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Twilight Struggle
(トワイライト ストラグル)レビュー

Twilight StruggleTwilight Struggle
ボードゲーム ドイツゲーム
原作:GMT Games(アメリカ)
開発:Playdek(アメリカ)
公開:Asmodee Digital(米 / 仏)
価格 1200 円、買い切りアプリ
レビュー公開:2018/5/24
iPadAndroidSteam

※このページはレビュー兼ルール解説ページです。
カードの日本語リストは こちら をご覧下さい。

昭和の世界情勢を1枚のボード上に再現

民主主義と社会主義、資本主義と共産主義…
第二次世界大戦の前から存在するこのイデオロギーの対立は、「核兵器」という禁断の武器の登場により、アメリカとソ連の二大大国による地球規模の睨み合い「冷戦」を招きました。

この冷戦時代をテーマにした、超重量級のボードゲーム iPad 用アプリが公開されています。
Twilight Struggle」(トワイライト・ストラグル)です。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル)

この作品はドイツゲーム系としては、とにかくヘビー。
まずプレイ時間が長く、1対1の対戦なのに、終わるまで2時間近くかかったりします。
これでも諸々の処理をコンピューターが行ってくれるスマホ / タブレット版は早い方。
ボード版だと5時間ほどかかることもあるようです…
慣れていないと序盤に早々に負けることもありますが。

そしてテーマがヘビー。前述したように冷戦期の世界情勢が描かれます。
1945 年の第二次大戦終結から、1989 年の冷戦終結宣言までの、世界各地の様々な事件・事故がボード上で展開されます。
それに合わせて「デフコン」と呼ばれる戦争準備態勢が変化。
平時なら普通に流れている BGM が、デフコンの低下に伴って緊迫感のある効果音に変わっていきます。

新聞が黒塗りされる演出、雰囲気のあるグラフィック、指導者の演説が聞こえるサウンドなども、リアルであると同時に重苦しいという意味でヘビーです。

一方で、ゲームのルールはそんなに複雑ではなく、カードの効果が英語表記で解り辛い点を除けば、すぐに理解できるルールです。
(カードの効果については こちらのページ に日本語訳を掲載しています)

ただ、取れる行動・戦略が非常に豊富なので、その意味での難しさはあります。
特にアメリカの場合、ゲーム序盤が不利なため、ソ連に独走されてあっという間に決着が付くこともしばしば。
でもデジタルボードゲームは簡単だとすぐに飽きるので、何度もチャレンジしたくなる難しさは、むしろ長所と言えるでしょう。

価格は 1200 円。買い切りゲームなので広告やスタミナ等はありません。
iOS 版は iPad 専用なのでご注意下さい。

ドイツゲーム系アプリとしては最高値の1つですが、それだけの内容です。
何枚かの追加カード(プロモーションカード)や異なるカードグラフィック、追加ルールを利用できる課金が 480 円で用意されています。

英語のボードゲームなので、ルール解説を兼ねたレビューでお届け致します。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル)
Twilight Struggle(トワイライト ストラグル)

一方がアメリカ、一方がソ連を担当する、2人対戦のゲーム。
コンピューターのレベルはありませんが、ハンデキャップ(初期影響力の増減)を付けることができます。

ボード上には世界各国の枠があり、そこにアメリカの影響力を示す青い数値のコマと、ソ連の影響力を示す赤い数値のコマが置かれています。

まずはゲーム開始時に、ソ連は東ヨーロッパの国に合計6つの影響力を、アメリカは西ヨーロッパの国に合計7つの影響力を追加します。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) ヨーロッパ
※アメリカはまず西ヨーロッパ+カナダへ振り分け。
背景が二色の国は、西ヨーロッパにも東ヨーロッパにも属します。

ゲームは 10 ターンで行われ、1つのターンに6~7のラウンド(アクションラウンド)があります。
まずは山札から双方に8枚のカードが配られます。

各ターンの最初には「ヘッドラインフェイズ」というものがあり、双方が手札から1枚のカードを出します。

カードには史実で起こった様々な事件の名前と、イベント効果、さらに数値(OP)が書かれていて、星マークの色でどちらの陣営のカードか示されています。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) カード
※左上の数値が OP。ソ連は赤で解りやすいですが、アメリカは青というより白。
カードはリストからドラッグして使いますが、タップしてコマンドを選択しても OK。
カード効果の翻訳は こちら を。

ただ、ヘッドラインフェイズでは数値は関係なく、イベントの効果のみが発動します。
青(白)のカードはアメリカの、赤はソ連のカードで、白+赤(青+赤)の中立のカードもあり、アメリカのカードはアメリカに有利な、ソ連のカードにはソ連に有利な効果が書かれています。

ヘッドラインフェイズが終わったら行動(アクションラウンド)開始。

ただ、その前に画面の右に出てくる照準マークのボタンを押して下さい。
これは決定ボタンで、押さないと進みません。(見落としがち)
画面左に出る矢印はやり直しのボタンです。

ここからはソ連から交互に、カードを1枚ずつ使います。
使い方は以下の5通り。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) コマンドリスト

Play Event(イベント発動)
カードに書かれているイベント効果を発動させます。
イベントの発動後に削除されるカードは、ゲームから取り除かれます。

Place Influence(影響力配置)
ボード上の国に、カードに書かれている数値(OP、オペレーションポイント)の分だけ影響力を振り分けます。
ただし(前のラウンドで)すでに影響力が置かれている国と、その隣の国、もしくは本国に隣接した国にしか配置できません。

それぞれの国には「安定度」という数値があり、自分の影響力が相手よりもその数値分だけ高ければ、その国を支配下(Control)にすることができます。
もし相手に支配されている国に影響力を置く場合、OP が2つ必要になります。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) 影響力と安定度
※相手が支配している国に影響力を置くには2の OP が要りますが、配置によって支配が解除された瞬間に必要 OP は1に戻ります。

Realignment Rolls(影響力排除)
相手の影響力の削減を試みます。カードの OP の数だけ実行できます。
互いにダイスを振って、その数の差だけ影響力が減少します。
ただしダイスの目に以下の修正が付きます。

・対象国に置かれている影響力が大きい方はダイスの目+1
・その国の隣にある支配国か本国の数だけダイスの目+1

そこに自分の影響力があり、相手の目の方が大きい場合、自分の影響力が減ってしまうので注意して下さい。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) 影響力排除
※影響排除は周囲の状況が重要。ダイスを振る前に確率が表示されます。
そこが支配下だと確率は良くなりますが、出目が悪いと自分の影響がなくなるデメリットも。

Coup Attempt(クーデター)
相手の影響力を削り、さらに自分の影響力を増加させる革命を試みます。
1ラウンドに1回のみ、相手の影響力がある国に実行できます。
カードの OP の数にダイスの目を足したものが攻撃力となり、対象国の「安定度」の2倍が防御力となります。

攻撃力の方が高ければ、その差の分だけ相手の影響力が減少し、相手の影響が0ならこちらの影響が増えます。
例えば、相手の影響力が2で、こちらの攻撃力が相手の防御力より3高いなら、影響力は 2-3 でこちら側の1になります。

また、実行によって「軍事作戦マーカー」がカードの数値分だけ増加します。
さらに重要国(国名のラベルが赤色の国)に実行すると、デフコン(Defcon)が1つ減少します。
これらについては後述します。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) クーデター
※クーデターは対象国の「安定度」に左右されます。
安定が1のアフリカの小国とかはクーデターでひっくり返りまくり。
軍事作戦マーカーが動くというのも非常に重要。

Space Race(宇宙開発競争)
1枚の手札を捨てて、宇宙開発競争レベルのアップを試みます。
この時に捨てるカードは、イベント効果は発動しません。

画面上部の NEXT PROJECT と書かれている部分に「2OPS: Roll 1-3」などと書かれています。
この部分をタップすると宇宙開発競争ボードが表示されます。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) 宇宙開発競争の表示

「2OPS」と書かれているなら、OP が 2 以上のカードを1枚捨てます。
そしてダイスを振り、「Roll」と書かれている範囲の目が出れば開発は成功、開発段階が1つ上がります。

そしてその段階に「3/1」と書かれている場合、最初にそこに到達した人は VP(勝利点)3 を、後から到達した人は VP 1 を得られます。

それぞれの段階に到達した人に与えられる追加効果もあります。
失敗だと何も起こらず、ラウンド終了です。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) 宇宙開発競争ボード
※宇宙開発で得られる追加効果は以下の通り。
Animal in Space:1ターンに2回、宇宙開発が可能。
Man in Earth Orbit:ヘッドラインフェイズで先に相手のカードを確認できる。
Eagle/Bear has Landed:ターンの終わりにカードを1枚捨てられる。
Space Station:1ターンに8ラウンド行える。
ただし各効果を得られるのは先に到達した人のみ。
また、
相手が到達した段階の効果は失われます。
課金すると 別の宇宙開発ボード も使えます。

そして重要なことは、相手陣営のカード、つまりアメリカがソ連マークのカードを、ソ連がアメリカマークのカードを使った場合、宇宙開発以外のどんな使い方でもイベントの効果が発動すること。

毎ターン、手札のほとんどのカードを使う必要があるため、相手に有利なカードも使わなければならなくなります。

どのタイミングで不利なカードを処理するかもゲームの重要なポイント。
また、宇宙開発競争は使ったカードをイベントの発動なしで破棄できるので、宇宙開発は開発よりも、カードを捨てる意味で重要になります。
ただし宇宙開発は、最初は1ターンに1回しか行えません。

1~3ターン目は6回行動するとターン終了。
そして終了時に「デフコン」と「軍事作戦マーカー」の位置に応じた VP(勝利点)ペナルティを受けます。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) デフコンと軍事作戦

デフコンとは戦争準備状態で、最初は5なのですが、重要国でクーデターが起こったり、不穏なカードが使われると1つずつ低下していきます。
そして1になってしまうと… 核戦争勃発。 世界滅亡でゲームオーバー。
ゲームオーバーにさせてしまった側は責任を取って負けになります。

軍事作戦マーカーは主にクーデターの実行で上がり、これがターン終了時にデフコンより低い場合、デフコンとの差の分だけ VP ペナルティを受けてしまいます。
このためクーデターは必要なくても、軍事作戦マーカーを上げるために実行しないといけません。
重要国にクーデターをするとデフコンが下がりますが、それはそれで条件を満たしやすくなります。

ただ、デフコンが低いとアメリカは行動し辛くなる弊害があって、4以下で欧州、3以下でアジア、2以下で中東にクーデターや影響力排除を実行できなくなります。
ソ連はこのペナルティはありません。悪の帝国なので。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) ターン進行表示
※上部中央をタップすると現れる使用カード確認画面。
歴代の大統領&書記長の顔が雰囲気あって良いです。
カードを使って、その効果で相手がクーデターを起こして核戦争になった場合、カードを使った人の責任となります。

ターンが終わったら山札からカードが補充され、次のターンに。
その際、デフコンが1つだけ回復し、軍事作戦マーカーは0に戻ります。

このゲームは3ターン目までが前期(EARLY)、4~7ターン目が中期(MID)、8~10 ターン目は後期(LATE)になっていて、前期はターン開始時の手札が8枚、ラウンド数は6。
中期と後期は手札が9枚で、ラウンド数は7になります。

山札がなくなった場合は捨て札がシャッフルされ、新しい山札になるのですが、多くのカードはイベント効果が発動するとゲームから取り除かれ、その分はシャッフルされても出てきません。
ただ、中期や後期にならないと出て来ないカードがあり、それが4ターン目と8ターン目に補充されるため、カードが尽きることはありません。

前期はソ連に有利な、後期はアメリカに有利なカードが多いため、ソ連は速攻逃げ切り型、アメリカは追い込み型になりますね。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) ゲーム画面
※いよいよ終盤戦。史実を反映したカードが出るので、アメリカは欧州を抑えやすくなりますが、中東はボロボロになりがち。
でもヨーロッパさえ支配することができれば…

そしてゲームの目的、勝敗が付く条件ですが、主に以下の3つです。

・どちらかの勝利点が 20 を越える。
・10 ターン目が終了し、最終得点集計の後、相手より VP が高い。
ヨーロッパを支配した後、ヨーロッパのスコア集計カードが使われる。

このゲームの VP(勝利点)は綱引き方式で、最初は0、そこからソ連が2点を獲得するとソ連の VP2 になり、アメリカ的には -2 に。
そこでアメリカが5点を獲得するとアメリカの VP3 になって、ソ連的には -3 になります。

そして勝利点を一番稼げるのは「スコア集計カード」です。
例えばアジアの集計カードだと、Presence(参加)で VP+3、Domination(優勢)で VP +7、Control(支配)で VP+9 を得られます。

該当地域の国を1つでも支配していると「参加」条件を得られ、相手より多くの重要国を支配し、さらに1つ以上の非重要国も支配していれば「優勢」に。
そして全ての重要国を支配していれば「地域の支配」を得られます。
また、集計地域にある重要国と、本国に隣接した国は、支配していると追加で1点もらえます。

「じゃあ一点集中で支配して、そこのスコア集計カードだけ使えば良いのか」と思うかもしれませんが、スコア集計カードが手元に残ったままターン終了すると即座に敗北します。
手札に来た集計カードは絶対に使わないといけないので、「敵に占領された地域の集計カードはスルー」みたいなことはできません。

手札に中東(Middle East)カードが来たなら、ターン終了までに中東を出来るだけ取りたいところ。
相手がいきなりアフリカに注力し始めたら、アフリカカードを持っている可能性が高いので邪魔しに行きたいですね。
1度使われたらシャッフルするまで出てこないので、「アジアカードが初っ端に出たから、しばらくアジアは後回し」みたいな戦略もあります。

なお、中期になると「東南アジアカード」が出てきますが、これは特殊な集計カードです。
単純に東南アジアの支配国1つあたり1点(タイのみ2点)という計算で、使われるとゲームから取り除かれます。

10ターン終了後の最終集計は、東南アジアカードを除いた6つの地域の集計カードがそれぞれ使われます。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) スコア集計カード
※スコア集計。表示が解り辛く、国旗は「下に書かれている」種類の国を意味します。
上の画像だと日本やインドは「Battle Ground」、オーストラリアやベトナムは「Non Battle Ground」です。
なお、日本はアメリカの隣接国扱いです。
Battle Ground は「係争国」と訳されている場合が多いのですが、フランスとかイタリアが係争国っておかしくて当初混乱してしまったので、当サイトでは「重要国」の表記にしています。

難易度の高いゲームで、アメリカでやった場合、当面は苦戦することでしょう。
序盤はソ連に有利なカードが多いのに加え、行動もソ連が先だからクーデターを連発されてデフコンを下げられ、思うように行動できなくされてしまいます。
コツが解るまではあっという間に勝利点 20 を取られ、早期に決着されてしまうでしょう。

だが、それがいい。
手強い相手にいかに立ち回るかを考えるのが、この手のゲームの楽しさ。
冒頭でも述べたように、手強くないデジタルボードゲームなんて楽しくありませんからね。
ソ連だと速攻をしかけることになりますが、それよりはアメリカで粘りつつ、逆転していく方が面白いと思います。

もしどうしても勝てない人は、追加ルールや追加カードを入れるのも良いでしょう。
追加課金をしていなくても「中国内戦ルール」や「オプショナルカード」といったものを利用でき、無印版があまりにソ連有利だったためか、これらはソ連の有利さを緩和するものになっています。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) 中国カードと中国内戦ルール
※厄介な存在、中国。使うと相手に手渡されるカードになっています。
普段はソ連が最初に所持していますが、中国内戦ルールにすると、ソ連が影響力を3つ使って中国の内戦を解決するまで出て来ません。

Twilight Struggle(トワイライト ストラグル) Turn Zero
※ゲームの初期状態が少し変化する課金追加ルール「Turn Zero」。
ダイスを振って結果を決めますが、カードで目に修正を加えられます。
詳細は カードリストページの下部 に記載。

ゲームも面白いのですが、一番良いところは激動の冷戦期の世界情勢をつぶさに再現し、世界支配のために謀略戦を繰り広げられることでしょうか。
シブいグラフィックと臨場感のあるサウンドが、その雰囲気を十分に演出しています。

残念なのはダイスの処理で、サイコロを転がすと言うより、ボタンを押したら転がしたことになってる的な表示。
もうちょっとダイスを振る演出が欲しかったところ…

あと、コンピューターの思考時間がちょっと長い。
1回 15 秒ほどなのですが、カード選択に 15 秒、場所の指定にまた 15 秒と、その都度 15 秒ずつ考えます。
待てないレベルではありませんが、テンポ良く進む感じではありません…

しかし完成度の高いドイツゲーム系アプリであり、重量級のゲームも好む人であれば、きっと楽しめるはず。
特に歴史が好きな人や、世界情勢に興味がある人、戦略シミュレーションが好きな人にオススメですね。

Twilight StruggleTwilight Struggle (iPad 版、App Store)

Twilight Struggle (Android 版、Google Play)
Twilight Struggle (PC版、Steam)
トワイライト・ストラグル (ボード版、Amazon)

※カードの和訳一覧は こちら をご覧下さい。

※Youtube 公式 PV

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