宝探しの3つ目は夜にならないと調査不可

FF15 ポケットエディション テネブラエのご当地サボテンダーズ
7章:テネブラエのご当地サボテンダーズ

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